【草の根技術協力事業】ラオスの世界遺産ルアンパバーンを知る!エコツアーの様子をご紹介します。

2023年3月30日

この1年間のプロジェクト成果を振り返って

1年間のプロジェクトを振り返って開催された会議

静岡県富士宮市に拠点を置く一般社団法人エコロジックがJICA中部と共同実施しているJICA草の根技術協力事業「ルアンパバーンの公認ガイドの技術向上を目指したインタープリテーション(※)トレーナーの養成事業(パートナー型)」は、2022年1月の事業開始から1年が経過しました。2023年3月22日、現地で一緒に事業を進めるカウンターパート「ルアンパバーン県情報文化観光局」と、この1年間の事業振り返りとして、事業進捗報告会を開催しました。報告会の中で、ルアンパバーン県情報文化観光局から「ルアンパバーンには、多くの観光のポテンシャルがあるので、この1年間で学んできたエコツアーの考え方を取り入れ、一般住民を巻き込んでいくようなエコツアーを広げていきたい」と発表があり、エコロジックが進めるエコツアーへの大きな期待を感じました。


※インタープリテーションとは、心に残るメッセージを相手に伝えるための、コミュニケーション手法です。自然、文化、歴史を単なる情報として伝えるのではなく、その背後にある大切なメッセージを、解説や展示、教材、書籍などを通して伝え、楽しみや感動、気づきを人々に提供するガイドの技術です。

【参考】エコツーリズムとは、地域資源を生かし、それら資源が観光によって損なわれないよう適切な保護・保全を行うことで、その地域が振興し持続的に存続することを目指す考え方です。エコツアーとは、エコツーリズムの考え方に基づいて実践されるツアーのことです。

この1年間の成果を!エコツアーに出発!!

マイ寺で直接お坊さんから話を聞くツアー参加者

3月22日の午前の会議後、ルアンパバーンガイド協会のウドンさんとブンレーさんが、報告会の参加者を対象としたルアンパバーン市内の半日エコツアーを開催しました。

初めに訪れたのはマイ寺。昨年までは、マイ寺の説明をするだけだったエコツアー研修でしたが、今回はマイ寺のお坊さんとツアー参加者との交流を中心にしたプログラムを企画しました。ウドンさん、ブンレーさん共にガイドとしての知識や経験が豊富であり、ツアー参加者に対していろいろな話をすることができます。しかし、今回のツアーでは、お坊さんが主役となり、お坊さんとツアー参加者のやり取りの中かから、ツアー参加者がマイ寺のこと、ラオス仏教のことを知ることができるように間に入ってくれました。

昨年実施したエコツアー研修でも、お寺見学時にお坊さんとツアー参加者とが交流するアイデアを持っていたウドンさんとブンレーさん。先月、日本で実施された本邦研修に参加し、エコロジックが富士宮市で行っているエコツアーでお寺を訪問した時に、ガイドがどのようにお坊さんとツアー参加者の間に入るのかを学びました。その経験を通して、お二人ともうまくお坊さんとツアー参加者の間に入り、ツアーを盛り上げていました。

エコツアー参加者からの反応は??

ツアー参加者は、直接質問をする機会が少ないお坊さんにいろいろなことを聞くことができ、大変楽しそうにされていました。また、お坊さんも、ラオスの仏教に対して興味を持ってくれていることに喜びを感じている様子でした。参加者から、「お寺で煙草を吸っているお坊さんをみた。アルコール飲料を飲むのは禁止されているので、煙草を吸ってよいのは違和感を覚える」という意見が出されたときには、お坊さんは苦笑いしながら「本当には駄目なんだよな。でも、若いころから吸っているとなかなかやめられないお坊さんもいてね」という率直な返答がありました。お坊さんとの直接的な交流から生まれた対話に、参加者も嬉しそうでした。また、お坊さんへの質問の中で、入場料はお寺に入らず、寄付金だけがお寺に入ることを知った参加者は、お寺の寄付金箱に寄付をしていました。

まだまだ続く、エコツアー!

エコツアー後半でラオスの伝統的な家屋を訪れた参加者

シェントン寺を前に写真を見せながら参加者に語り掛けるガイドのウドンさん

エコツアーの後半では、ラオスの伝統的な家屋やシェントン寺を回りました。参加者たちは、何度もルアンパバーンに来たことがある方ばかりでしたが、今回のエコツアーでは、ただ観光名所を回るだけでなく、お坊さんとの交流などがあり、今まで知らなかったルアンパバーンを知ることができたと大変好評でした。
ラオスでフィールドコーディネーターを務める森重千里さんは、この1年間とこれからの展望について次のように話してくれました。
「トレーナーがこの1年でインタープリテーション手法について学び、ワークショップや研修を通して理論だけでなく少しずつ技術を習得している様子が窺えます。プロジェクト開始当初のガイディングと比べても技術の向上は一目瞭然ですが、さらに向上すべくまだまだ実践の場が必要だと感じています。最終的にはこの手法をオフィシャルガイドのトレーニングに導入し、トレーナーが自分たちでトレーニングできるようにすることが目標です。今後もトレーナーの技術向上と同時に、現在作っているツアーコースに磨きをかけ、各関係機関のスムーズな連携体制の構築など、トレーニングに向けた実践的なフェーズに移っていきます。」

今後の展望

今後もこのプロジェクトに注目ください!

残りのプロジェクト期間では、地元のガイドが、観光客と地域住民との対話を促すような手法をより深く理解し、旅行者とガイドの間だけで行われていた観光に地域住民も巻き込むエコツアーを作っていきます。このようなエコツアーがルアンパバーンで実現することで、旅行者の満足度を上げるだけでなく、ルアンパバーンに住む多くの関係者が協力して観光都市作りを行うことができるようになります。今後もこのプロジェクトにご注目ください!