2017年1月28日
【内容】
教員や教員を目指す学生の方々を対象に毎年行っている国際教育研修会、今年度の第2回目を今回は広島市内で実施しました。
午前中は、今年度教師海外研修に参加した2名の先生によるワークショップです。ラオス訪問の知見を活かして作成し、教室で展開した教材を模擬授業形式で発表してもらいました。
広島市立戸坂小学校の横矢綾乃先生は、小学6年生の児童に「五感を使って異文化を感じてほしい」という想いから作成した「ラオすごろく」を発表してくれました。サイコロで出た目の指示に従い、参加者はグループごとにラオスの音楽を聞いたり、現地のお菓子をつまんだり、ラオスの国民的スポーツであるセパタクローのボールを投げ合ったり、また現地の体育の教科書に載っている体操ポーズをしてみたり。あらゆる感覚をフルに使ってラオスを感じていました。「異文化を感じること」を通して、「文化や考え方にはいろいろな見方があり、それぞれの良さがあり、ちがいを認め合う大切さに気づいてほしい」という横矢先生の願いのこもった教材を、大人である参加者も全身で楽しみながら、想いを共有してくれました。
高校の数学を担当する上田智子先生が作成した教材は、ほとんどが文系(?)の参加者の皆さんをちょっと手こずらせる内容でした。しかし、ラオスに残る不発弾の数やその汚染地域、これまでに処理された面積などの情報をもとに、簡単な算数を使って「あと何年でラオスに残る不発弾を処理することができるのか」を考えるアクティビティは、数字が万国共通の「言葉」であることを気付かせてくれました。同時に、方程式や計算式の暗記で苦労してしまう数学という教科が、本当は社会に貢献し、世界平和に寄与しうる技術であることをも感じさせてくれました。参加者からは「『数学を使って考える国際問題』は目からウロコだった」「文系の私は計算問題、と聞いただけで思考停止してしまったが、計算に取り組むうちに、自分が不発弾除去チームの一員になったようだった」「いろいろな視点で『平和』の問題に取り組む必要性を痛感した」といった感想が多く上がり、数学と国際協力という斬新なテーマからたくさんの発見ができた時間となりました。
午後は、6月の本研修会でもご講義下さった山中信幸先生が、多文化共生や貧困に関するワークショップを実施してくださいました。外国にルーツを持つ人々の名前を取り巻く問題、今や6人に1人といわれる子どもの貧困問題など、日本の社会課題についてワークショップを通じて考え、「人権」というキーワードから国際教育や開発教育を展開していく可能性について学びました。国際理解や開発教育を実践するとき、その言葉からどうしても外国の事例を扱わなくては、と思いがちです。だからこそ、「海外経験がない人が異文化理解の授業をすることは難しい」と考えることも少なくありません。しかし、人権というキーワードを意識しながら児童や生徒に何を相手に伝えたいのか、を考えたとき、事例が国内の課題であっても途上国の問題であっても、そこにある大きな共通点に気づくのではないでしょうか。映像や簡単なアクティビティを使って、山中先生はそれらのことを教えて下さいました。
今回も、岡山、山口など県外からも多くの方にご参加いただき、とても充実した研修会となりました。
来年度も、講師の方、参加者の皆さんとともにたくさんの学びと気づきが得られる研修会を実施してきます!
【参加者の声】