専門家ブラッシュアップ研修(圃場試験設計・AI生育診断研修)を実施しました!

2021年7月27日

2021年7月

2021年7月1日、JICA筑波は「施肥等の圃場試験設計法とAI画像解析を用いたイネ生育・収量診断」研修を開催。研修では、講義に加え実際にイネ生育診断のアプリケーションを使用する実習も実施。オンライン配信も含め、33名が参加しました。当日の様子と参加者の声をご紹介します。

研修概要

農業の難しさはその土地によって適した品種や栽培技術が異なる点にあります。日本では各都道府県の農業試験場を中心に、地域にあった品種や栽培技術が確立されていますが、途上国では国レベルであってもそのような品種・技術が確立されていないことがしばしば見受けられます。今回の研修は、効率よく適切な技術を見つけるための圃場試験設計法の基礎および事例の紹介、そして効率的な試験結果の把握ができる、と期待されるAI画像解析による生育・収量診断技術の紹介と試行を目的に開催されました。

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はじめに、JICA筑波の研修委託先から、圃場試験設計法の基礎、及びJICA筑波で取組む試験事例について説明。JICA筑波研修「天水稲作のための稲栽培・種子生産及び品種選定技術」コースの浦山業務総括からは稲作の事例を紹介。そして「小規模農家の生計向上のための野菜生産技術」コースの新出業務総括からは野菜の事例を紹介しました。
続いて、JICA筑波の梅宮研修指導者から、施肥に特化した圃場試験について説明を行いました。

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お昼を挟み、午後は、Africa Rice Center及び国際農林水産業研究センターの齋藤氏、京都大学田中氏、九州大学渡邊氏からなる研究チームの皆様から、AI画像解析を用いたイネ生育・収量診断法、及び現在同チームが開発を進めているRice Scouterというアプリケーションについて紹介。通常、試験圃場の収穫量を測るには、全てを収穫するか、数カ所を収穫して計算する手法が取られていますが、非常に労力がかかることが課題となっていました。同チームは、AIの画像解析技術を使用し、写真を撮るだけで生育や収量を特定するアプリケーションの開発に取り組んでいます。

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説明の後は、参加者が実際にJICA筑波の圃場でアプリケーションを試行しました。非常にシンプルな操作で写真を撮ることで数値が出てくる、という画期的な技術に、参加者も興味津々の様子でした。

研修の最後にはディスカッションを実施。「エンドユーザーは誰を想定しているか?」、「圃場にムラがあった場合はどうすればよいか?」、「複数人での共有アカウントが作れるとありがたい」等、アプリケーションを実際に使用してみての質問や提案が多数寄せられました。

参加者の声

参加者からは以下のような感想が寄せられました。

  • AI画像解析の講義は、とても可能性を感じる講義でした。これからも動向に注目していきたいと思います。
  • 圃場試験設計のような基礎的な技術研修も、AI生育診断のような新しい技術も重要だと思いました。
  • 午後の講義では多様な参加者での討論が行われ、技術者と現場の連携の可能性を感じることができました。

JICA筑波では、今後も現地や専門家のニーズにこたえる研修を企画して参ります。
研修への参加及び企画にご関心お持ちの方は、ぜひ以下の「お問い合わせ先」にご連絡ください。
途上国で活躍する専門家へ技術を紹介したい・活用してもらいたい、という企業や研究機関からのご連絡もお待ちしております。

お問い合わせ先

JICA筑波 研修業務課
メール:tbicttp@jica.go.jp