JICAボランティア活動報告:茨城県守谷市立高野小学校教諭 大里修史JV

【写真】大里修史JV茨城県教育委員会 守谷市立高野小学校教諭
大里修史JV

【活動報告】 

茨城県教育委員会 守谷市立高野小学校教諭 大里修史JV
2016年度1次隊 青年海外協力隊(現職教員特別参加制度)
派遣期間:2016年6月〜
派遣国:エチオピア連邦民主共和国  職種:理科教育

【1】自己紹介 

初めてエチオピア国内を旅行した際に、「ドルゼ村」の方々が民族衣装を着せて撮影してくれました。

8月9日のサマースクールの日に、日本の戦争について子供たちに話をする機会があり、折り紙で一緒に鶴を折って、エチオピアから『世界の平和♪』を願いました。

サラム・ノウ♪(平和ですね)。
デナ・イグザビエル・イマスガン♪♪(神様のおかげですね)。

エチオピアでは毎日いたる所で、この挨拶が何度も何度も繰り返され、誰もが温かく挨拶を返してくれます!!

皆様、初めまして。青年海外協力隊2016年度1次隊、理科教育でエチオピアに派遣中の大里修史と申します。
私は、茨城県結城郡八千代町の出身で、今回、JICA青年海外協力隊の『現職教員特別参加制度』を活用し、ここエチオピアの「マスカラム小学校」で1年9ヶ月間、理科教育のボランティアとして活動しています。エチオピアに来る前は、守谷市立高野小学校で5年生の担任をしていました。この度、青年海外協力隊に参加した動機は、日本で教員として小中学校併せて13年間勤務し、日本の子供たちと毎日触れ合いつつも、途上国の子供たちの様子や現状について関心が強く、自分でも何か手助けできることがあれば、ぜひやってみたいという気持ちから参加を決意しました。

【2】任国,任地の様子について

レストランで食事をしていたら、見ず知らずのエチオピアの方々に「グルシャ☆」してもらいました。

エチオピアの約60%の方々が「エチオピア正教」と呼ばれるキリスト教の教えを重んじて生活しています。彼らにとって、毎週水曜日と金曜日は「ツォム」と呼ばれる断食の日で、肉や乳製品類は一切口にしません。休日には朝から家族で教会へ赴き、神に真摯に祈りを捧げます。このように宗教を重んじるエチオピアの人々は、『ホスピタリティ精神』にあふれており、私たち外国人に対してたくさんのもてなしをしてくれます。食事中の方の近くを通ると、すぐに「インニブラ〜♪(一緒に食べよう)」と声を掛けてくれ、見ず知らずの私に対して「グルシャ☆」と呼ばれる食事を食べさせてくれる行為をしてくれます。初めの内は抵抗があったのですが、今では喜んで「インニブラ〜♪」で「グルシャ☆」してもらっています!!

そんな彼らも新年やクリスマスなどの祝祭日には、親族一同で盛大にお祝いします。自宅の近くに羊や山羊を売買している場所があるのですが、祝祭日の翌朝には『すべて皮だけ』になって皮製品を取り扱う業者さんに引き取られて行きます。動物の命が無駄なく使われている場面を目の当たりにして『命の大切さ』について、日々深く考えさせられています。

【3】活動について 

勤務校「マスカラム小学校」での生徒実験授業の様子。どの生徒も真剣な表情で意欲的に実験活動に取り組んでいました。

『理科デモンストレーション授業』において、エチオピアの理科の先生方と実験器具の作り方や使い方について研修しました。

配属先の「マスカラム小学校」では、主に7年生(日本の中学1年生)と8年生(日本の中学2年生)の「物理、化学、生物」の授業に参加し、エチオピアの先生方と授業内容について振り返り、改善点を話し合ったり、観察・実験の準備や運営を行ったりしています。エチオピアでは、実験道具の不足が主な原因で、生徒は実験ができず、教科書の内容をただノートに写すだけの授業がほとんどです。そのため、先生自身も実験経験が不足しているため、実験授業を指導できない場合が多いです。だから私は、現地の安価で手に入りやすいもの(ペットボトルなど)を活用して実験道具を現地の先生方と一緒に製作し、生徒たちが自ら実験活動できるように『環境づくり』に取り組んでいます。

