所長あいさつ

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南アフリカは、豊富な鉱物資源と比較的発達した産業を背景として、アフリカ大陸では第三のGDP 3,146億米ドル、一人あたりGNI6,080米ドル(世銀統計2015年)を有する中進国です。アフリカ諸国で唯一のG20メンバー国であり、BRICSの一員でもある南アフリカは、近年、国連改革、核軍縮・不拡散、気候変動等の世界的な諸課題に関して発言力を高めています。一方、近年世界経済の減速や資源価格の低迷などの影響を受け、一時の経済成長が鈍化しつつあり、世界でも有数の所得格差は縮まらず、また、最大の問題である失業率も20%後半という極めて高い水準にあります。アパルトヘイト後、Rainbow Nation(多様性を許容する国)として希望に満ちたスタートを切った南アフリカですが、こうした国内問題を解決することはなかなか容易ではありません。

南アフリカへの日本の支援は、アパルトヘイトの終焉とマンデラ政権が樹立した1994年以降に本格的に始まりました。現在、JICAは、日本政府の国別援助方針に沿って、「成長の加速化と貧困層の底上げ」を南アフリカにおける援助の目標と位置づけ、(1)人材基盤の強化とインフラ開発促進支援、(2)社会的弱者の経済・社会参加支援、(3)南部アフリカの開発促進を中心に支援を行っています。
南アに加え、レソト、スワジランド、ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ、アンゴラを担当している当事務所では周辺国が抱える共通課題に対して、地域としての戦略をもって効果的・効率的なプログラムを立案・実施し、南部アフリカの持続的な発展を支援しています。

昨年8月、第6回アフリカ開発会議(TICADVI)が初めてアフリカで開催され、ケニアのナイロビにアフリカ各国の政府、国際機関の代表が集い、南アフリカからもズマ大統領が参加しました。会議では、1)経済の多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進、2)質の高い生活のための強靱な保健システム促進、3)繁栄の共有のための社会安定化促進の3点を柱とした取り組みを行っていくことが「ナイロビ宣言」として取りまとめられました。安倍総理からはアフリカの未来への投資として、人材育成、質の高いインフラ整備などへの日本政府の取り組みが表明され、我々の活動もこれらを実現するために行って参ります。

南アフリカには130社近い日本企業が進出し、多くの企業はここを拠点にサブサハラアフリカにおけるビジネスを展開していますが、こうした日本企業の活動とODAをいかに連携させていくかということがTICADの文脈の上で重要であるとともに、我々にとって引き続きチャレンジであると認識しています。

私自身、これまでJICAの職員としての職歴の多くでアフリカの開発に関係してまいりました。従来はアフリカが成長し貧困から抜け出すことを想像するのさえ難しい時期がありましたが、近年のアフリカの成長を見るにつけ今まさにアフリカの時代が来たのだということを実感して感慨深いものがあります。アフリカの成長のダイナミズムを現場で実感できることを大きな喜びとし、従来の発想にとらわれない援助を目指と同時に、途上国の人々に着実に成長の果実を届けるという開発援助に従事するものとしての使命を忘れずに南部アフリカの開発に向けて取り組んでまいる所存です。皆様におかれましては、さまざまな視点からご示唆、ご指導をいただければと存じます。

南アフリカ事務所長
木野本 浩之