第4回「グローカルヒーローへ突撃!」実施報告

2022年3月23日

海外経験×地域の多文化共生

元JICA海外協力隊の隂山さん

安芸高田市地域おこし協力隊の福岡さん

3月5日に第4回目となる中国5県のJICAデスク共同企画「グローカルヒーローへ突撃!」を行いました。
グローバルな視点・課題意識を持ちながら、ローカル(地域)でご活躍されている方にお話を伺う本イベント。今回は「海外経験×地域の多文化共生」というテーマで二人のグローカルヒーローにお話を伺いました。

1人目のグローカルヒーローは、島根県出雲市在住の隂山亮子さん。
JICA海外協力隊員として南米エクアドルの小学校で、NGO「AMDA-MINDS」の駐在員として中米ホンジュラスで活動されてきた隂山さん。長きにわたって中南米でご活躍された後、今は地元の出雲市で多文化共生に関するお仕事をしておられます。
出雲市は在住ブラジル人が多い自治体です。そんなブラジルの公用語はポルトガル語。陰山さんが活動されていたエクアドルやホンジュラスの公用語はスペイン語ですが、ポルトガル語とスペイン語は比較的似ている言語のため、やり取りが可能なのだそう。
隂山さんは、出雲市で生活しているブラジル人と積極的に交流することで「多文化共生や在住外国人に関するデータ・報告書の記載が単なる情報ではなく、身近な友人の生活に直結するものとして感じられるようになった」とのことです。

2人目のグローカルヒーローは、広島県安芸高田市在住の福岡奈織さん。
2020年4月に広島市から安芸高田市に移住し、安芸高田市の地域おこし協力隊として多文化共生推進事業に携わっています。縁もゆかりもなかった安芸高田市への移住でしたが、他の地域おこし協力隊員や、福岡さんの思いや取り組みに共感してくれる地域の「仲間」を見つけ、外国にルーツがある方の語学のサポート等をしています。それに加え、「外国にルーツがある人が日本(地域)に適応する」だけでなく「日本(地域)で長く生活されてきた人が外国の様々な文化や習慣について知る」機会も大切にされています。
福岡さんはこれまで世界約30か国を旅する中で「平和とは何か」を深く考え、世界各国の人たちの対話から得た学び・気付きを小学生や高校生と共有する活動に力を入れています。

各地域の取組を見える化、多くの人が参加できる「のびしろ」を発見

たくさんのご参加ありがとうございました!

会の後半には、各地でどんな取り組みが行われているか、Zoomの投票機能を活用して参加者の皆さんにお答えいただきました。
投票の結果、「身近に外国にルーツがある人が生活している」参加者は8割を超えており、多文化共生に関する取り組みの中で多いものは日本語教室の運営や、やさしい日本語*での情報発信でした。
ただ、「やさしい日本語での情報発信をしているものの、緊急時の情報発信の精度にはまだまだ課題が多い」という声や「情報を発信しているからOK、ではなく、必要な情報がきちんと伝わっているかが重要」という意見も上がりました。
(*やさしい日本語:普通の日本語よりも簡単で、外国人にもわかりやすい日本語のこと。)

多文化共生に関する取り組みについては、複数選択での回答を実施し、「よくわからない」という選択肢も含めたところ、26%の方はこちらを選択されていました。
今は「各地でどんな多文化共生支援の取り組みが行われているかよくわからない」としても、このようなイベントへの参加を契機にもっと積極的に知ったり、取り組んだりできる、これからの「のびしろ」がたくさんあるなと感じました。

多文化共生という言葉を頻繁に目にするようになるより以前から、外国から来られている方と元々その土地に住んでいた方との関係の構築に向け長年取り組んでこられた方々がいらっしゃいます。そのような取り組みが続いてきたから、現在があるとも言えます。
一朝一夕で盤石になるものではないということを理解しつつ、「今までやってこなかったから・・・」と負い目を感じることもなく、今からできることを少しずつ始めていくこと・取り組みの輪を広めていくことが重要なのだと感じました。

イベント終了後の座談会でも陰山さん福岡さんからさらに詳しいお話を聞くことができました。
今回ご登壇いただいたグローカルヒーローのお二人が海外で過ごしてきた時間や場所は違いますが、「目の前の人との時間を大切にする」という姿勢は共通していました。
多文化共生に関する取り組みは様々ありますが、根底にある大切なものを再認識できた方も多いのではないでしょうか。

隂山さん、福岡さん、ご参加いただいた皆さん、どうもありがとうございました!

(広島県JICAデスク 羽立 大介)