その他には、首都のアディスアベバ市内に派遣されている他の理科教育ボランティアと一緒にグループを組み、勤務校以外の市内の小学校へ行き、実験道具の作り方や実験授業をエチオピアの先生方に紹介する『理科デモンストレーション授業』を行っています。昨年度は、計30の小学校へ行き、約4000人の生徒たち、そして約600人の先生方と共に理科の実験授業について研修することができました。先生方が時間通りに集まらないなど、思うように行かないことだらけですが、一人でも多くのエチオピアの先生が実験授業の重要性を認識して、労を惜しまず、生徒のために実験授業を取り入れてくれることを切に願い、日々活動に励んでいます。

【4】これまでの生活,活動の中で印象に残っていること  

エチオピアの生徒たちが、母国の文化や特徴について調べたことを一所懸命、日本の子供たちに伝えることができました。

エチオピアの教え子たちと、日本の教え子たちがつながり、一緒に記念撮影をしました。

日本を出国する際、最後に担任した小学校5年生の児童たちに、翌年6年生になったらエチオピアの子供たちとインターネットのテレビ電話を活用して交流することを約束し、それはエチオピアでの『私の一つの夢』になりました。しかし、この年、エチオピアは各地での度重なる反政府デモ行動によって、2016年10月に政府から「非常事態宣言」が出され、国内のインターネット通信が停止されてしまいました。それによって、私の夢の実現が一気に遠のき、一時は諦めかけました…。

しかし、国内情勢が徐々に落ち着きを見せ、インターネット通信状況が少しずつ回復し、6年生の児童たちが卒業を間近に控えた2月末に『Ethiopia-Japan Interaction Project☆(エチオピア‐日本交流会)』を実現することができました!!私のエチオピアでの教え子である8年生の代表生徒と、日本の教え子である6年生児童が、パソコン上の画面を通して、互いの国の文化や特徴など調べたことについて伝え合いました。それぞれの学校で学習している「英語」を使いながら子供たちが楽しそうに会話している姿を見て、約1万kmも離れているエチオピアと日本の距離が一気に近づき、心の底から喜びを感じました。この交流会が、エチオピアと日本の子供たちにとって、よい思い出になってくれれば幸いです。

【5】今後の抱負,皆さんへメッセージ 

日本に一時帰国した際に、エチオピアの民族衣装を娘たちにプレゼントし、自宅で記念撮影しました。

勤務校の先生方が、昨年度の自分の活動を評価して下さり、素敵な賞状をいただきました。

青年海外協力隊への参加を決意した時、私には妻と二人の娘がいました。協力隊員は基本単身での活動になるため、約2年間家族と離れることは私にとって大変つらく、何度も悩みました…。それでも、途上国の子供たちのために、今、自分ができることを精一杯やりたいという気持ちを家族に伝えたところ、私の背中を強く押してくれました。途上国において一人で生活していると、精神的に不安定になることも多々あり、毎日のように家族に会いたいという気持ちになりますが、その度に日本の家族が励ましてくれました。

エチオピアでの私の活動もいよいよ残り3ヶ月になりました。今は、残りの任期を精一杯エチオピアの方々のために尽力し、悔いのないように活動に邁進したいと思っています。これまでの自分の活動を振り返ると、自分一人での活動には限界があり、エチオピアと日本の多くの方々に助けられ、支えられながら活動することができました。人と人との『よき縁』を大切にしながら、残り3ヶ月の活動に精一杯取り組み、家族やお世話になっている方々に胸を張って日本に帰国できるよう、『全力投球』で頑張ります!!
アムセグナッロ♪♪(ありがとうございました)

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