~次世代の国際協力アクターが熱い議論を交わしました~2021年度「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」が終了

2021年9月21日

全員で記念撮影!

8月23-27日、JICA筑波は「大学生・大学院生向け国際協力理解講座」を実施。全国から21名の大学生および大学院生が参加しました。コロナ禍の影響により、今年は全編オンライン形式となりましたが、参加した大学生・大学院生の皆さんは、様々な立場で国際協力に関わる講師からの話を聞き、活発な議論を交わしました。講座の内容を一部ご紹介します。

国際協力を目指す学生のために~大学生・大学院生向け国際協力理解講座とは

JICA筑波ロビーのSDGs関連展示を紹介

JICA筑波では、国際協力に関心をもつ大学生・大学院生を対象に「国際協力理解講座」を毎年実施しています。将来、JICA海外協力隊として活動すること、あるいはJICA・NGO・開発コンサルタント・企業などで国際協力に従事することを検討している学生の皆さん向けの講座です。

例年は「国際協力実務講座(初級編)」と「農業コース(5コース)」を実施していますが、今年は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、「国際協力実務講座(初級編)」のみを、全編オンラインで8月23日—27日の5日間実施しました。

「国際協力実務講座(初級編)」は、幅広い分野の学生が対象。JICA内外の国際協力の現場で活躍する様々なアクターの皆さんが講師になり、事例を交え、それぞれの立場の思いや役割などを話してくれます。また、ディスカッションや参加型ワークショップなどがあり、参加者自身も開発に関わる疑似体験ができます。これらのプログラムを通じ、国際協力の実務に必要な基礎知識や手法を学びます。

今回の講座の主な講義・ディスカッションテーマは次の通りです。

・国際協力概論(ODA・JICA事業概要説明、援助事業計画策定、農業・農村開発分野におけるJICA協力事業)
・ODAがつなぐ多様なアクター(民間企業、NGO、ボランティア)の講義、経験共有
・案件形成、事業マネジメントのためのツール(PCM手法)
・国際協力実務の先輩とのキャリア懇談会
・国際協力キャリアについての講義、ディスカッション
・国際協力分野におけるキャリア開発(自分らしいキャリアの発見)

全編オンライン形式の講座、その満足度はいかに?!

JICA筑波の圃場見学を生中継

「好きな音楽と言えば?!皆さん1曲ずつチャットボックスへどうぞ!」といったアイスブレイクからプログラムはスタート。講座は全編オンライン形式のため、参加者の皆さんがどんどん発言や質問できるよう工夫を凝らしました。具体的には、Zoomのブレイクアウトルームを使い、メンバーを入れ替えながら参加学生同士のディスカッションを深めていきました。最初こそ緊張した雰囲気がありましたが、皆すぐに打ち解け、最終日には互いのこだわりや個性についてコメントしあったり、目標を語り合ったりする姿が見られました。

Webカメラを持ったスタッフがJICA筑波施設や農業研修用の圃場を案内するオンライン施設見学も今年初めて実施。学生たちからたくさんの質問が出て、とても盛り上がりました。

また、オンラインキャリア懇談会では、小グループに分かれ、JICA筑波スタッフなど国際協力業界の先輩に、進路選択についてのこだわりや学生時代に考えたことを直接質問する機会としました。

近年、開発途上国への民間企業による投資や現地ニーズに合った商品・サービスの開発が活発になっています。国際協力は、JICAや国連の職員などでなければできないものではなく、民間企業の立場でも、も世界の課題解決に貢献しやすくなりました。これは、参加した多くの皆さんにとっては、新たな発見だったようです。

今回の講座に関わったJICA筑波スタッフも、参加した学生の皆さんからたくさんの刺激をいただきました。これからも、将来の日本・世界を担う世代に向け、役立つ講座を企画・実施していきます。

参加者の声(一部抜粋)

・私は日本と西アフリカを繋ぎ、互恵関係を築ける仕事がしたいという思いがあり、JICAの事業の中でも特に海外展開支援に関心があり今回の講座に参加した。しかし国際協力分野に限っても、アフリカと関わり続ける方法はJICA以外にも様々あり、キャリアを考える上で本講座は他のアクターや分野にまで視野を広げる好機となった。また残念ながらオンラインでの開催であったが、各講義後の質疑応答や懇談会が多く設けられており、ホームページ上のみでは知る事が出来ない業務の実態を知る事が出来、実際に会いお話を伺う事の重要性を改めて理解することが出来た。

・本講座に参加する際に最も意識していたのは、自分の将来の展望を明確にすることだった。講座内で国際協力に関わる様々なアクターの方からお話を聞き、それぞれの特色を知ることができた。以前は国際協力のアクターといえばJICAや開発コンサルタント、NGOなどを想像していたが、今回民間企業もその一つになっていることを知り、強く惹かれた。民間企業が持っているそれぞれの強みをビジネスとして海外に展開するうえに、国際協力にもなるという利点が素晴らしいと感じた。そのため私は民間企業から国際協力に携わっていくことを軸にして今後活動していきたいと考えている。国際協力の分野の中でも保健分野やジェンダーについて興味があるため、そうした分野に関する業務内容の企業を中心にみていきたいと考えており、本講座で習った、強みをユーザーにどう還元できるかという点も同時に重視したい。そのために現在不足している専門性や語学力を身につけたい。

・他大学の学生とのグループワークを通じて、主体的にワークショップや議論に臨むことの重要性を感じた。そうすることで、違った立場・視点をもつ者同士であっても、相手の意見を尊重し多角的な視点を持ち寄りながら、実施可能な範囲の中でベストな事業を形成することができると感じた。今後は、他者を尊重するということ、そしてたとえ意見の相違があったとしても問題から目を背けるのではなく、互いに歩み寄り取捨選択しながら同じ目標達成に取り組みたい。