大学生インターンによる留学生インタビューその1 ミャンマー編

【写真】Than Kutay Soeさん大学生インターン
Than Kutay Soeさん

【研修員の方とインターン生でランチ】

ミャンマー出身のThan Kutay Soeさん(ソーさん)は、JICAの事業である「イノベーティブ・アジア事業※脚注1」の研修員として来日し、名古屋大学院生命農学研究科に在籍してイネの研究をしています。ソーさんは以前ヤンゴン大学植物学部博士予備課程に在籍していましたが、その際にイノベーティブ・アジアの募集を見つけ、日本に来ることを決めました。現在では、日々農場に赴き、研究に励んでいます。聞き手はJICA中部インターンの名城大学外国語学部3年の島田祥之介さん、名古屋大学法学部3年の高林佳音さん、愛知県立大学外国語学部3年の増井綾音さんです。

ミャンマーについて

ミャンマーについてどのような国なのか聞いたところ、ミャンマーは主要8民族を中心とした多民族国家であると教えていただきました。更に地域性のあるカラフルな民族衣装や、ソーさんおすすめのモヒンガをはじめとするミャンマー料理の写真を見せて紹介してくれました。人口はおよそ5,141万人で、主要な産業は農業です。またソーさんは国内の問題として、都市部と地方の経済格差が大きいことを挙げ、そのギャップを埋めるために政府が地方経済発展に力を入れるべきだとおっしゃっていました。

ミャンマーと日本

熱心にお話をしてくださるソーさん

ソーさんによると、ミャンマーと日本の農業の違いとして、日本では農業協同組合(以下JA)があるのに対して、ミャンマーにはそのような組織がないということをおっしゃっていました。ミャンマーにもJAのような、農園のマネジメント、販売場所、農業資金の貸し付けなどを行う組織が必要だと熱心にお話されました。また、日本では田植え機やコンバインなどの農業用機械が一般的に使用されていますが、ミャンマーでは通常機械ではなく、それらを手作業で行っています。
また、コメが主要作物の一つということがミャンマーと日本の類似点として挙げられます。ミャンマーの山間部では日本と同じようなジャポニカ米が育てられていて、平地ではインディカ米が育てられているそうです。
一方教育についてもソーさんは教えてくださいました。ミャンマーの小中高校の教育が、詰め込み式のものであると指摘しておられました。これは、私たち日本の学生も日本の教育に対して感じていることでもあります。

ソーさんから見た日本

ミャンマーでは日本について知る機会が少なかったようですが、日本に来ても大きなカルチャーショックは感じなかったそうです。日本についてのイメージを伺ったところ、日本人は特に時間を守る国民性で、日本は高品質なものを製造する国だとおっしゃっていました。
 また、ソーさんは国内旅行にも興味を示しており、そのなかでも北海道札幌市にある頭大仏殿を見てみたいと楽しそうにお話してくださいました。

将来の展望

ソーさんは、将来的には修士課程を終えた後、博士課程へと進み、博士号をとり、日本の大学で教壇に立ちたいそうです。更に、自身の農業の研究を進めていくなかでも、自国の農業の発展に携わっていきたいとおっしゃっていました。そしてミャンマーの教育に関しては、クリティカルシンキング(批判的思考力)やインタラクション(やりとり)を取り入れたカリキュラムへの変更を望んでいました。

インタビューを終えた感想

左から、島田、ソーさん、高林、増井

名城大学外国語学部国際英語学科3年 島田祥之介
インタビューを通して、ソーさんの研究分野である農学や、ソーさん自身が大学教員として携わってきた教育に関連したお話を聞くことができました。印象的だったのは小中高での英語教育はアウトプットする機会に乏しく、英語をなかなか話せるようにならないということでした。この考え方は英語を学んでいる日本の学生の多くが感じていることで、そのレベルはたとえ違えど、同じ課題を抱えているのだと気づくことができました。国際理解や国際協力への第一歩はあらゆる事象に知り、気づくことが大切なのだと実感しました。

名古屋大学法学部法律・政治学科3年 高林佳音
ソーさんとは、終始楽しくお話しさせていただくことができ、有意義なインタビューになったと思います。ミャンマーについては浅い知識しかありませんでしたが、今回ミャンマーの文化や農業について知ることができました。特に、農業に関して日本の技術や仕組みが進んでいるので、ミャンマーにもぜひ取り入れたいとおっしゃっていたことが印象的でした。目的を持って来日し、イネの研究に励んでいるというソーさんの姿に刺激を受け、私も目的を持って行動していかなければいけないと思いました。

愛知県立大学外国語学部ヨーロッパ学科ドイツ語圏専攻3年 増井綾音
ソーさんは母国での農業を発展させるため、日本に来てからほぼ毎日休むことなく勉強や研究を続けています。今のミャンマーでは農業が手作業で行われており、多くの時間と、多くの労働力を賄うために多くの人件費を要するそうです。人間が生きていくために必要不可欠な農作物の生産をもっと効率よく行うことで、ミャンマーを更に発展させていきたいとおっしゃっていました。母国の発展のために毎日考え体を動かしているソーさんの話を伺い、とても刺激を受けました。私も深い思考力と粘り強さ、行動力を高め、自分の目標達成に向けて努力を重ねていきたいと思います。