専門家ブラッシュアップ研修(土壌診断研修)を実施しました!

2021年4月12日

2021年3月

2021年3月18日、JICA筑波は株式会社三祐コンサルタンツ様と共催で、土壌診断研修を開催しました。研修では、JICA筑波の研修指導者・梅宮先生を講師に迎え、講義と実習を実施。オンライン配信も含め、25名が参加、充実した内容になりました。当日の様子と参加者の声をご紹介します。

研修概要

専門家が活動している途上国の現場では、圃場の土壌養分をきちんと把握した上で、土壌の肥沃度を高める指導をする必要があります。簡易土壌分析キットも、改良が進んでいますが、キットごとで分析方法が異なり、また、各国が採用している分析手法も異なるため、数値の単純比較は難しい状況です。このような背景から、研修は、日本の簡易土壌分析キットの数値の意味を正しく理解し、途上国の現場の用途に合ったキットが選択できるよう、1)土壌分析・評価の基礎理論の習得、2)土壌分析キットによる分析データの比較検討、3)得られた分析データの活用を目的として開催しました。

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梅宮先生による講義の様子

研修の冒頭、JICA筑波の研修指導者・梅宮先生が、土壌分析・評価の基礎理論の講義を実施。まず、なぜ施肥技術が重要なのか(最終的には、農家・地域社会の生活向上に資する)について説明。その後、よい土壌条件とは、pHが作物の生育に与える影響、pH改良法、作物の養分欠乏症状の観察方法、土壌診断のステップ(サンプリング→分析→評価→提言)、土壌診断の項目、標準分析と簡易・迅速分析の特徴、土壌診断でどのような提言が出来るのか、現地への適用の課題など、幅広い項目の講義をいただきました。

講義の後、実際にJICA筑波の圃場に行き、土壌サンプリング方法の実習を行いました。

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実際に圃場で土壌サンプリングを実施

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ドローンで撮影した一枚

午後の実習では、1)pHを調整したサンプル液を用いた試験紙の色の確認・土壌pH測定、2)簡易分析キット「みどりくんPK」を用いた水溶性PKの測定、3)コンパクトイオンメーターを用いたサンプル土壌の測定などを行いました。また、エア・ウォーター株式会社様にお越しいただき、土壌分析装置を実演いただきました。

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専門家同士でディスカッションを行う時間も

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エア・ウォーター株式会社様による実演

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事前送付した土壌分析キット

(オンライン参加者にも事前に土壌分析キットを送付し、リアルタイムで実習に参加いただきました。)

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ディスカッションの様子

研修の最後はディスカッションを実施。限られた時間でしたが、「蒸留水が手に入らない場合、水道水・井戸水を使用したpH測定の際の注意点は?」、「途上国での低pH圃場の改善についての考え方は?」、「高塩類濃度土壌の測定・評価手法は?」など、実際に現場で技術指導を行う上での、様々な実践的な質問が挙げられ、理解を深めました。

参加者の声

来訪及びオンライン参加者からは、以下の様な感想が寄せられました。

  • イスに座っての講義だけでなく、圃場での実習があること、そしてコロナ禍の活動制限を受けるなかでの「来訪+オンライン参加」という機会は、受講する専門家にとってとても有効だったと思います。さらに、オンライン先でも実習が出来るような工夫は、とても魅力的で斬新な研修で大変勉強になりました。
  • 非常に実践的な内容を学ぶことができた。すぐに現場でも利用できそうであった。
  • 事前に機材をお送りいただいたことで、オンラインにもかかわらず体験型の研修を受講することができました。これは「オンライン研修2.0」とも言えるような新たなやり方だと大変感心いたしました(専門家ブラシュアップ研修のレベル感が一気に上がりました)。
  • 民間企業から機器の説明を直接聞くことにより、より機器の理解が進んだ。

JICA筑波では、今後も現地や専門家のニーズにこたえる研修を企画して参ります!
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JICA筑波 研修業務課
メール:tbicttp@jica.go.jp