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【新型コロナに挑むJICA帰国研修員:日本での学びを活かし、各国で大活躍!】第1回 ガーナ:感染症対策の最前線、野口記念医学研究所で奮闘

2020年5月27日

日本でJICAの研修を受け、母国に戻った「帰国研修員」たちが今、それぞれの国で新型コロナウイルスに立ち向かっています。

研修から得た知識や経験が、正確なPCR検査の実施や、新型コロナ感染患者受け入れ病院での陣頭指揮、コロナ禍における人々の心のケアなど、いろいろな形で現場のアクションに必然的に発展しています。さらに、国境を越え、研修員同士がオンラインで知見を共有するなど、そのネットワークが途上国で活用されています。

この掲載を皮切りに、母国で活躍する研修員たちを5回シリーズで紹介していきます。

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国立国際医療研究センター(東京都)で実施された「医療関連感染管理指導者養成研修」に参加する各国の研修員ら

第1回は西アフリカのガーナから、約40年前に日本の協力で設立された野口記念医学研究所で、感染症対策の最前線に立つ研修員の姿を追います。

昼夜問わずPCR検査に従事

ガーナでは、5月25日現在、感染者数は6,808名(死亡者数32名)となり、緊張感が高まっています。そんななか、日本同様に適切なPCR検査の実施は最重要課題の一つ。これまで実施された新型コロナウイルスのPCR検査約18 万5000件(5月20日現在)のうち、約8割を担ったのが野口記念医学研究所(野口研)です。1979年に日本の協力で建設され、ガーナの感染症対策において中心的な役割を果たしています。

現在、野口研の主任調査員助手として、24時間シフト勤務でPCR検査に従事しているのが、クリストファー・ザーブイェン・アバナさんです。国立感染症研究所(東京都)と連携してJICA東京で実施された「HIVを含む各種感染症コントロールのための検査技術とサーベイランス強化研修」に昨年参加しました。この研修は、感染症の診断に必要な知識や検査技術を習得することが主な目的です。

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野口記念医学研究所でPCR検査を行うクリストファーさん

研修での学びのなかでも、特に日本の産業界で開発された職場環境改善や品質管理に向けた「5Sカイゼン(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」アプローチが、現在の検査業務の効率化に役立っているというクリストファーさん。

「『整理』により、PCR検査の初期に感染が疑われる検体を適切に分類でき、正確な結果が得ることができます。『清潔』は、研究所内で検体を扱う上での重要な指標となります」と述べます。現在、毎日数千の検体を行うなか、「分子遺伝学的検査の技術だけでなく、検体受取から検査までの流れを効率的にするために5Sカイゼンなど研修で学んだことを現場で活かし、これからも業務を進めていきます」と頼もしいコメントを寄せてくれました。

日本にとっては当然の5S。しかし、5Sの精神や作業が徹底されていない途上国が多いのが実態です。PCR検査における5Sカイゼン導入は、作業の効率化はもちろん、的確な検査の実施や研究所内感染防止など、その効用は計り知れません。

野口研は西アフリカの感染症対策・研究の拠点

野口記念医学研究所の先端感染症研究センターは2019年3月に完成

野口研は、感染症研究に加え、国内の他の医療施設で検査方法の指導を行うなど、ガーナ全体の検査体制の強化も図っています。アブラハム・アナン所長は、「(新型コロナウイルス感染症の検査が実施されている)野口研の先端感染症研究センターがなければ、今ほど国内の感染状況を把握することはできていなかった。大変重要な任務を果たしている」と語ります。

野口研ウイルス部のウィリアム・アンポフォ部長

また、PCR検査に対応する野口研ウイルス部のウィリアム・アンポフォ部長は、新型コロナの感染状況などを国民に知らせるため、テレビ放送に度々出演し、ガーナ国内の検査状況や検査手法をわかりすく説明するなど、国民への感染防止に対する啓発活動にも注力しています。

大統領率いる新型コロナ対策チームで中心的な役割を果たしているアンポフォ部長は、東京医科歯科大で学び、現在、JICAとともに「ガーナにおける感染症サーベイランス体制強化とコレラ菌・HIV等の腸管粘膜感染防御に関する研究」も進めています。

野口研からは、これまで約50名がJICAの研修に参加。帰国研修員は野口研で実施されるJICAのプロジェクトや研究の主要メンバーとなっており、彼らの存在は大きな力です。

5月15日にはアフリカの全54か国で感染が確認され、西アフリカ全体でも今後感染者数が増加する見通しです。野口研は、JICAの第三国研修を通じ周辺9か国(ガーナ、ギニア、コートジボワール、シエラレオネ、トーゴ、ナイジェリア、ブルキナファソ、ベナン、リベリア)での新型コロナウイルスの検査の指導も行うなか、地域の感染症対策で今後も指導的な役割が期待されます。