【実施報告】オンライン開催 2020年度第2回国際教育研修会

2021年2月16日

  • 日時:2021年1月30日(土)12時30分から17時10分
  • 参加者:54名
  • 実施方法:「Zoom」を使っての講義・ワークショップ、授業実践報告と模擬授業

SDGs達成のため、教育になにができるだろう

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石川一喜先生の講義の様子

教員や学生、広く国際教育に関心のある方々を対象に毎年行っている国際教育研修会、今年の第2回はオンラインで開催しました。SDGsを授業で取り組む、というテーマに興味を持って下さった方が、中国5県はもちろん、関東、関西、九州、そして中国の上海からもお申込みくださり、54名の参加がありました。

最初に拓殖大学の石川一喜准教授より、「SDGs達成に向けた教員の意義と役割」と題してお話頂きました。石川先生からSDGsの概要と現在の潮流、なぜSDGsを教育現場で扱うのかについて説明して頂き、「そもそも『教育』ってなんのために行うの?」という根源的な問いを、参加者が考える時間もありました。また、本研修会へお申込み下さった方には事前の課題が出されており、それを読んだ感想をグループで自由に話し合える時間も設けられ、オンラインながらも参加者同士の意見交換も活発に行われました。

英語の授業であつかうSDGs

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下松谷智江教諭の授業実践報告

山口県防府市立牟礼中学校で英語を教える下松谷智江教諭は、2017年度JICA教師海外研修へ参加され、スリランカを訪問、以降も積極的にグローバルな課題を授業に取り入れています。今回も、2018年から毎年継続的にSDGsを授業で取り上げていること、生徒が興味を持つように様々なアクティビティを取り入れていることなどを発表して下さいました。そしてオンラインでの「模擬授業」も展開して頂きました。2年生対象に「Why」「Because」を学ぶ単元で展開されたその授業は、自分にとって最も重要なSDGsのゴール3つを選択し、それを英語で友達に説明する、というものです。参加者は生徒と同じワークシートを使い、久しぶりの英語に悪戦苦闘?しながらディスカッションを繰り広げました。参加者からは「ただ文法を学ぶのではなく、SDGsが一つの間口になっていることが活用しがいがあって良いと思う」といった声や、英語の教員を目指しているという学生からは「英語を学びながらSDGsについても考えることのできる授業を考えられていて、私も負けない授業をつくれる先生になりたい」といった感想も上がりました。

SDGsを通して考える「本当に必要な支援とは何か?」

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中村教諭の授業風景も発表してくれました

広島県の熊野町立熊野第一小学校の中村祐哉先生は、2016年度JICA教師海外研修でラオスを訪問され、現地で学んだ不発弾の問題を、現在も社会科の授業で取り上げています。今年6年生の担任である中村先生は、国際社会における「本当に必要な支援とは何か?」を問う授業を展開されてきました。世界や日本には現地の人々と協力して国際社会の様々な問題の解決に向けて活動する人々がいることを理解し、これらの問題に対する国際社会での日本の役割と、自分たち自身にできることを考える、という大人でも難しいテーマを、時間をかけて丁寧に児童とともに取り組んでいらっしゃいます。

中村先生が大事にしているのは「批判的に考える力」。授業の中でもデータや資料を提示しながら、国際協力の良い点だけでなく、課題や問題点にも触れてきました。そして、本研修会でも模擬授業として、6年生の児童が取り組んだワークシート「世界第4位の日本のODA支援額、これからランキングが上がってほしい?ランキングは関係ない?」を展示され、参加者は各自頭を悩ませ、またグループの中でも意見交換を行いました。参加者からは「小学生がこんなにも深く、主体的に学んでいるなんて…!と驚いた」「教育のすばらしい可能性と、子どもたちが持つすばらしい能力を感じ取ることができた」「自分も中村先生の授業を受けてみたい」などのたくさんの意見がありました。

今回の研修会では、そもそも教育ってなんだろう、SDGsを学校で学ぶ意味は?といった根源的な問いから、学校現場で応用できそうな具体的な授業実践まで、幅広い内容を学ぶことができました。持続可能な社会の担い手である子どもたちと日々接する先生方にとって、少しでも気づきやヒントのある時間となっていれば…と願ってやみません。