スポーツと開発

スポーツと開発

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs
#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#5 ジェンダー平等を実現しよう
SDGs
#16 平和と公正をすべての人に
SDGs

性別や社会的な立場などの制約を受けず、みんなが等しくスポーツを楽しめる平和な社会を実現します。

グローバル・アジェンダの目的

すべての人が性別や年齢、文化、社会的・経済的地位、障害の有無などに関係なくスポーツを楽しめる、それを等しく選択できる平和な社会の実現を促進する。

背景と課題

(1)国際場裏の動向

古くからスポーツは権利として捉えられており、UNESCOも1978年11月に採択した『体育およびスポーツに関する国際憲章』に「体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利である」と明記している。また、21世紀に入ってから「スポーツと開発」の考え方も発展し、2015年9月に採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』では、「スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。」と前文にて明記されている。

(2)開発途上地域の課題

開発途上地域においては、予算、人材、関連機関の組織力等から、政策があっても十分な事業ができていない場合が多い。また、競技スポーツのみを強調している場合も多く、特に障害者や女性などの社会的に弱い立場に置かれた人々のスポーツの機会は限られている。更に、学校体育は世界の9割以上の国で必修化されているにもかかわらず、十分な実施がなされていない場合が多い。

(3)日本・JICAが取り組む意義

すべての人々にスポーツへのアクセスを可能とした学校体育の経験、ラジオ体操など生活や社会の中に早くからスポーツを取り入れた経験、長きにわたるJICAの「スポーツと開発」取組実績といった日本の強みを活かし、スポーツ分野での国際協力を行うことは、精神的な豊かさを含めて人間開発をとらえる日本の開発理念を実践し、日本らしい協力の存在感を示す意義がある。

主要な取り組み

「スポーツと開発」には、スポーツを課題と捉える「スポーツの開発」とスポーツを手段と捉える「スポーツを通じた開発」の2つの観点があり、双方に取り組む。なお、クラスターは設定しないが、以下3つの柱を設定する。

1)スポーツへのアクセス向上(「スポーツの開発」の観点)

開発途上地域におけるスポーツへの参加機会を拡充し、開発途上国の人々に対してスポーツの価値や楽しさを届ける。これらを達成するため、政策・制度・体制・機会を整備する「ソフトインフラ整備」、施設・用具・スポーツをしやすいまちづくりを整備する「ハードインフラ整備」、スポーツ指導者養成など「スポーツの普及・強化」を進める。

2)スポーツを通じた心身ともに健全な人材育成(「スポーツを通じた開発」の観点)

幅広い年代の人々への運動機会の提供を通じて高齢者の体力維持や生活習慣病の予防・改善を促進する。また、学校体育や課外活動の整備を通じて開発途上国の次世代を担う人材を育成する。これらを達成するため、運動機会を提供し、誰もが運動をしやすいまちづくりにより、健康維持・増進を目指す「幅広い世代の健康増進」、学校教育にスポーツを取り入れることで、子どものうちから生涯にわたって健康に過ごすための体力や習慣、加えて非認知能力(注)を身に付ける「教育」を進める。

3)スポーツを通じた社会包摂と平和の促進(「スポーツを通じた開発」の観点)

主に障害者や女性に対して一つの生きがい、かつ、自己肯定感を高める場としてスポーツへの参加機会を提供し、障害者や女性の社会参画を促進する。また、誰もが公正かつ公平に参加できるスポーツ機会の整備を通じて多様な人々の交流を深め、相互理解を促進し、平和な社会の実現に寄与する。これらを達成するため、スポーツを通じて一人ひとりのエンパワメントを図り、それぞれの社会参画を促進することを目指す「社会参画促進」、すべての人々が言語や文化、宗教などの違いを乗り越えて公正かつ公平に参加できる国民大会の開催支援や多様な人々が参加できるスポーツの場の創出に取り組む「平和構築」を進める。

「スポーツを通じた開発」分野の全体像

世界に広がるスポーツとJICAの取り組み

スポーツは、特定の人たちが行う限定的な行為としてのスポーツから、様々な状況の人、様々なモチベーションを持つ人たちが集うことを可能にする社会形成ツールになりつつあります。

「人々が『恐怖』や『欠乏』から解き放たれ、安心して生存でき、人間らしい生活ができる状況を作る。」近年、こうした理念が「人間の安全保障」と呼ばれるようになりました。この概念は、国連開発計画(UNDP)による『人間開発報告書1994』の刊行を契機として、様々な議論に用いられるようになりました。我が国の外交においては1990年代後半から既に、人間の安全保障を重要課題のひとつに位置付けてきました。

日本ではJICAが青年海外協力隊事業など、1960年代から草の根レベルでのスポーツの国際協力活動を展開しており、その存在感はけっして小さくありません。

JICAは「人間の安全保障」を実現するため、ひとりひとりの人間を中心に捉え、確実に届く協力を実践することを使命としています。スポーツは人間の安全保障の観点のひとつである「人間の生にとってかけがえのない中枢部分を守り、すべての人の自由と可能性を実現すること」に寄与しています。

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