「結節点」を目指し、つなぎ、「共創」する未来を

【写真】佐藤 和香子さん(愛知県みよし市出身、愛知県名古屋市在住)名古屋大学大学院医学系研究科
佐藤 和香子さん(愛知県みよし市出身、愛知県名古屋市在住)

■写真:佐藤和香子さん

昨年10月からJICA中部に名古屋大学大学院生の佐藤和香子さんがインターンに来ています。研究内容やJICA中部へのインターンに興味を持ってくれたきっかけ等についてお話を伺います。
(聞き手:JICA中部 連携推進課)

はじめに自己紹介をお願いします。

ロボットが大好きな理学療法士です。腕に着けているのは、CYBERDYNE社のロボットHALです。

名古屋大学博士後期課程1年の佐藤和香子と申します。所属名が長いのですが、医学系研究科リハビリテーション療法学専攻理学療法講座で学んでいます。理学療法士の資格も持っています。私の大学には「名古屋大学PhD登龍門」という院生向けの教育プログラムがあり、これに参加したことがきっかけで、JICA中部さんでインターンを行う機会を頂きました。

どのような研究をされているのか教えてください。

カナダで行われたリハビリテーションロボットの学会で、研究成果を発表してきました。

歩行支援ロボットに関する研究を行っています。高齢者や歩行が不自由な方のために、ロボットのアシスト機能がどのように役立てるのか、ロボットが生み出す様々な誘導刺激について調べています。所属は医学系研究科ですが、工学部の研究者たちや民間企業のエンジニアの方々と共同研究をしています。
 私は理学療法士ですが、以前から医工連携によるロボット開発に興味がありました。工学部や民間企業の方からは、医療者とは全く異なる視点などのいい刺激をたくさんいただいています。また、実際にロボットを使って実験を行う中では、医療介護施設スタッフの皆様、そして患者様からも様々なご意見をいただけます。研究がうまく進まないことも多々ありますが、良い研究成果が出せるようにロボット相手に奮闘しています。

JICA中部へのインターンに興味を持ったきっかけ、インターンで学びたいことは何ですか?

インドネシア研修での一枚。メラピ火山に近いジョグジャカルタで、両国の共通課題である自然災害との共生について議論しました。

興味を持った最大のきっかけは、JICAさんが唱える「共創」のコンセプトに大きな共感を抱いたことでした。「共創」とは、開発途上国への支援を通して相手国に貢献するのと同時に、双方向の学びを通して新しい価値を創造するという考え方です。JICAさんは日本と開発途上国間はもちろん、日本国内の産・官・学と市民をつないで、総合的な国際協力活動を行っています。
私は、以前から異なる学術分野や業界が連携して、相互互恵的な関係を構築することに関心を抱いていました。現在も、学術領域と業界、すなわち産学の橋渡しとなるような研究を行っています。今回のインターン参加を通じて、JICAさんの国家を超えて広がる連携の取り組み方や、「共創」を生み出す活動方法を学びたいと思っています。

最後に、今後の展望についてお願いします。

オーストラリアの大学で、工学部の大学院生とともに。国境や分野を超えた「結節点」になれるように頑張ります。

近年では障害を負った方や高齢者の自立生活を支援する多くのロボットが開発されていますが、現場への導入は道半ばであるのが現状です。私はこのひとつの原因として、ロボットの開発段階から社会実装までの過程のなかで、現場と開発側の連携が不十分であることに着目してきました。そして、役に立つロボットをより多くの人の手に届けるために、関連機関や人をつなぐコーディネータになりたいと思うようになりました。このようなコーディネータの役割を、JICA中部さんでは「結節点」と呼ぶのだそうです。JICAさんが途上国と日本をつなぐ「結節点」であるように、私もいつか理学療法とロボティクスの「結節点」になり、社会に貢献することが目標です。
 もちろん「結節点」の役割を担うには、分野横断的な幅広い知識と豊富な経験が必要です。そのことを日々痛感しています。まずは大学院の研究活動を通して自分の基軸となる専門性の向上に励むと共に、学内外を問わず積極的に新しい経験を積みたいと思っています。今回のインターンでもたくさんのことを学ばせていただいています。これからも自分の足元を固めつつ、俯瞰性を高めていきたいと思います。