ドキュメンタリー映画上映会×スペシャルトーク「Journey to be continued—続きゆく旅—」を開催しました。

2021年11月10日

「外国人」としてパラグアイに滞在してみて

パラグアイの魅力を紹介する原田さん。ニャンドゥティがあしらわれた衣装が華やか!

イベントには、2名のゲストスピーカーをお迎えしてお話をうかがいました。

最初にお話いただいたのはJICA海外協力隊経験者の原田真央さん。原田さんは、パラグアイで日系日本語学校教師として活動していました。色とりどりの伝統レース刺繍「ニャンドゥティ」があしらわれた華やかな衣装で、パラグアイの魅力をたっぷりと紹介していただきました、

パラグアイには、多くの日系人が暮らしています。かつて日本からパラグアイへ移り住んだ日本人たちは、大変な困難に直面しながらも多くの努力を重ね、パラグアイの発展に貢献し人びとから高い信頼を得ました。原田さんはパラグアイへ渡り活動する中で、日本人としての誇りを感じたそうです。

原田さんは「私の人生の中で大きな経験でした」とパラグアイでの活動をこう振り返ります。「いつも前向きでポジティブなパラグアイの人びとから、人と人が生きていくうえで大切なもの、真の豊かさを教えてもらいました。そして、外国人の私に興味を持って歩み寄ってくれたパラグアイの人びととの交流を通じて、人の温かさを感じました。」

そして帰国後原田さんは、パラグアイでの経験を活かし、外国人児童や外国人就労者に日本語指導や生活サポートを行ってきました。現在は小学校教員として、児童たちが「ちがいっておもしろい!」と気が付くことができるよう国際理解教育に取り組んでいるそうです。原田さんのお話から、自分とちがうことがおもしろい、自分とちがうことを知りたい!と私たちひとり一人が思うことの大切さを改めて感じました。

外国にルーツを持つ若者の対話

ドキュメンタリー映画「Journey to be continued—続きゆく旅—」

今回上映した作品は、岐阜県可児市で暮らす外国にルーツを持つ高校生などの若者たちの様子を追ったドキュメンタリー映画「Journey to be continued—続きゆく旅—」(2016年撮影)です。

この作品では、高校生や若者たちが巨大なキャンバスに向き合いながら、それぞれのバックグラウンドや、日本の生活で直面する困難、家庭環境や家庭内での自分の役割、将来の夢を語ります。ひとり一人が自らの言葉で、自分の考えや気持ちを冷静に語るその言葉一つ一つが、見る人の心に真っすぐと突き刺さります。

今回のイベントには、小学生や高校生、教員、会社員、外国にルーツを持つ子どものサポートを行っている方、これから海外へ渡航される方など、多様な職業の方々にご参加いただき、映画を見ていただくことができました。

私たちひとり一人の宿題

出演する子どもたちひとり一人を思いながらお話しいただいた各務さん

映画上映後は、可児市国際交流協会事務局長の各務眞弓さんにお話をうかがいました。各務さんは上映作品のドキュメンタリー制作を担当されており、映画完成までのお話を聞かせていただく貴重な機会となりました。出演していた高校生・若者たちそれぞれの来日の背景や、映画完成後にどのような進路を歩んだのかなどを教えていただき、出演する高校生・若者たちの存在がぐっと近く感じられました。

イベント終了後には参加者の皆さんから、たくさんの感想を寄せていただきました。外国にルーツを持つ子どもや若者たちの本音に触れ、感じること、考えさせられることがあまりにも多く、私たちが「するべきこと」の答えはすぐには見つかりません。各自が宿題として持ち帰りじっくりと考え、明日からの行動につなげていきたい、そう思えるようなゲストお二人のお話とドキュメンタリー映画でした。

JICA中部なごや地球ひろばでは、多様な人びととの共生のあり方を考えるきっかけとなるようなイベント・セミナーを今後も企画していきます。皆さんのご参加をお待ちしております。