2015年7月14日
【内容】
教職員や教員を目指す学生、国際理解教育に関心のある方々を対象に、講師に青年海外協力隊経験者でもあるファシリテーターの木下理仁氏を招き、ワークショップの手法を学びました。
まずは参加者が”懸賞に当たってタンザニアへ旅行をする”というシミュレーションをするため、飛行機に乗る場面からスタート。その後はグループに分かれ、それぞれ異なるタンザニアの写真を見て「その場にいる人は何をしていたか?」「あなたはどんな話をしたか?」「どんなことを感じたか?」を想像し、ストーリーを作っていきます。1枚の写真からいろいろな情報を読み取り、その人物や場所の背景を探っていく、とてもユニークで小学校低学年の児童にも理解しやすい手法を体験しました。
休憩後は「わたしたちの村を発展させよう」というワークショップが行われました。タンザニアのある村を発展させるため、自分が村の住民だったら「電気」「水道」「道路」のどれを外国から支援してほしいか、村(グループ)全体の意見はどうか、といった議論がなされました。「村の将来を考えると人育てが第一。子どもが教育を受けやすい環境を整えるために電気が必要」「村人の命と健康があっての『発展』なのだから、水道を整備することが第一」「道路を作ると、物や仕事にあふれた都会に若者が流出してしまう恐れがある」など、村の状況や他の村人の意見といった考える際の材料はどのグループも同じでありながら、その結果や理由は大きく異なりました。議論や意見の共有を通じて、「正解がない問題」を考えることの難しさとそのプロセスの重要性を痛感したワークショップでした。
午後の部(1)には、授業などに使いやすい写真を撮影するコツ、国際理解教育の分野でヒントになりそうなテレビ番組など、実際に授業案や教材を作成する上での具体的なポイントを教えていただき、その実践的な内容に参加者はとても満足されたようでした。
午後の部(2)は、昨年度教師海外研修でベトナムを訪問した広島県福山市立伊勢丘小学校の古川英理先生による模擬授業です。古川先生はベトナムと日本の違うところ同じところを児童に気づかせ、異文化を理解するきっかけとなるべく「レヌカの学び(注)」という教材を応用したカード教材を作成されました。今回は、最初に作った物とその課題を踏まえて作り直した改良版の2つを参加者に実際に体験してもらいました。今年の教師海外研修参加者や、研修や旅行で海外体験のある方にとって、自身の体験を子どもたちに伝えるコツや教材化のヒントを体感しながら学ぶことのできた充実した内容となりました。
(注)「レヌカの学び」:異文化理解のカギは自分自身の中にあることを体感できる異文化理解教材で、特定非営利活動法人 開発教育協会(DEAR)の著作物です。詳細は以下を参照してください。
1月30日(土)、より実践的な内容を盛り込んだ中級編として実施します。どうぞご期待ください!