専門家ブラッシュアップ研修(病害診断)を実施しました!

2020年8月25日

2020年8月25日、株式会社三祐コンサルタンツと共催で病害診断研修をJICA筑波で開催しました。新型コロナ感染拡大の影響で途上国の現場から一時的に日本に帰国している専門家向けに知識・技術のアップデートを図るもので、今回は病害診断をテーマに、基礎講義の他、診断アプリの試行も行いました。オンライン配信も含め、39名が参加しました。

研修概要

病害の診断と適切な処置は農業生産・収入の安定に向けて非常に重要です。しかしながら、途上国では病害に関する専門家も限られており、農家が適切な処置を行うことが難しいことも多いです。これに対し、近年は画像診断のアプリケーションも普及し始めているようです。今回はこうしたアプリケーションも使用し、現地での適用について考える機会としました。

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冒頭、JICA筑波の研修指導者である加来久敏先生を講師に、病害診断の重要性、診断方法(目視、顕微鏡観察)、病徴・症状、防除等、基礎についての講義を受けました。顕微鏡での診断が一番精度を高くすることができますが、それが難しい場合にも、切り口を水に付けた後の微生物の動きや枝の根本の色で、ある程度の精度で原因を特定できます。このような現地ですぐに使用可能な知識を得ることができました。

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午後は、JICA筑波の圃場での、スイカ、トマト、ズッキーニ、キャベツ、ナスの病徴観察が行われました。実際に肉眼で作物をみて(目視)の診断に加えて、診断アプリケーションで病徴を撮影し、AIでの診断も実施しました。診断精度はアプリケーションや対象作物によって様々であり、概ね半分程度目視での診断と一致していました。

研修の最後には、病害診断アプリの途上国での適用について議論がなされました。アプリケーションはまだ進化の途上であり、現時点では使用者の判断を補助するツールとしての活用が考えられるという意見が出されました。また、各国で病害情報を蓄積し、予察に活用できるようなアプリケーションへの期待も述べられました。

参加者の声

来訪及びオンラインでの参加者からは、以下の様な感想が聞かれました。

  • 先生からの講義、実験室、圃場での観察がバランスよくプログラムされていてよかった。
  • オンラインでも病害診断アプリの使い方がよく理解できた。
  • 今後、農業技術という専門技術以外に、デジタルのツールをどのように取り入れていくかのアイデアを考えていく機会になった。

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病害診断アプリのダウンロード・試行

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オンライン参加者にもアプリ画面を紹介しました

JICA筑波では今後も現地や専門家のニーズにこたえる研修を企画して参ります!