「教えて!JICA中部」第四回 課題別研修 上水道無収水量管理対策(漏水防止対策)(A)

2022年11月11日

「教えて!JICA中部」第四回(最終回)

Halo semuanya! (インドネシア語:皆さん、こんにちは!)

中部センターでインターン中のレオナルドです。今回は、「教えて!JICA中部」第四回(最終回)となる上水道無収水量管理対策(漏水防止対策)(A)の課題別研修について報告します!この研修はなんと、1996年から行われている研修です。今回、この研修に参加している二人の研修員にインタビューをし、研修に参加したきっかけやこれからの期待について聞きました。是非最後まで読んでください!

上水道無収水量管理対策(漏水防止対策)(A)の研修の背景

研修員が配水分析について勉強している様子

研修員同士で学びあう様子

水は、生存や生態系の維持、経済活動などをするのに不可欠な資源の一つです。しかし、水資源は地域によって偏在していることから、水資源が十分に確保できない国があります。そのような国にとって、無収水量の軽減は死活問題です。「無収水」とは、浄水場で作られた水が家庭に届けられるまでに、水道管の漏水等の問題により、水道料金の徴収の対象にならずに失われてしまう水(収入にならない水)を指します。この無収水を軽減することで、水資源の有効利用の促進に繋がり、また収入が増えることで水道事業体の経営改善に繋がります。開発途上国では、この無収水の割合が30-50%にも及び、極めて高い数値になっています(名古屋市は約3%)。
JICA中部で実施している本研修は、1996年以降、世界の各地域から58カ国305名の研修員が参加しています。今回の研修は、名古屋市上下水道局の協力の下、1か月間行い、研修員は具体的な漏水対策の方法等を学びます。また、この研修は、漏水対策に必要な知識と技術の習得に加え、課題別研修の目的の一つである知識の共創(Knowledge Co-creation)を実現するため、研修員と研修員、研修員と講師との情報交換や意見交換を積極的に実施します。

上水道無収量管理対策の研修員にインタビュー!

Zeinab, イラク

この研修に参加したバングラデシュから来たShakilさんとイラクから来たZeinabさんにインタビューしました。

Shakilさんはバングラデシュで2番目に大きい都市であるチャットグラムの上下水道局のプロジェクトエグゼクティブエンジニアとして、Zeinabさんはイラクの市町村・公共事業省水道総局の総局長室アシスタントチーフプログラマーとして活躍されています。

Q.このプログラムに参加したきっかけを教えてください。

現在、JICAはチャットグラム上下水道局に対して有償資金協力を行っており、現地調査も現在実施されています。JICAは水道事業の研修を毎年提供しているおり、その一環としてこの研修に参加しました。(Shakil 、バングラデシュ)

私が所属する市町村・公共事業省水道総局は、クルディスタン地方とバグダッドの中心部を除くイラク全土の給水プロジェクトを担当しています。現在、私は総局長室で働いているため、水道事業の全プロジェクト、特にJICAに関連するプロジェクトの業務を任されており、その関連でこの研修に参加しています。(Zeinab、イラク)

Q. 研修で学びたいこと、研修に対する期待を教えてください。

私は無収水量の軽減方法について学びたいです。特に、パイプラインの漏水防止の方法や修理がどのように行われているのかについて知りたいと思っています。実は、バングラデシュと日本の上下水道には共通点がありますが、名古屋市の無収水量の割合がゼロに近いことに比べて、バングラデシュでは無収水量が30%程度もあり、その6割が漏水で失われています。この研修を通じて、日本で使われている技術を学び、バングラデシュに応用したいと考えています。(Shakil 、バングラデシュ)

先ほど説明したように、水道事業のプロジェクトを担当しているので、無収水量の軽減のための管理方法や日本の先端技術等の知識が役に立つと感じています。まだ研修が始まって1週間しかたっていませんが、日本の技術、配水やポンプの管理、古いパイプラインや漏水を確認できるAIシステムの導入等、とても学びのある見学ができました。こうした知識はきっと私の担当のプロジェクトに活かせると思いますので、帰国したら、他のメンバーに共有したいと思っています。上司の総局長には、帰国を待つことなくすでに様々な情報をシェアしています。(Zeinab、イラク)

Q.他に、母国に持って帰りたい・学びたい知識があれば教えてください!

日本での男性たちはとても謙虚でやさしいです。私にとってこれはとても興味深いことです。母国に帰ったら、私も実践してみたいと思っています(笑)。(Shakil 、バングラデシュ)

日本の神社を体験したいと思っていました。日本にいる間、隙間時間を活用して様々な神社や日本の歴史的な場所に行きたいと思っています。(Zeinab、イラク)

最後に

「教えて!JICA中部」第四回(最終回)の記事が終了しました!いかがでしたでしょうか?このシリーズを通じてJICAの活動の一つである課題別研修(Knowledge Co-Creation Program)の内容を少しでも理解いただけたら、何より嬉しいことです。今回の感想は、最終回を踏まえた「教えて!JICA中部」シリーズの総合的な感想となります。

このインターンシップを通じて、私は研修業務課の業務である研修の実施管理の理解を深めることができるとともに、二つの学びを得ました。

一つ目、JICAが幅広い分野でどのように社会貢献を行っているかが分かりました。JICAは、研修・技術協力等を通じて、途上国の行政官・技術者・国の発展を担う人材に対して様々な日本の開発経験を共有しています。ハード面だけではなく、実践的な施設の管理の方法や計画の仕方等のソフト面を教えることで、開発途上国の総合的な発展に貢献しています。特に、研修員たちのJICAと日本に対する高い評価を聞く度に、関係構築を大事にしているJICAが掲げている「信頼で世界をつなぐ」というビジョンが体現されていると実感しました。

二つ目、JICAの協力に妥当性と有効性があるということが分かりました。JICAの協力は基本的に税金を使って行われています。その為、プロジェクトの調査、分析、評価等を行い、プロジェクトの妥当性と有効性を確認しています。実際に私がお会いした研修員たちはとても意欲があり、研修員のバックグラウンドと研修内容がマッチングしていました。これは的確に研修員が選ばれていることの証拠だと思います。また、研修員たちの信頼と信用もあるため、日本と様々な国との繋がりが強化され、日本人に対するイメージ作りにも貢献しています。

この二つの学びを通じて、課題別研修の重要性や、JICAの発展途上国に対する貢献度の高さを実感しました。

最後になりますが、これをもって「教えて!JICA中部」シリーズが終了します!短い間でしたが、皆さんがこのシリーズを通じて、JICAの活動の理解を深めて頂けたのであれば、何より嬉しいです。これまで研修情報を提供して下さったJICA職員、研修の関係者の皆様、大変ありがとうございました!皆様の協力なしにこのシリーズを完成することができませんでした。

それでは、またどこかでお会いましょう!
Terima kasih dan sampai jumpa! (インドネシア語:ありがとうございます!そしてさよなら!)

報告者
JICA中部 研修業務課 インターン プラタマ レオナルド