JICA中部初!コロンビア国別研修「生産性向上」の遠隔フォローアップ研修を実施しました!

2020年11月12日

コロナ禍での遠隔研修

帰国研修員全員集合!(実施関係者含む)

新型コロナウィルス感染症の世界的流行を受け、今年度のJICA課題別・国別研修による来日は中止もしくは延期となっています。未だ終息の気配が見えない状況下、JICAでは来日研修に代わる、もしくは補完する手段として遠隔研修の実施に向けて準備を進めてきました。

2019年度に開始したコロンビア国別研修「生産性向上」でも、今年10月に研修コースリーダーと共にコロンビアを訪問して昨年5月に実施した来日研修のフォローアップを行い、11月には新たなグループを招聘して来日研修を行う予定でした。残念ながら、コロンビア訪問も来日研修も実現できませんでしたが、代わりに9月29日から10月10日までの2週間、昨年度研修のフォローアップをオンラインで遠隔実施しました。今回の遠隔フォローアップでも、昨年度の来日研修同様、株式会社リーム中産連にご協力いただき実施しました。

中南米コロンビアの研修員とオンラインで再会、集結!

日本側の実施の様子①研修員向け全体セミナー
奥側左の副田コースリーダーがメイン講師、奥側右の濱崎氏が司会やIT操作を行いました。スペイン語のため、通訳(手前お二人)を介しました。

日本側の実施の様子②企業向けセミナー(中央:村田講師)

フォローアップの目的は、昨年度来日研修に参加したコロンビアのアンティオキア県在住の経営コンサルタント16名が帰国後に行った企業指導の成果を確認し、コンサルティング方法などについてアドバイスすることです。

今回のフォローアップでは、研修員が指導を行った企業にもインタビューやセミナーを行い、コンサルティングを受けた側からの評価や企業マネジメントへの効果を確認しました。その後、研修コースリーダーの副田先生と各研修員が約50分ずつの面談を4日かけて全員行い、研修最終日には16名全員がオンラインで集結し、研修員の帰国後の活動に対する評価を共有し、意見交換しました。

日本と中南米コロンビアとの時差は14時間です。そのため、日本時間午前8時(コロンビア時間午後6時)にセッションを開始し、日本時間正午12時(コロンビア時間午後10時)までに終えるスケジュールで実施しました。コロナ禍で在宅勤務が基本となっている研修員は自宅から参加しました。

研修スケジュール
9月29・30日 企業ヒアリング面談
10月2日 企業向けセミナー
10月6、7、8、9日 研修員個別面談
10月10日 研修員向け全体セミナー

帰国から約1年4か月、研修員は今・・・

昨年5月に3週間、中部地域の製造分野の企業訪問やトヨタ生産方式の演習などを通して、品質・生産性向上の手法やコンサルティング手法を学んだ研修員たち。研修終了時には、習得した知識やスキルを基に企業コンサルティングのアクションプランを立て、帰国後から今年3月までアクションプランの対象企業2社のコンサルティング指導に当たり、各自それぞれの形で製品の品質改善やコスト削減、生産性の向上などに貢献しました。

コロンビアでの新型コロナウィルスの感染状況は深刻です。10月24日付コロンビア保健省の発表によると、国内の感染者は累計100万人を超し、死者は約3万人に上りました(コロンビアの人口は約5000万人)。3月25日から全土でロックダウン(都市封鎖)を実施し、徐々に制限が緩和され、9月以降は個人の責任で任せる方針を取っています。

新型コロナウィルスの感染拡大は、コロンビアの経済活動に深刻な影響を及ぼし、研修員の仕事にも大きな影響がありました。しかし、このような状況下でも、元々IT化が進んでいたコロンビアでは、国内や中南米地域とのオンラインセミナーが積極的に実施されています。研修員も在宅勤務をしながら、オンラインセミナーを通して知識やスキルを磨いてきました。

そのため、研修員はオンラインツールの使用に慣れていて、ネット環境も良く、今回のフォローアップでは特にトラブルもなくスムーズに面談やセミナーを実施することができました。また、うれしいことに、来日研修中に習慣となった5分前行動は今回もしっかり守られ、誰一人も開始時間に遅れたことはありませんでした。

遠隔研修、よかったです!

JICAの研修は人と人が対面して行うのが基本であり、また多くの途上国では通信環境が整っていないため、遠隔研修の導入にあたり様々な不安がありました。幸い、今回のフォローアップ研修対象者の通信環境は非常に良かったため、予定通りに研修を進めることができ、訪問型フォローアップに劣ることなく、各研修員の成果をしっかり確認することができました。コロンビアを訪問してフォローアップを実施する場合、研修員がコンサルティング指導にあたった企業を実際に訪問し現場を確認したり、より多くの方の意見を聞いたりすることができます。しかし、その一方で、短期間の滞在では、研修員一人一人の話をじっくり聞く時間を取ることは難しいです。その点、今回のフォローアップでは、研修員一人一人に対して成果の確認とアドバイスの提供を行うことができました。

今年度実施を見合わせた来日研修は、来年秋に予定しています。今回の遠隔フォローアップ研修の経験を活かし、来日前にオンラインでセミナーや面談を行い、来日研修をより実りあるものにしたいと考えています。