専門家ブラッシュアップ研修(植物病害診断の高度化と将来展望)を実施しました!

2021年8月20日

2021年8月

2021年7月29、30日、株式会社 三祐コンサルタンツ様との共催で「植物病害診断の高度化と将来展望」研修を実施しました。研修では、JICA筑波の研修指導者・加来氏のほか、国際耕種株式会社・澤田康介氏、若山植物病院・若山健二氏、法政大学・鍵和田聡氏、(株)三祐コンサルタンツ・髙林氏を講師に迎え、講義と実習を実施。オンライン参加も含め、28名が参加、充実した内容になりました。当日の様子と参加者の声をご紹介します。

研修概要

近年、汚染種子の蔓延、窒素肥料の過剰施用、地球温暖化による環境変化などを背景に、途上国で植物病害が大きな問題となっています。病害防除の基本は正しい診断であり、途上国開発における病害診断の基礎知識とスキルの重要性は高まっています。本研修では、様々な現場で活躍される講師の方々から病害診断の実際を学ぶとともに、AI画像解析による病害診断アプリの活用方法の検討、そして圃場や実験室での診断まで、多岐にわたる内容が実施されました。

1日目は加来氏の講義からスタート。病害診断の概要及び重要性、スリランカ・キルギス・ベトナムでの診断事例紹介、診断が困難な「似て非なる病害」についての説明がなされました。引き続き、澤田氏からは、主に北部ウガンダでの経験に基づき、病徴・状況・対処法の絞り込みのポイント、現場での診断力向上のための取り組みについて講義がありました。若山氏は、IPM(総合的病害虫・雑草管理)に基づく植物病院の実践について、具体的な診断事例・手法や対処法を交えて講義を実施しました。

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加来氏による講義

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澤田氏による講義

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若山氏による講義

1日目の講義の後には、JICA筑波内の圃場で、植物の病害発生状況を確認したうえで、実験室で顕微鏡等を用いた病害診断を行いました。
1日目最後の総合討議では、活発な質疑応答がなされました。

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JICA筑波圃場での実習

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顕微鏡を用いた診断

2日目は、水戸市内原の日本農業実践学園に場所をお借りし、特に病害診断アプリに着目して実習・講義を行いました。
午前中は、圃場でトマトやキュウリなどを対象に、AI画像解析による病害診断アプリ「Plantix」などを用いた診断を実践し、病害判定可能なもの・正しく判定できないものを実際に確認しました。また、サンプルを持ち帰り、屋内でもアプリ試行を行い、アプリ診断の理解を深めました。

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圃場でのアプリ診断

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持ち帰ったサンプルでのアプリ診断

2日目午後は鍵和田氏の講義からスタート。農業データ連携基盤(WAGRI)を通じて提供をスタートしている葉表病害判別器(AI病虫害画像診断システム)の開発経緯や、AI画像解析の問題点を克服するための方策などについて説明がありました。髙林氏からは、病害診断アプリをフィールドでの問題解決に活用するという観点から、Plantixやその他の診断アプリ、Factsheetを組み合わせた対応方法、農薬の探し方などについて講義・提案がありました。
最後の総合討議の時間は、来訪・オンライン参加者全体で意見を交わし、2日間の研修を終了しました。

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鍵和田氏による講義

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髙林氏による講義

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総合討議

参加者の声

来訪及びオンライン参加者からは、以下の様な感想・意見が寄せられました。

  • AI病害診断について知ることが出来た。もちろん万能でないことは承知しているが、対応の端緒にはなる。
  • 開発途上国の派遣先の同僚と話をする際に、本研修で得た知識を活用することが出来ると感じた。
  • ラボでの実習時にカメラが複数台あり、接写映像があったので、オンライン参加でも実地に近い感覚を得られた。

JICA筑波では、今後も現地や専門家のニーズにこたえる研修を企画して参ります!

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JICA筑波 研修業務課
メール:tbicttp@jica.go.jp