「揖斐川流域で学ぶローカル・ガバナンス(地域のお作法)発見方法」を実施しました

2021年10月22日

【ローカル・ガバナンスとは何でしょう?】

現場実習を実施する坂内諸家地区(岐阜県揖斐郡揖斐川町)

ローカル・ガバナンス(地域のお作法)とは、地域社会を維持していくための仕組みや決め事、その決定方法などのことです。途上国の地域コミュニティや、日本の農山漁村には、明文化されていないローカル・ガバナンスが数多く存在します。
この研修ではローカル・ガバナンスとは何かを理解し、ローカル・ガバナンスの発見方法を知ることで、地域コミュニティ理解を深め、国内外を問わず住民主体の地域開発・まちづくりを円滑に進めるための根幹を学ぶことができることを目的としています。

JICA中部は、特定非営利活動法人泉京・垂井に委託し、本研修を2022年と2023年にも実施する予定です。ご興味ある方のご参加をお待ちしております!

【研修の全体像はどのようなもの?】

幅広いバックグラウンドを持つ受講生

研修はおよそ半年間にわたって実施され、オンライン講義、オンライン・フィールドワーク、現場実習、の3つのプログラムから構成されます。途上国での活動経験が豊富な講師陣を揃え、日本の地域社会を舞台に途上国のコミュニティを含め世界中で活用できる知識を身に付けられます。2021年は受講生の都合も聞きながら、5~10月の6カ月にわたり実施しました。受講生には全く開発経験のない初心者から、経験豊富な方、地元在住者から海外在住者まで幅広い方が参加しました。

【オンライン講義とは】

オンライン講義の一コマ

オンライン講義では、現場実習に備えることを目的に、途上国と日本のローカル・ガバナンスの共通項や重要性、メタファシリテーション入門などを全10回にわたる講義で学びました。それぞれの自宅から参加できるオンライン形式でありながら、ワークショップを取り入れ、受講生から投げかけられた質問や受講生が提出した課題に対し講師が解説するなど、フィードバックの機会を多く設け、初心者の方でも国際協力を学べる構成としました。

【オンライン・フィールドワークとは】

ファシリテーターが受講者の疑問に基づき講師から情報を引き出します

オンライン・フィールドワーク(現場実習導入編)では、岐阜県の揖斐川上流域にあたる揖斐川町春日美束地区と受講者をオンラインでつないでフィールドワークを実施しました。講師として当地に移住して15年になるご夫妻を招き、どのように地域との関係性を深めてきたのか対話形式でうかがい、バーチャルツアーで地域を案内してもらうなど、ローカル・ガバナンスの視座を養いました。遠方の方でも地域の雰囲気を味わいながらローカル・ガバナンスを実感できる機会となりました。
2022年は京都、2023年は福岡からオンラインで繋ぐ予定となっています。

【現場実習とは】

坂内諸家にある様々な資源を紹介する坂内村元村長

現場実習は、受講者が実際に岐阜県揖斐郡揖斐川町坂内諸家地区に訪れ、地域の踏査や会話の中でローカル・ガバナンスとそれに基づく地域の資産を発見するプログラムとなっています。
2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、やむを得ずオンラインに切り替えて実施することとなりました。バーチャル集落内踏査では諸家地区にどのような持続可能な地域資源があるのかを調べ、その過程で受講者はローカル・ガバナンスを実感することとなりました。その後少人数グループに分かれ、諸家地区の住民の方々に地域資源の使い方のヒントを事実質問でうかがいました。受講者が立案した坂内移住計画は、諸家地区の住民や講師陣が講評しました。

また、2021年は新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いたタイミングを見計らい、オンライン現場実習を補足する形で報告会を開催しました。受講者が実際に坂内諸家地区を訪問し、諸家地区の住民の方々に坂内諸家移住計画やオンライン現場実習で学んだことや考えたことを発表しました。