Interview 15 東 恵理子さん(岐阜県瑞浪市在住)

現在の所属先:株式会社東美濃ビアワークス カマドブリュワリー
青年海外協力隊 バングラデシュ コミュニティ開発(2014年2月~2016年2月)

青年海外協力隊への応募のきっかけは何でしたか?

大学生の時に国際ボランティアでメキシコに1ヶ月滞在し、ウミガメの保護をしました。
その際の、言語も環境も違う国で、様々な国の人たちと活動した楽しさが忘れられず、将来国際協力・交流に携わりたいと思っていました。また、大学卒業後に就職して、記者として取材とテレビ番組制作の経験を積んだので、それを途上国で活かし、現地の様子を知って伝えてみたくて応募しました。

青年海外協力隊としての2年間は、どのような活動を行いましたか?

初めは、現地でのラジオの番組作りで、バングラデシュに日本文化を伝えました。また、日本のラジオ局にバングラデシュの生活を伝えていました。
「この国の魅力と、課題は何か」を日々考察し、現地で過ごすうちに、生活習慣病の蔓延に気づきました。その解決のために、日本のラジオ体操について伝える番組を作りましたが、そこからリアルなコンテンツ作りに発展し、バングラデシュ版ラジオ体操「チョルチョル体操」を現地の体育学院とともに作り上げ、映像をとって普及に努めました。チョルチョル体操は、教育、保健、看護隊員などの協力を得て各地に広がり、私が帰国後も国営テレビ局でも体操番組として放送されていました。

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体操の撮影風景

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ラジオのレコーディング風景

任期を終えて帰国した後、現在のお仕事を選んだ理由やそのお仕事に巡り合うまでどのような道をたどりましたか?

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クラフトビール 窯焚物語シリーズ

任期終了後は語学留学、ニューヨークに短期映画留学をし、帰国後は伝統工芸のフィルム映画を撮る会社で働きました。撮って伝えるだけでは物足りなさを感じ、日本各地の地方創生事業に関わる仕事につきました。
栃木県、茨城県、高知県、長野県などで地域活性化のイベントやポスター、動画作りはもちろん、体験型コンテンツ作り、まちづくり会社の立ち上げや企画にも携わらせていただきました。
最後は地元で、地元にしかできないリアルコンテンツ作りをしたい、と考えながら働いており、タイミングが来たので起業。美濃焼×クラフトビールのまちづくりを目指した今の会社を立ち上げました。

青年海外協力隊として過ごした2年間で経験したこと、それらの経験から学んだことで、今の仕事や人生に役立っていること影響を与えたことなどありますか?

青年海外協力隊は、課題を解決するリアルコンテンツづくりの、第一歩となりました。それまでのテレビ局でのコンテンツ作りの経験に、さらに「持続的に課題を解決する」という要素が加わりました。隊員として派遣されたバングラデシュは、課題だらけだったからです。
また、もう1点加わったのは、「その国・その土地の唯一性である文化を尊重すること」。チョルチョル体操制作の際は、詩人の国であり、言葉の力と表現力が豊かなバングラデシュの文化や魅力を活かした体操作りができました。
現在のカマドブリュワリーでのクラフトビール作りも、この地ならではの文化や地域資源を生かしたビール作りで、地元の魅力を発信し、この地域に訪れる人たちを増やし、地域の活力となることを目指しています。

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歌詞を体操で表現

青年海外協力隊として「海外の開発途上といわれる国が抱える課題にボランティアとして取り組むこと」と、「日本の自分が育ってきた場所や住んでいる地域の課題に取り組み元気にすること」は遠いように感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、共通する点を教えてください。

青年海外協力隊が派遣される場所はグローバルというより、どローカルな任地。その点では、日本の地方や私の故郷と似ています。
また、国や環境や言語が変わっても、どこにでも課題と魅力はあります。任務でしたから、「誰かがやらなきゃいけないことを、自分がやってもいいじゃないか」という任地への責任感を持ち、課題と魅力を分析し、解決に向けた、人を巻き込んだ楽しいリアルコンテンツ作りを目指す点は、変わりません。

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カマドブリュワリーの仲間と