長期研修員(トンガ王国)インタビュー

2020年7月27日

太平洋島嶼国リーダー教育支援プログラム (Pacific-LEADS)で岡山大学に3月末まで在籍されていたトンガ王国出身のTilisa TOHIさんに、日本での生活を振り返っていただきながら、トンガ王国について教えていただきました。

ご自身とトンガ王国について教えてください。

名前:Tilisa TOHI
国籍:トンガ王国
大学:岡山大学大学院環境生命科学研究科
専攻:生物資源科学 
日本滞在期間:2年8ヵ月

持ち前の明るさとポジティブさで日本に順応されたTilisaさん

民族衣装Ta’ovala(タ・オヴァラ)

ティリサ・トヒです。 2017年9月、私は太平洋島嶼国リーダー教育支援プログラムで来日し、今年の3月25日に、岡山大学で修士号を取得しました。JICAには大変お世話になりました。感謝しています。 来日前は、農林水産省の公務員として、国の食品安全を改善するために食品検査官として働いていました。

(帰国後は元の仕事に戻られますか?)
はい。以前より期待され仕事も責任も増えるでしょうね。

トンガは「南」を意味し、南太平洋に位置しています。 トンガ王国は、ジョージ・トゥポワ6世国王が元首の立憲君主国です。 170以上の島からなり、その多くは無人島で、白いビーチに囲まれ、熱帯雨林に覆われています。ホエールウォッチングが観光客に人気です。
99%の国民がキリスト教徒で、トンガ王国の国旗と国章はキリスト教徒を象徴しています。言語はトンガ語と英語です。
私たちには独特な伝統衣装があります。「Ta’ovala(タ・オヴァラ)」といい、敬意を表するために腰に巻く織物です。

(Ta’ovalaには着物のように種類がありますか? どういうときに着用しますか?)
結婚式などの式典等で着用します。色柄があるものより、無地の方がより正装です。右の写真は、トンガ王国出身の研修員が在トンガ日本国大使館に招待されたときのものです。主役は私たち研修員だったので、無地のものを着ています。主役ではない招待客は柄物のセレモニー用を着用されていました。柄物は普段も着ています。本来は手縫いで高級品ですが、中国から安価なものが輸入されるようになり、女性はそれを普段着にしています。
日本での着物に関する思い出があります。大学の友人と着物を着る機会があったのですが、私は着物の袖の長さや柄による違いを知らず、友人も私が既婚者であることを知らなかったため、みんなと同じ振袖を着てしまい、後になって既婚者は振袖を着ないこと知り、少し恥ずかしかったです。
また、トンガ王国の人々はスポーツが大好きで、特にラグビーを得意としています。

(ラグビーワールドカップ2019日本大会昨年開催されましたが、応援に行きましたか?)
実は、私のいとこがトンガ王国出身の日本代表選手です。彼からも招待してもらったので、とっても行きたかったのですが、課題提出が迫っていて、行くことができませんでした。だから心の中でいつも応援していました。

好きな日本食とトンガ王国の伝統料理を教えてください。

トンガ王国伝統料理の豚の丸焼き

好きな日本食はお寿司です。ワサビもガリも大好きです。
苦手な日本食はなかったです。納豆も大好きです。
お寿司が好きな理由は、生魚を使った料理が私たちの伝統料理にもあるからです。‘ota ikaという、魚の刺身にスライスしたトマトと青ネギを入れて、ココナッツミルクを加えた料理です。‘ota ikaとはトンガ語で生の魚を食べることを意味します。
他に有名な伝統料理として、豚の丸焼きがあります。
豚の丸焼きは結婚式、誕生日、戴冠式、教会での儀式、卒業式等の特別な機会にのみ用意します。

(豚一頭はどうやって購入するのですか?)
販売用に飼育している人がいて、ラジオ等で「必要な人は〇〇番まで電話ください」と放送しています。販売目的でなくても、家庭で食用に飼育している人も多いです。

日本の好きな文化はありますか?

日本の建築・庭園・彫刻は地球上でもっとも美しい!

挨拶の時のお辞儀です。握手やハグをしない代わりにお辞儀をすることに好感を持ちました。
母国では、国王様や女王様等の上流階級の方々にのみお辞儀をします。日本では誰もが誰に対してもお辞儀をするので、初めて見たときは衝撃的でした。

(日本人が握手やハグをしないことが、冷たい印象にはなりませんでしたか?)
日本人が冷たいとは思わないです。道に迷ったときに尋ねた時も、丁寧に教えてくれました。
母国には、話し好きが故に、相手の状況はお構いなしで無理やり話しかける人もいますが、日本人は相手の状況を考えて話しかけてくれるのでとても好印象です。

大学生活はいかがでしたか?

大学の稲田で作業に励みました

私は、岡山大学大学院環境生命科学研究科に新設された生物資源科学の研究室の学生でした。教授や研究室の仲間との研究を通じて、多くの技術を習得することができ、素晴らしい経験となりました。一般の大学生よりも多くの知識と経験ができたと思っています。大変な作業と多くの努力を必要とする大学院のシラバスはとてもアグレッシブでしたが、今となっては、その恩恵を実感しています。

最後に日本の皆様に一言お願いします。

日本は素晴らしい国です。これからも頑張ってください。