「平成17年度年間事業評価書」の公表について(平成18年10月)

国際協力銀行(総裁:篠沢恭助)は、今般、「業務運営評価制度」に基づく「平成17年度年間事業評価書」を、同評価に係る外部有識者委員会(座長:高木勇三 日本公認会計士協会常務理事)の意見書と共に公表しました。その概要等は以下の通りです。

  1. 当行では、「業務運営評価制度」に基づき、中期的な課題を設定した「業務戦略」や、それを各年度の活動へ具体化した「年間事業計画」を策定し、その評価を行っています。今回公表する年間事業評価書は、「平成17年度年間事業計画」(平成17年3月策定)の実施状況を評価したものです。
  2. 本評価書の作成に際しては、類似の評価制度・手法に関する知見、国民あるいは当行融資等の利用者の視点を有する第三者による前述の外部有識者委員会にて、評価手法の検討を行っており、今般、段階評価の基準を変更しました。上記意見書は、評価手法とこれに基づく評価結果の妥当性、および評価制度の運用改善に向けた委員会の意見を取りまとめたものです。
  3. 当行としては、今後とも制度運用の改善に取り組み、評価の質の向上に努める所存です。また、評価結果を国民の皆様に公表・発信することにより業務運営の透明性を高めると共に、評価結果から得られた教訓を今後の業務に反映し、自律的な改善に基づく効果的・効率的な業務運営に努めてまいります。

「平成17年度年間事業評価書」の概要

(1)当行の取り組みを、33課題のもとで体系的に整理

  • 平成17年度は、堅調な世界経済や我が国経済の回復基調継続の一方、中東情勢を始め政治的不安定性、地政学的リスク増大が懸念され、長引く資源・エネルギー価格高騰や経常収支不均衡等が世界経済の不安定要因となりました。こうした中、資源・エネルギー問題への戦略的対応や、経済連携促進、日本企業の円滑な事業展開支援、国際金融秩序の安定等の政策課題への対応、あるいは、開発途上国の経済・社会インフラ整備、貧困・大規模災害・平和構築や地球規模の温暖化問題・感染症等、国際社会のニーズへの対応が求められました。
  • 当行は、これら内外の経済社会情勢を踏まえ、例えば以下のような支援を積極的に行いました。本評価書では、こうした取り組みを、全行的な事業・財務・組織能力に関する「基本業務分野」と、国民に対する成果の視点から当行業務を括り直した6つの「事業分野」(注)における、33の課題のもとで体系的に整理して、三段階による評価を行っています。
    • カザフスタンの油田開発等の資源開発支援
    • 経済連携の動きに対応した海外投資金融等の活用
    • サウジアラビアでの石油化学事業投資支援
    • タイ・バーツ建債券発行等によるアジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)の推進
    • 我が国が表明したアフリカ支援の枠組み(EPSA)における民間セクター開発支援
    • パキスタン地震等の大規模災害に対する緊急復興支援
    • イラク等の平和構築へ向けた支援
    • 地球温暖化対策等の地球環境問題に対する支援

(注)6つの「事業分野」:「国際金融秩序安定への貢献」、「開発途上国の経済社会開発支援」、「我が国にとっての資源の確保」、「我が国の資本・技術集約型輸出の支援」、「我が国産業の国際的事業展開の支援」、「開発途上国における地球規模問題・平和構築への対応支援」

(2)段階評価の基準を変更
〜優れた取り組み・今後留意すべき取り組み等をより浮き彫りに〜

  • これまでの評価実績等を踏まえ、自律的な業務運営等に向けて評価を一層有効に活用するため、優れた取り組みや今後留意すべき取り組み等が出来るだけ浮き彫りになるよう、今回から、段階評価の基準を変更しています。
  • 上記の新たな基準で評価した結果、9課題で「優れた取り組みがなされた」、20課題で「良好な取り組みがなされた」、3課題で「今後の取り組みに留意が必要」、となりました(1課題は評価対象外)。なお、「今後の取り組みに留意が必要」とは、(1)取り組み状況に照らして留意が必要、(2)取り組み状況は優れている、あるいは良好であっても、事業環境の変化等に照らして留意が必要、の二つの場合からなります。これらは、必ずしも当該取り組みが不十分、あるいは不要という意味ではなく、外部要因による計画未達成、あるいは課題等の見直しに繋がる兆候等を積極的に捉えるものなど、課題によって様々な背景があります。
  • 評価にあたっては、今後の業務の改善策等を提示し、例えば、開発途上国における現地日系企業のニーズ把握の強化、円借款業務に国民がより参加しやすい形態・手続きの工夫および各種要望の業務への反映、また、OECD非加盟国を巻き込んだ形で公正な輸出信用制度の構築を図っていく取り組み等に、今後留意する必要があると指摘しています。

ご意見、ご質問について

本評価書に対する皆様のご意見、ご質問等はhyokaseido@jbic.go.jpまでお寄せ下さい。