【JICA海外協力隊活動報告】 茨城県ひたちなか小野明子JV(マラウイ)

【写真】小野明子2017年度1次隊 青年海外協力隊
小野明子

【活動報告】 
茨城県ひたちなか市 小野明子
2017年度1次隊 青年海外協力隊
派遣期間:2017年7月~
派遣国:マラウイ  
職種:公衆衛生

【1】自己紹介

任地カウェチェヘルスセンタースタッフと共に

Mwauka Uli?(こんにちは、おげんきですか?)
私は、青年海外協力隊として2017年7月よりアフリカのマラウイ共和国北部ムジンバ県カウェチェヘルスセンターと言う所で活動しています。日本では看護師として働いていましたが、こちらでは公衆衛生隊員として主に乳幼児健診を行っており、ヘルスセンターや村々にあるヘルスポストと言う所を巡回し、健診が毎回正しく行われる様にヘルスセンターや地域のボランティアへの指導やお手伝いをしています。健診以外ではヘルスセンターの外来業務が円滑に進むようヘルスセンターの5S(整理整頓)指導、外来業務のお手伝いの他、大人や子供の健康を保つための健康指導なども行っています。

【2】任国任地の様子について

乳幼児健診でのヘルストーク

私の任地ムジンバ県は標高が1200m程で10~12月が一番暑く30℃前後、5~7月は寒く7℃まで気温が下がることがあります。主食はシマというメイズ(白トウモロコシ)の粉で作るお餅の様な団子の様な物で、トマトソースや青菜炒め、豆の煮込みなどと共にいただきます。街中の人はこれに肉や魚等を合わせて食べますが、農村部では卵は週~月に1回、肉は年に数回食べられる贅沢な品です。マラウイにはマラウイ湖という大きな湖があり、そこで獲れる小魚を干したものも肉の代わりに食べられます。マラウイには雨期と乾季があり、雨期である暑い時期にメイズを育てそれを備蓄し1年かけて食べます。少なくとも私の近所や職場の人達は全員メイズを育てています。メイズを植える時期(10~12月)は皆大忙しで、子供から大人まで鍬を抱えて歩いているのをよく見かけます。マラウイはWarm Heart of Africa と呼ばれており、人は親切で温厚です。私の住んでいるマラウイ北部の人々は特に人懐っこく、私が街を歩いていると知らない人でも多くの人に声を掛けられます。肌の色が黒くない人達をここでは「アズング」と呼ぶのですが、よちよち歩きの子供が「アジュング!」と言って一生懸命手を振る姿は本当に愛らしいです。

【3】活動紹介 

紙ナプキンワークショップ記念撮影

乳幼児健診での体重測定

私は任地のヘルスセンターでの活動の他に、生理用布ナプキンの啓発活動もしています。ここマラウイでは金銭的余裕がなく紙ナプキンを購入できない女性が多くいます。この様な人達は古い布切れをちぎって充てているだけの為、生理中は安心して畑仕事や学業に専念できない現状があります。古い布を使用して作成できる布ナプキンの作り方を指導し、使っていただき、良ければ地域の周りの女性たちにも作り方を広めて欲しいと、現在は12歳から14歳の女生徒を対象に学校を巡回して布ナプキン作成ワークショップを行っています。

その他、私は公衆衛生グループとしても活動しています。マラウイに派遣されている公衆衛生隊員と共にヘルスパスポートの啓発活動を行っており、県内ヘルスセンターを巡回し指導をしています。ヘルスパスポートとは子供の健康手帳の様な物で、毎月乳幼児健診に訪れた子供の体重を記入します。ここマラウイでは特に11月から4月に食物不足から低体重の子供が急増します。低体重・低栄養が起因し亡くなってしまう子供も居ます。健診が正しく行われ、多くの低体重の子供を早期に発見し重症化するのを阻止出来ればとメンバー全員で邁進しています。

【4】生活・活動で印象に残っていること 

公衆衛生グループ巡回活動

WHOの報告では、マラウイの平均寿命は64.2となています。確かに長生きしている方はいます、しかし私のマラウイ人の知り合いで両親ともに健在の方は少ないです。聞くと殆どが病死だそうです。突然こんな暗い話で申し訳ないのですが、ここマラウイでは日本よりも死は身近なものです。以前、知り合いのNGOでのDRABC(蘇生法)の講習に参加させていただいた事があるのですが、危険の排除・意識の確認・気道確保・呼吸の確認の後に呼吸が無ければ人工呼吸、脈が無ければ心臓マッサージが入るはずなのですが、その講習では呼吸の確認までしか行いませんでした。医療機関が整っていないマラウイでは、呼吸停止の時点でそれは「死」であり、それ以上の蘇生は意味を成さないのです。つい先日、職場スタッフの旦那さんが結核で亡くなりました。つい2週間前に「結核かもしれない」とのお話しを伺い、その直後に入院したと聞きましが、私は「結核は死ぬ病気ではない」と楽観視していました。亡くなったと聞いた時は本当にショックでした。日本では助かる命がここでは殆ど助かりません。だからこそ「予防」が大事だと強く感じました。予防すれば助かる命は多々あると言う事を強く訴えていかなければならいと、改めて強く感じました。

【5】抱負・メッセージ

【画像】私の任期もあと僅数ヶ月です。たった2年で全てが変えられるとは思って居ません。しかし、関わった方たちが少しでも健康維持や予防に目を向けてくれれば幸いと感じています。100人いや、1000人のうち一人でもいいので私の活動により何かしら影響を受けていてくれればと思います。その為には最後まで伝える努力をしていくのが必要だと感じています。
 ヘルストークの継続・布ナプキンワークショップ参加者1000人突破が目標です。
 私は、40歳目前にして悩んだ末協力隊に参加しました。楽しい事よりも苦しい事の方が多いですし、うまくいかない事の方が普通です。しかし、学ぶ事も沢山ありますし、うまくいった時は困難があった分嬉しさ倍増します。私はマラウイに来て大変貴重な経験が出来ていると感じますし、協力隊に参加して本当に良かったと思って居ます。
 皆さん、もし国際協力に興味があるようでしたら臆せず是非挑戦みてください。国際協力でなくとも、日本とは違う文化や現状を是非一度は目で見て体感してみて下さい。必ず何かしら得るものはあると思います。