「地域有識者懇談会」(第11回会合)開催概要

1.日時

2017年6月8日(火) 16:00〜17:45

2.場所

JICA中部セミナールームB1-2

3.出席者

委員(50音順):

  • 小笠原剛委員
  • 鈴木孝昌委員
  • 西井和裕委員
  • 原田さとみ委員
  • 山田雅雄委員
  • 渡辺芳人委員

(空木マイカ委員、小川正樹委員はご欠席)

JICA関係者:
国内事業部井倉義伸部長、中部国際センター阪倉章治所長、同 木下康光次長、同 岩瀬誠研修業務課長、同 高坂宗夫市民参加協力課長、同 多田知幸専任参事、同 實川真理子職員

4.議事概要

次の各テーマに関する最近の動向、取り組みの状況につき報告され、引き続き意見交換が行われた。主な報告、意見は以下のとおり。

(1)JICA第4期中期計画【井倉国内事業部部長】

第4期中期目標計画の背景

  • 途上国へのODA以外の資金フローの増加(対外直接投資等)
  • 2015年に開発協力大綱が決定し、触媒としての開発協力、民間セクター等との連携が重点化
  • 持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択

JICAの第4期中期目標計画

  • 開発協力の重点課題(連携の強化:民間企業等との連携、多様な担い手と途上国の結びつきの強化と裾野拡大)
  • 日本国内の連携強化が重要(民間連携、大学等との連携、地方創生への貢献)

(2)JICA中部の年間業務計画【阪倉中部国際センター所長】

JICA中部の強みを生かした支援

  • 東海四県の特色強みを生かした途上国支援、自動車産業だけでない先端技術を含めた「製造業の集積地」という特徴を活かした支援が重要。
  • 同時に、尾張地方の繊維産業のような、昔の勢いはないが蓄積された優れた技術が途上国の開発パートナーになり得る企業を支援する意義は、地域活性化という点でも大きな意味を持つ。

JICA中部の持つ業務メニューを組み合わせた効果的活動の推進

  • 研修、ボランティア、草の根技術協力、民間連携といった個別メニューを効果的に組み合わせたシナジー効果の発揮が重要。一例として、ボランティアの帰国報告会に地元企業を招待し、やる気と可能性を秘めた若者と企業とのマッチングの場を提供。直近の報告会には20社余りが参加し、その後会社訪問や面接に進展。

地球ひろばの一層の活用

  • 東京、名古屋、札幌にしかない地球ひろばを最大限活用して開発教育の場を提供。社会見学として初等中等教育課程(小中高)の子供達に訪問して貰い、積極的な開発教育を展開していく。

【質疑応答(1)(2)に関し】

  • 山田委員
    人材・営業力が不足する中小企業が海外進出するにあたり、JICA中部の人材のマッチング事業はとてもよい機会。また中部のモノづくりのノウハウを活かした海外展開の次段階として、途上国側が自身で日本(中部)にある技術を組み合わせ、自分たちの事業にどう生かしていくかを考えていく仕組み作りはどうか。草の根技術協力を実施しているメキシコシティなどが候補となるがJICAとして提案如何。
  • JICA側
    メキシコとは日墨戦略的パートナーシップがあり、両国間の人の交流の絆は強い。JICAの現行スキームで日本の技術をメキシコに紹介することは十分可能だが、メキシコから来日の際に民間企業とのマッチングを行う機会を作る等、本邦において日本の技術の紹介をすることもできる。今後は、そのような機会を増やしていきたい。
  • 山田委員
    途上国では、現場で仕事をする人に如何に日本の技術とノウハウを伝えるかが重要。例えば、トヨタは現地に進出する際、現地の人材を活用し、トヨタの人材育成を現地で展開している。これは、上下水道分野でも可能で、官民連携を心掛けていくことが重要。
  • 渡辺委員
    東海地域では、東南アジアへの進出を考えている企業が多いが、実現に至っていないケースが多いものと認識。最近、文科省の留学生就職支援プログラムが始まり、名古屋大学は岐阜大、名工大、名城大学と連携して、愛知県、岐阜県、中部経済連合会の協力も得つつ、留学生と中小企業とのマッチング企画を検討しているが、このようなパイプ作りが将来的な進出の実現にもつながるものと思料。

(3)ささしまライブのまちびらき【木下中部国際センター次長】

  • JICA中部がささしまライブに移転して8年経過。グローバルゲートの完成、テナントの入居の加速に今後、まちの一日当たりの来街者数が20,000人を超えると予想されている。
  • 10月に正式に「まちびらき」を行う予定であり、あわせて金城埠頭とささしまライブを結ぶ海上交通が開通、名古屋駅とJICA前を結ぶシャトルバスの運行が開始される計画。
  • まちのコンセプトは「国際歓迎交流の拠点」。まさに、JICAがこのまちで活きるコンセプトであり、まちづくり協議会からの期待も大きい。まちびらきの機会をとらえ、地球ひろばのリニューアルオープン、クロスロードカフェの「食」を通じた発信等のイベントにより、積極的に広報していく計画。

【質疑応答(3)に関し】

  • 鈴木委員
    シャトルバスの運行間隔如何。ささしまライブは名古屋駅とのアクセスが課題。
  • JICA側
    朝夕のピーク時は7、8分間隔の運行となる予定でアクセスの改善につながるものと期待。

(4)研修事業を取り巻く最近の動き【岩瀬中部国際センター研修業務課長】

  • 研修員の受入人数は増加傾向にあり、2016年度は全国で13,000人、JICA中部でも668人を受け入れ。
  • 大学で学ぶ長期研修員は2014年度以降大幅増。2017年度も新規プログラムの立上げにより、JICA中部でも120人規模になる見込み(前年度比5割増)で、関係する大学も増加。
  • JICA中部では、研修実施にあたり、質の高い研修の実施に併せ、「民間企業との連携」「グローバル人材育成」「日本文化理解促進」など拡がりのある取り組みを重視。
  • 2017年度は、増加傾向にある研修員受入に対応すべく制度の見直し合理化を図ると共に、センターの有する多様な知見経験を組み合わせた創造的な事業の実施に配慮。

(5)市民参加協力民間連携事業の最近の動き【高坂中部国際センター市民参加協力課長】

  • 「なごや地球ひろば」の来館者数が2016年度末累計で60万人を突破。本年秋にリニューアルを予定。
  • 本年名古屋市との姉妹友好都市40周年を迎え、長年水道や研修事業でJICA中部が協力を実施してきたメキシコ市にメディア派遣を検討中。また、JICAが一村一品分野の協力を実施してきたキルギスを原田委員に視察頂く予定。
  • 草の根技術協力事業について、中部地域では昨年度5件の案件が採択。応募採択促進に向け、提案書作成のためのスキルアップセミナーや自治体の好事例を紹介するセミナーを開催。NGO等提案型プログラムで採択案件あり。
  • 中小企業海外展開支援事業について、中部地域では昨年度10件の案件が採択。応募採択促進への取り組みとして、産業支援機関経済団体に加え、地域金融機関との連携を進めており、中小企業とコンサルタントのマッチング会や提案書改善のためのセミナー等も開催予定。

(6)委員からの事業紹介等

渡辺委員:名古屋大学の海外展開について紹介(内視鏡の事例等、酪農関係支援の事例、サテライトキャンパス)。アジア共創教育研究機構を設立し、アジア各国の課題を解決するための研究を行っていく予定。

以上