専門家ブラッシュアップ研修(野菜栽培における育苗技術)を実施しました!

2021年7月26日

2021年7月2日、JICA筑波は、JICA筑波の研修指導者・沼田光夫氏と国際耕種株式会社・及川隆光氏を講師に迎え、「野菜栽培における育苗技術」研修を実施。研修にはオンライン配信も含め16名が参加、充実した内容になりました。当日の様子と参加者の声をご紹介します。

研修概要

「苗半作」(苗の出来によって、作柄の半分が決まったようなものだ、との意)という言葉が示すように、作物栽培初期の育苗は非常に重要です。近年では、分業化に伴う苗産業の拡大やJICAのSHEP(市場志向型農業振興)プロジェクトでの接ぎ木の実践など、大きな変化もみられます。野菜の育苗、特に接ぎ木技術は、苗を天候や病害虫の被害から守ること、生育初期の均一性を確保すること、さらに収穫時期の拡大などが期待でき、開発協力に従事する専門家にとり国を問わず重要なものです。今回の研修は、この育苗技術を習得することを目的に実施されました。

【画像】

沼田氏による講義の様子

午前の研修では、沼田氏が育苗の目的とタイプ、育苗培土の入手・作成方法、育苗容器の種類、管理と移植などについての講義を実施。まず、日本における1990年代以降の接ぎ木技術普及状況、土壌病害への抵抗性に基づく穂木と台木の組み合わせ等について説明。次に、午後の実習に先行し、具体的な接ぎ木手法の種類(挿し接ぎ、割り接ぎ、呼び接ぎ、合せ接ぎ、チューブ接ぎ、多段接ぎ、高接ぎ)が紹介されました。

午後の実習では、及川氏のレクチャーに従い、来訪した参加者が実際に次の3種類の接ぎ木を体験。

  • 挿し接ぎ:スイカ(穂木)×ユウガオ(台木)
  • 呼び接ぎ:キュウリ(穂木)×カボチャ(台木)
  • チューブ接ぎ:トマト(穂木)×トマト(台木)

【画像】

【画像】

接ぎ木実習の後は、接ぎ木後の苗を養生する実際のハウスの確認や培土を紹介。最後に質疑・ディスカッションを行いました。

研修のその後

実習で行われた接ぎ木苗は、ハウス内で養生、順化。研修の約1週間後に活着確認を行いました。活着率はチューブ接ぎが約9割と最も高く、呼び接ぎ、挿し接ぎの順で、全体では約8割でした。研修後のフォローとして、活着不良の原因と対策を参加者全員にフィードバックしました。

【画像】

ハウス内での養生後の順化

【画像】

穂木(呼び接ぎ)の断根

参加者の声

参加者からは、以下のように感想・意見が寄せられました。

  • 接ぎ木を含む育苗技術全般が業務に活かせると思った。
  • 育苗に特化した研修はなかなかない。テーマが良かった。
  • 講師が丁寧に質問に回答し、実際の技術を見せながら指導してくれた。

JICA筑波では、今後も現地や専門家のニーズにこたえる研修を企画して参ります!

研修企画、参加にご関心をお持ちの方は、ぜひ以下の「お問い合わせ先」にご連絡ください!

お問い合わせ先

JICA筑波 研修業務課
メール:tbicttp@jica.go.jp