長期研修員(ルワンダ共和国)インタビュー

2020年7月21日

教育行政プログラムで広島大学に3月末まで在籍されていたルワンダ共和国出身のSINABAJIJE Alphonseさんに、日本での生活を振り返っていただきながら、ルワンダ共和国について教えていただきました。

ご自身とルワンダ共和国について教えてください。

名前:SINABAJIJE Alphonse
国籍:ルワンダ共和国
大学:広島大学 
学科:大学院国際協力研究科
専攻:教育文化
日本滞在期間:2年3か月

SINABAJIJE Alphonseです。
ルワンダ共和国の西部にある農村のニャマシェケ地区(Nyamasheke District)出身です。ニャマシェケ地区はニュングウェ国立公園(Nyungwe national park)とキブ湖(Lake Kivu)の間に位置しています。
主要な経済活動は農業と畜産です。豆、バナナ、サツマイモがニャマシェケ地区の主な自給作物であり、主な収入源はコーヒーと紅茶です。

ルワンダは海に面していませんが、島国での生活はいかがでしたか?

気候の違いに戸惑いました。日本では季節によって着るものを変えなければなりませんが、母国は標高が高いため、アフリカでも特殊な気候で、年間を通して気温の変化が少なく、一年中Tシャツで過ごせます。雨期か乾期かの違いはありますが、雨期といっても日本のように何日も雨が降り続くことはありません。日本では一年中いつでも雨が降りますし、数日止まない長雨の時はとても退屈に感じました。突然雨が降る出すこともあり、予測できず、傘を持っていないと途方に暮れることもありました。台風が来たときは、家が揺れるほど強い風が吹いてとても怖かったです。また、日本の夏は私には暑すぎました。

日本でお気に入りの場所はありますか?

キブ湖の湖岸

宮島の弥山登頂
どこか似ている瀬戸内海とキブ湖の眺め

宮島です。
厳島神社や大鳥居、五重塔などの建造物がとても印象的でした。
宮島からの眺めはキブ湖畔の景色と似ていました。

お気に入りの日本食はありますか?

インタビュー中、母国について詳しく教えてくださるAlphonseさん

日本のカレーライスです。

(他のルワンダ共和国出身の方も同じくカレーライスと回答をされましたが、似たような料理がルワンダ共和国にもあるのでしょうか?最初はどこで食べましたか?)
母国の野菜スープが似ているし、お米にも馴染みがあるからルワンダ共和国出身者は好きだと思います。私の言うカレーライスはJICA中国センターにある、レストラン「ラコルト」にある野菜カレーの事です。正直なところ、ラコルトで食べるのはカレーライスだけです。日本では、料理に酒や砂糖を使いますよね。私はキリスト教徒の中でもプロテスタントですが、宗教上お酒は禁止されています。また、ルワンダ共和国では砂糖はコーヒーと紅茶に入れるものであって、料理には使いません。だから日本食は甘くてカレーライス以外は食べられませんでした。また、母国でも湖での漁獲があり、魚を食べる習慣はありますが、決して生では食べません。お寿司にも挑戦はしてみましたが、のどに違和感がして食べられませんでした。

(ルワンダ共和国には伝統料理がありますか?)
ルワンダ共和国は長い間植民地化されていました。西洋人によって伝統文化は現代化・近代化されていったため、元々の文化は残っておらず、多様な文化が混在しています。キリスト教徒も西洋から来た伝道師が広めたものです。

日本でカルチャーショックを受けたことはありますか?

いくつかあります。例えば、挨拶の時にお辞儀をしているのを見たときに驚きました。ルワンダ共和国では、誰に対しても何に対してもお辞儀をすることはありません。唯一あるとしたら神様にだけですが、神様へのお辞儀は日本のお辞儀とはまた意味合いが違うと思います。
挨拶時、母国では握手をしますが、日本では握手は好まれなかったですね。
他には、名前の後に必ず「さん」を付けることもカルチャーショックの一つでした。

ルワンダ共和国と日本の文化で共通点はありますか?

感情表現の仕方が似ていると思います。私たちも日本人と同様、本音を隠して、相手が求める表情や表現をします。

(どうしてルワンダ共和国の人々はそういった感情表現をするのでしょうか?)
偽善者かもしれないけど、賢い選択だと思っているからです。日本人もそうでしょう。思いのまま、感情のままに発言することは子供じみていると思われています。
ルワンダ共和国の人に、”How are you? ”と声を掛けたら、必ず”I'm fine.”と返ってきますよ。病気でも家族に不幸があったとしても、”I'm fine.”としか返しません。道端で出会って”Where are you going? ”と聞いたとしても”I don’t know.”と返事が返ってくるでしょう。どこに向かっているか本人が知らないわけがないですけど、行き先を教えたりはしませんね。

大学での生活はいかがでしたか?

広島大学 学位記授与式にて

広島大学大学院国際協力研究科の教育文化コースの修士課程を修了しました。Graduate School of International Development and Cooperation (通称IDEC)は異なる文化や背景を持つ人々と出会える国際的な学び場です。
私は大学院の研究室で素晴らしい日本人の仲間に出会いました。彼らはとても親切で寛容で、私の日本語習得にも協力してくれました。彼らによって私の日本での生活は、より一層思い出深いものになりました。

最後に日本の皆様に一言お願いします。

私を迎え入れてくださったことに感謝しています。