所長あいさつ

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バヌアツ国は、80年近くフランス、イギリス両国の共同統治が続いた後、1980年7月に独立を果たした若い国です。80以上の群島で構成されており、人口(約27万人)の8割近くが地方の離れた島で生活し、そこでは未だに伝統的なメラネシア文化(先祖崇拝、氏族間の儀礼交易、天地創造神話)が色濃く残されています。

バヌアツ国の歴史を俯瞰すると、17世紀の初めに「南方大陸」の存在を信じたスペイン人探検家が群島に現れ、キリスト教が徐々に広がるきっかけを作りました。その後、18世紀半ばにフランス人、イギリス人の探検家が次々と群島に到着し、当時の植民地主義を背景に群島を統治していく中で、20世紀の初めにはフランス、イギリス両国による共同統治が行われました。そのため、現在でも英語系の学校とフランス語系の学校があり、ビスラマ語(ピジン英語),英語,仏語のいずれもが公用語として話されています。

このような歴史を持つバヌアツ国にJICAは1988年に事務所を開設し、JICA海外協力隊の派遣や技術協力プロジェクトを通じ、人材育成を中心とした様々な技術支援を実施してきました。このボランティア事業は2018年に協力隊派遣30年を迎え、大きな節目を迎えました。今後更にボランティア間の連携を持った取り組みを進めていきます。技術協力プロジェクトでは、廃棄物管理を通じた環境対策、沿岸の水産資源を保全する資源管理、防災対策に係る支援を展開しています。また、無償資金協力を通じて埠頭、橋梁、病院、水力発電所等の社会インフラ整備に取り組み、社会経済の成長支援をしています。

2018年2月には、バヌアツで初めてとなる円借款事業、「ポートビラ港ラペタシ国際多目的埠頭建設計画」が竣工し、盛大な引渡し式が開催されました。国際貿易の拠点であるポートビラ港は、経済成長に伴い年々増加する輸入貨物に迅速な対応ができなくなっていましたが、国際多目的埠頭の完成により、急増している国際貨物や観光客船への対応が強化され、貨物の滞留の緩和および物流の改善、同国の持続的な経済成長に貢献しています。

バヌアツ国の国家開発計画(2016年~2030年)では、「社会」、「環境」、「経済」の3つの柱の下に持続可能な開発目標が設定されています。JICAはこの国家開発計画に対し、「経済成長基盤の強化」、「社会サービスの向上」、「環境保全」、「気候変動対策」の5分野に重点を置いた協力を実施中です。

大洋州諸国共通の課題である拡散性(国土が広大な地域に散らばる)、狭隘性(国内市場が小さい)、遠隔性(国際市場から地理的に遠い)といった決して有利とはいえないこの地域の特徴を受け入れた中で、自然環境と共存しながら持続的に発展していく方法を、バヌアツの人々と共に考え、支援していきたいと思います。

2019年4月
JICAバヌアツ支所一同