所長あいさつ

「Pearl of Africa(アフリカの真珠)」…往年のイギリス宰相チャーチルがそう呼んだウガンダ共和国。豊かな緑、1年を通じて穏やかな気候、和やかな人々が印象的です。東アフリカの大国ケニア、タンザニアと国境を接する内陸国でありながら、近年堅調に経済成長を遂げ、国家計画のスローガンも「貧困削減」から「Prosperity for All(万人のための繁栄)」に衣替えし、活気溢れる国へと変わりつつあります。

しかしながら、「Prosperity for All」を叶えるためには、多くの課題があることも事実です。ウガンダがさらなる発展を遂げるためには、さまざまな制約を克服していかなければなりません。例えば、経済基盤(インフラ)。東アフリカ域内の貿易・流通が活性化の兆しを見せる中で、交通網の拡充・整備は喫緊の課題です。また、産業振興の基盤となる電力はナイル川という水資源を活用しつつ、開発が進められていますが、農村の電化率は低く、また今後の需要を満たしていくには不十分であり、このままでは一層の投資を呼び込むことが困難です。また、「経済格差」という点では、北部地域では内戦が長く続いたため、他の地域と比べて発展が遅れをとっています。

こうした課題に呼応するかたちで、ウガンダ共和国に対する我が国の援助方針では「経済成長を通じた貧困削減と地域格差是正の支援」を大目標として掲げ、「経済成長を実現するための環境整備」、「農村部の所得向上」、「生活環境整備」及び「北部地域における平和構築」が重点分野として掲げられ、JICAもこれに沿った事業を展開しています。さらなる経済成長に貢献しつつも格差の拡大に配慮する、まさに「Inclusive Growth(包摂的な成長)」を支援できるような事業を計画・実施していきたいと考えています。以下、具体的に重点的に支援している分野について説明します。

道路や電力をはじめとする経済成長に直結するインフラ整備は、先方政府からも特に要望の強い分野です。2011年、円借款による「新ナイル架橋建設事業」の借款契約が調印されましたが、インド洋に面したケニアのモンバサ港からウガンダやその先のルワンダなどへの物資を運ぶための重要な施設として市民からの関心も非常に高い事業です。また、国民の多くが従事している農業分野での収入向上は、国全体の所得向上につながります。ここでは、日本の強みを生かしたコメ生産向上や畜産振興に資する支援行っています。

「Inclusive」という観点では、人々の基礎的生活水準の向上が欠かせません。この分野では、保健サービスの質の向上や安全な水へのアクセスの改善がはかられるような事業を実施しています。また、先に述べた「北部地域」の遅れを取り戻すべく、同地域に焦点を当てたインフラの整備のみならず、開発を支える地方自治体の能力を強化するための支援など、横断的な事業にも取り組んでいます。さらに、いずれの分野においても、施設建設といったハードの支援と並行して、それを持続的に支えるための人材育成、つまりソフトの面にも注力しています。

私は、ウガンダ共和国に赴任し、その豊かな自然の恵みもさることながら、この国の人々とともに働き、勤勉で真面目な人柄に触れて、大いなる可能性を感じています。「可能性」がそれにとどまることなく、目に見えるかたちになるような協力をすること。それを責務として全うしたいと思います。

ウガンダ事務所
所長 河澄 恭輔