専門家ブラッシュアップ研修(途上国における種子伝染性病害の国際的蔓延とその対策)を実施しました!

2021年12月17日

2021年11月30日、「途上国における種子伝染性病害の国際的蔓延とその対策」研修を実施しました。JICA筑波研修指導者の加来久敏氏の他、農水省・農研機構・種苗協会・種苗会社から7名の講師をお招きし、講演・ディスカッションを実施。動画・資料希望を含めて170を超える申込みをいただき、当日も2名が来訪、オンライン参加者は90名近くになり盛会のうちに終えることができました。当日の様子と参加者の声をご紹介します。

研修概要

種子ビジネスのグローバル化に伴い種子の国家間移動が増加する中で、低コストの汚染種子による種子伝染性病害の発生や激発は国際的な問題となっています。特に途上国では、植物検疫、種子検査、病害診断に制度上あるいは技術的問題があったり、人的リソースが不足していたりと、多くの課題があります。本研修は、主要野菜の種子伝染性病害を中心的テーマとし、多面的に学び、関係者間で現状認識・情報交換を行うことを目的として実施されました。

冒頭、加来氏より、基調講演として、途上国における種子伝染性病害の発生状況と種子の選択及び誤診がもたらす課題が報告されました。続く大矢仁志氏・小牟田健慈氏(農水省 横浜防疫所)のオンライン講演では、日本における植物検疫体制(輸入検査・輸出検疫)の流れや、病害虫リスク分析の手順・考え方が解説されました。午前最後の講演では、横田暁子氏(農水省 輸出・国際局)が、ベトナムとタイにおけるFAOプロジェクトについて報告。健全種子と植物検疫の高度化の重要性、種子伝染性病害の国際間移動と拡大を防ぐための能力強化の取り組みが語られました。

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加来氏の基調講演

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大矢氏・小牟田氏の講演

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横田氏の講演

午後は、佐藤仁敏氏(農研機構 種苗管理センター)の講演からスタート。ISTA(国際種子検査機関)の概要と種子病害検査手法、途上国での種子検査の現状と問題点についての説明がなされました。藤川貴史氏(農研機構)は、研究面から種子検査技術にフォーカスし、技術面でのトレンドや技術開発の立場について解説しました。

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佐藤氏の講演

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藤川氏の講演

草野新太郎氏(ISHI日本チーム代表)からは、国際健全種子推進機構(ISHI)の発足経緯・組織・業務における現状と課題についてオンラインで講演がありました。白川隆氏(元農研機構)からは、種子伝染性病害対策の要点、特に種子消毒法について解説がなされました。

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草野氏の講演

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白川氏の講演

7つの講演の後の総合討議は、オンライン参加者からの質問や事前の質問への回答のみならず、公的機関・研究者・種苗会社という異なる立場からの問題の把握、要望提示並びに意見交換がなされる貴重な機会となりました。

参加者の声

参加者からは、以下の様な感想・意見が寄せられました。

  • 研究や研修をコーディネートされている方の経験を聞け、参考になった。
  • 植物検疫やISTAなどの基礎的な話から、より現場に近い話まで、幅広く聴講出来て大変勉強になった。
  • 特に最後の討議は、色々な立場からの本音が聞けて良かったと思う。

JICA筑波では、今後も現地や専門家のニーズにこたえる研修を企画して参ります!

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