ガーナとの絆を国際理解教育へ!

【写真】道藤 祐司さん桑名市立多度中学校 教頭
道藤 祐司さん

道藤祐司さん(アカチの青空教室にて)

先日、およそ10年ぶりに青年海外協力隊として活動していたガーナを再訪された道藤先生。今回は、10年ぶりに見るガーナの景色、現地のご友人たちの様子、日本の生徒たちとガーナの子どもたちとの交流などについて道藤先生にお話を伺います。(聞き手:JICA中部 連携推進課)

はじめに自己紹介をお願いします。

中学校理科の授業風景

三重県桑名市立多度中学校で教頭として勤務している道藤祐司と申します。社会科教師として24年間三重県の中学校で勤務しました。その間、1999~2002年の香港日本人学校勤務を経て、青年海外協力隊20年度一次隊小学校教諭として2008~2010年にガーナ共和国ボルタ州アカチ教育事務所に所属し、小中学生の理数科教育向上に取り組みました。国際理解教育を通して多文化共生社会の担い手やグローバル人材の育成に取り組んでいきたいと思っています。

ガーナを再訪しようと思ったきっかけは何ですか?

サッカーボールをガーナ共和国ボルタ州アカチ教育事務所へ届けました!

一言で言うと「ガーナの学校との絆を地元桑名での国際理解教育に何とかつなげたい」一心でした。帰国後、ガーナの現状を様々な場で伝える中で、三重県北部にある中学校サッカー部組織として何か貢献したいという意見をいただき、各中学校でサッカーボールを買い換える際に処分するボールを送るという取り組みを立ち上げました。一年後の2011年、集まった100球のボールを届けるために任地だったアカチを訪れ、担当していた100の小中学校それぞれにボールを贈りました。その後、地元三重で新聞にも取り上げてもらったことで更なる物資が集まりました。自分自身転勤などでなかなかチャンスがなかったのですが、今年の夏に何とか訪問することができ、サッカーボール以外にも使用しなくなった地区選抜のユニフォームやトロフィー、スパイク、文房具などを贈ることができました。

10年ぶりのガーナはいかがでしたか?

アカチ サッカー大会にてレフェリー

空港のビルが新しくなり、高級ホテルや舗装道路も増えるなど首都アクラは目を見張るほど進化していました。任地だったボルタ州アカチでも停電や水が不自由なのは相変わらずでしたが、道路も整備され信号機もでき、目に見えた形での発展がみられました。そんな中、人々の温かさは10年前と変わらず、初対面でも「ブラザー」と呼ばれるフランクさはそのままでした。多くの友人やカウンターパートと感動的な再会ができた反面、他界していた友人もあり、日本とはまた違った10年という時間の流れを痛感した訪問でした。
今、日本の子どもたちを見ていると個人主義の考え方がますます進行しているように感じます。オープンマインドでシェアの文化が浸透しているガーナの子どもたちと久々に関わる中で、豊かさによって日本の子どもたちが失ってしまったものの大きさを改めて実感しました。

先生が今後取り組みたいこと、日本の子どもたちへ伝えたいことなどがあればお願いします。

届けたボールとユニフォームを使ってのサッカー大会が10月11日に行われました。

まずは「伝える」活動を通して子どもたちの視野をできる限り広げていきたいと思っています。自分自身の経験だけでなく、サッカーボールなどの物資によるつながりを発信すると同時にスカイプなどを使って桑名の子どもたちとアカチの子どもたちとの交流を実現したいと思います。時差が9時間ある現実から地球規模のコミュニケーションであることを子どもたちは身をもって体験することになります。また、英語でのコミュニケーションは、桑名の子どもたちにとって「伝える難しさ」と「伝わったときの喜び」に直面し「なぜ英語を学ぶのか」について改めて実感できるチャンスとなります。
 もちろん自分一人でこれら全てを実行することは難しい。そこでチーム学校、チーム桑名で取り組むことで教員の視野を広げ組織力を向上させることにつなげていきたい。少しでも多くの人と「ONE TEAM」をつくり地元桑名で多文化共生社会の担い手やグローバル人材の育成に取り組んでいきたいと思っています。
最終的には「グローカル」な取り組みにすることで地元の様々な人や団体をチームに加えていき、海外で経験した者でなくとも実行できる持続可能な国際理解教育のシステムを桑名につくりたいと思っています。