「教えて!JICA中部」第一回 課題別研修 アフリカ稲作研修編 後半

2022年10月17日

「教えて!JICA中部」第一回 後半パート!

Halo semuanya! (インドネシア語:皆さん、こんにちは!)

研修業務課でインターンしているレオナルドです。前編では四谷の千枚田のフィールド実習についてご報告しましたが、後編では研修員や指導教員の思いをお伝えします。今回、研修に参加したシエラレオネのMusa Mohamed FrancisさんとウガンダのNakitaga Solomeさんに取材しました。Musaさんは普及員という、情報共有に特化した研究者兼ソーシャルワーカーで、Solomeさんは稲研究者です。また、研修コースリーダーである農学国際教育研究センター所長江原宏教授にもインタビューさせていただきました。

研修員のインタビュー

Musa Mohamed Francis、 普及員、シエラレオネ

Nakitaga Solome、 研究員、ウガンダ

1.研修に参加したきっかけは何ですか。
私がこの研修に参加した目的は、研修で学んだ知識と技術を母国に持ち帰り、それを自国、そしてサブサハラ・アフリカの国の農家たちに普及することです。(Musa Mohamed Francis, 普及員、シエラレオネ)
私は、自分の稲作についての知識を高めるために、この研修に参加しました。母国では、稲作研究と知識普及を行っています。自国で得た知識に加え、日本の稲栽培の知識と技術用いてさらに能力を向上したいです。(Nakitaga Solome, 研究員、ウガンダ)

2.研究内容について教えてください。

私は稲作技術の向上がどのようにコメ農家の所得分布と貧困に影響しているのかについての研究を行っています。この研究を通じて、私はシエラレオネ、または他の開発途上国の稲生産性を、できるだけ日本や中国に近い生産性に高めたいと考えています。(Musa Mohamed Francis, 普及員、シエラレオネ)

私は、ウガンダでRice Yellow Mottle Virus(RYMV)というアフリカにある稲ウイルスに抵抗性のある稲の栽培について研究しています。私は今回の個別研修にて、自身の研究分野の知識を深めるため、九州大学で稲栽培と遺伝子工学で学ぶ予定です。従来型の栽培方法では、時間をかけて稲を育成しなければならないのですが、遺伝子工学をすることによって、そのプロセスを早めることができます。(Nakitaga Solome, 研究員、ウガンダ)

3.研修についての感想・学んだことを教えてください。

良い研修です。稲作生産についてたくさんの学びを得て、自国に活かせる知識や技術を習得しています。私たちは特に作物栽培学、稲作技術、それに加えて統計分析や実験のデザインを学びました。稲作について学びましたが、収穫方法等について、もっと学びたいと思いました。また、今までオンラインで行われた授業もありましたが、やはり対面研修のありがたみを感じました。(Musa Mohamed Francis, 普及員、シエラレオネ)

この研修があってよかったです。ウガンダでは、コメは新しく主食になった食糧の一つです。今までもコメは存在していましたが、それほど生産されていませんでした。しかし今となって人気が出たため、稲作についての知識と普及が重要となっています。今回の研修では、稲栽培の一環で、稲育成、稲病気、稲作運営など、様々なことを学びました。(Nakitaga Solome, 研究員、ウガンダ)

4.母国にどのように貢献していきたいですか。今後の展望も教えてください。

農家の知識向上と稲生産量を高めることに貢献したいです。日本の稲作技術を学んで、それを農家に教え、実践的に説明する機会がないと、どんなに研究が進んでいても、情報がそこで止まっているだけです。しかし、農家に教える機会があれば、農家の稲栽培効率が上がり、生産量の向上が期待できると思います。このような研修の機会に巡り合えたからこそ、私はこの日本で学んだ知識・技術を普及し、農家たちに貢献したいです。また、キャリア形成の機会があれば、私はもっと稲作研究に力を入れたいと考えます。(Musa Mohamed Francis, 普及員、シエラレオネ)

今後の展望は、稲作研究を行うことと知識を広めることです。現在、RYMVを対応できるコメ品種開発が進んでいます。母国に帰ったら、研修で得た知識をもって、さらに良い品種開発につなげたいと考えます。そして、それを農家に紹介し、導入できるようになったら更に良いと思っています。将来、私は博士課程に行きたいと考えていて、さらに稲作の理解を深めたいです。特に、高い技術を持った日本に留学できたらと思います。(Nakitaga Solome, 研究員、ウガンダ)

江原教授からのコメント

名古屋大学農学国際教育研究センター所長江原宏教授

今回の研修と研修員たちについて
この研修は11年間続く研修で、その中で私は8年間担当させていただきました。
今までの研修は、分野や対象を幅と人数を広く狙いましたが、今回は経験豊富な研究者を中心とした8人が研修員として来日したため、研修員の知識や経験に合わせて研修内容をより改善しました。今まで日本の一般知識である文化や日本事情も含む内容であるこの研修を、より専門的な内容を取り入れ、難易度を高めました。たくさんのいい条件が重なっているおかげで、研修の今回の研修員たちは熱心な人達が多く、成果も期待できます。

大学とJICAの協力のメリットは三つあると思います。一つは大学のネットワーキングです。短期研修員を受けることによって日本に来た研修員たちと大学の学生や教授との共同研究が期待できます。二つ目はアジアとアフリカの外交目的の支援。こうした研修を経て、日本とアフリカとの外交関係にも貢献できると考えます。三つ目は、留学生を増やすためです。短期研修を経て、留学に興味を持っていただけたら幸いです。さらに、日本政府も高い目標掲げるとともに、大学での国際化も加速しているので、留学生を受け入れることで、大学だけではなく、日本政府の目的に貢献できると考えます。

個人の感想

【画像】「教えて!JICA中部」シリーズの第一回が終わりました。いかがでしたでしょうか。

今回、JICAの課題別研修について紹介しました。実際にアフリカ地域の稲作研究者に向けた研修の見学と取材を経て、こうした研修の意義を感じることができました。研修員が積極的に知識習得に励む姿はとても印象的で、フィールド実習の時でも、皆さんがたくさん質問していて、学ぶ意欲の高さと使命感を感じることができました。皆さんが母国に貢献したいという気持ちがとても伝わっていました。

以前は、私自身JICAという名前を聞くと、専門家による取り組みのイメージがありましたが、実は組織同士の協力によって事業が成り立っているということがわかりました。この協力によって、JICAは研修員の技術向上、対象国の開発だけではなく、地域にある大学の研究能力や、日本外交や目的にも貢献もしていて、改めて国際協力の仕事のスケールの大きさを実感しました。こうしたWin-Winの状況を作ることがJICAの強みであり、まさに中部地域の強みを活かした取り組みだと思います。現在、アフリカ稲作研修員たちはそれぞれの研究内容によって各大学に行って研究を行っている最中です。皆さんのご活躍が日本と各国の貢献につながるようにこれからも期待しています。それでは、また次の記事で会いましょう!

報告者
JICA中部 研修業務課 インターン プラタマ レオナルド