アフリカでのビジネス・イノベーションの創出に向けて

アフリカ投資ファンドと連携した起業家支援の調査を開始

国際協力機構(JICA)と株式会社サムライインキュベートアフリカ(代表取締役社長:寺久保 拓摩、共同企業体代表)及びPwCコンサルティング合同会社(代表執行役CEO:足立 晋)は8月9日、ベンチャー投資と経営支援を通じたアフリカのスタートアップ企業の成長加速方法を分析・検討するため、起業家支援のためのファンドに関する調査の委託契約を締結しました。本調査は、TICAD7でも新たなアフリカ貢献の鍵として注目される「イノベーション」の創出につながることが期待されています。

ビジネスの「最後のフロンティア」と呼ばれ今後の成長に期待が集まるアフリカ。一方で、生産拠点が少なく製造・物流にかかるコストが高い、自営店舗が多く販売網の構築が困難、銀行口座を持てない人が多く決済方法が限られている、起業するための融資を得にくいなど、生産・流通・販売の各プロセスで様々な課題を抱えています。

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近年、世界的にモバイル、クラウド、AI等のテクノロジーが浸透する中、ICTを活用したイノベーションでこれらの課題を一足飛びに解決しようとする起業家がケニア・南アフリカ・ナイジェリアなどを中心に頭角を現してきており、携帯を利用したモバイルマネーの普及やGPS/ドローンを活用した物資の宅配など、新しいビジネスモデルが既に実用化されています。

こうした動きを加速化させるため、JICAは本調査の実施を決定。既にアフリカの起業家への投資ファンドを運営しているサムライインキュベートアフリカや、アフリカビジネスの知見を有するPwCコンサルティング合同会社の経験を活かしつつ、アフリカの起業家が抱える課題の特定、企業の成長段階に応じた投資ファンドのあり方、企業経営の能力強化法や産業毎の起業家間の連携促進による成長加速方法などを調査します。また受託者が自らのファンドを活用し、ファンド運用に係る分析を行い、報告や提言を取りまとめる予定です。(注:JICAは当該ファンドに投融資を行いません)

また調査の過程において、アフリカ起業家と日本企業とのマッチングや、JICAの技術協力で育成したスタートアップ企業のファンドへの紹介なども計画されており、今後の新たなファンドの組成促進や、更なる起業支援の活性化が期待されます。

TICAD7に合わせて関連イベントを実施

1.エチオピアビジネスプランコンテスト「Solve IT 2019」

「エマージングテクノロジー(ET)を活用し、社会問題をビジネスとして解決する」新たな試みとして、JICAはサムライインキュベートアフリカ社、GAX社や在エチオピア米国大使館等と連携し、2018年12月よりエチオピアにて若者を対象にビジネスプランコンテストを開催しています。これまで18~28歳の若者2000人超が参加し、7月中旬までに63チームが勝ち残り、企画のブラッシュアップトレーニングを受けています。8月17日の決勝戦では、サムライインキュベートアフリカ社寺久保氏、GAX社秋間氏が審査員として参加し、有望な起業家の発掘や今後の日系企業との連携可能性の模索を行います。また、優秀者の一部には今年10月に予定されている日本経済新聞社主催のビジネス視察団訪問時に実施するピッチイベントへの登壇が予定されています。

2.TICAD7サイドイベント「イノベーションを通じたアフリカの社会・経済構造転換」

アフリカの成長に不可欠であるイノベーション。カイゼンもイノベーションを促進する重要な要素として、アフリカ開発のための新パートナーシップ(AUDA-NEPAD)、エチオピア政府高官、アフリカ開発銀行、株式会社サムライインキュベートアフリカなどにより議論します。

日時

8月27日(火)13:00~15:00

場所

ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 「シルク」

登壇予定者

  • Ibrahim Assane Mayaki, AUDA-NEPAD 長官
  • Abiy Ahmed, エチオピア首相(TBC)
  • Bezabeh Gebereyes, エチオピア公務員任用委員会 委員長
  • Célestin Monga アフリカ開発銀行副総裁(TBC)
  • 寺久保拓摩 株式会社サムライインキュベートアフリカ 代表取締役
  • アフリカカイゼンアワード優勝企業(2社)
  • 大野泉 JICA研究所 所長
  • 中村俊之 JICA 産業開発・公共政策部部長

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