【隊員たちのイマ】今、ここからできることを~西野尚之さん(アフリカ・タンザニアから帰国、行方市(茨城県)で農業支援)~

【写真】西野 尚之さん(茨城県ひたちなか市出身)2018年度2次隊(青年海外協力隊) / 2018年10月~2020年3月派遣 / タンザニア / 障害児・者支援
西野 尚之さん(茨城県ひたちなか市出身)

2020年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、世界各国で活動中の全てのJICA海外協力隊員が一時帰国となりました。西野さんもその一人としてアフリカ・タンザニアから急遽帰国、日本国内での待機中に、茨城県行方(なめがた)市・JICA筑波が実施した国内研修に参加。この研修中に「農家が働き手を求めている」という話を聞いた西野さんは、研修後に行方市に戻り、約半年間、農家のお手伝いを行いました。西野さんのタンザニア・日本国内での活動の様子をご紹介します。

自 己 紹 介

算数の授業の様子

日本文化紹介の習字体験

Mambo vipi jamani?(みなさん、お元気ですか?)


私は、茨城県ひたちなか市で生まれ、大学では社会福祉を専攻し、卒業後はろう学校で2年間働きました。


大学の頃から専門性を活かし国際協力がしたい、若いうちに挑戦し、自分らしいキャリアを築きたいと考え、JICA海外協力隊に参加しました。


私はアフリカ・タンザニアのムトワラ州とキリマンジャロ州の2ヵ所のろう学校(聴覚障害特別支援学校)に配属され、
算数・理科の授業と教員の技術向上、裁縫グループの支援を行いました。

行方市での国内待機中の活動について

チンゲン菜の植え付けの様子

ビニールハウスの修理作業の様子

茨城県行方市では、多くの外国人技能実習生が農家で実習していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、祖国へ帰国してしまいました。これに加え、高齢化の影響もあり、多くの農家では人手不足の問題を抱えていました。一方、一時帰国したJICA海外協力隊も、日本国内での活動の場を求めていました。そんな時、行方市・JICA筑波による3日間の農業研修が8月に実施されると知り、応募・参加しました。

研修参加中に、研修終了後も農家は支援を必要としており、人手不足の農家で隊員が活動すれば、相互利益(WIN-WIN)の関係を作ることができる、との話がありました。これを聞き、行方市に戻ることを決めました。10月から再び行方市での活動が始まりました。

10月からの活動では、チンゲン菜農家とサツマイモ農家で農業の手伝いをしました。チンゲン菜農家では、農地の草刈り、肥料散布、ビニールハウスの修理、サツマイモ農家では出荷作業を手伝いました。休み時間には、一緒に働く中国人技能実習生と中国語と日本語を教え合うなどの交流もできました。私は農作業が初めてだったので、農家さんに「なぜ、この肥料を入れるのか?」など多くの質問をしましたが、皆さんは惜しみなく知識と技術をシェアしてくださいました。慣れない肉体作業で疲れましたが、長年の農業で培った技術と知識をもつ農家さんが丁寧に教えてくださり、充実した活動でした。

今後の抱負

私は日本国内での待機期間中も、しばらくは任国のタンザニアにいるような気分が抜けなかったので、「Pole Pole(のんびり)」していました。漠然と「来年から働き始めることができれば良いだろう」と考え、行方市での活動の他、自己研鑽を続け、次の進路について考えていました。その中で、自分は社会的に弱い立場にある人を広く支援するような仕事がしたいのだ、ということが見えてきたため、2021年度に採用される茨城県庁の福祉職に応募、内定をもらうことができました。

学び続ける姿勢、新しい場所に溶け込むこと、そして相手との信頼関係を築くことは、協力隊活動に限らず、様々な場で必要とされる能力です。この記事を書いている現在は、新しい仕事を覚えることや慣れることに精一杯の状況ですが、伸びしろがある、自分が成長できるチャンスだ、ととらえています。このような挑戦ができるようになったのは、協力隊と行方市での活動で得た経験の賜物だと感じています。自分らしいキャリアを築き、その結果、社会に貢献できるようにしていきたいと思います。

最後に(JICA筑波より)

今回、新型コロナウイルスの影響により帰国した西野さんに研修の機会や国内活動の場を提供してくださった行方市及び農家の皆様、本当にありがとうございました。

西野さんの次のステップでのさらなるご活躍を応援しています!