【実施報告】JICA中国 地域共生プログラム ~となりのイスラム圏の人たち~

2022年2月4日

オンライン形式に変更

1月22日(土)、東広島市に住んでいるイスラム教徒の方をお招きしてその課題や想いを市民のみなさまと共有し、お互いにより深く理解することを目指して、「地域共生プログラム ~となりのイスラム圏の人たち~」を開催しました。JICA研修員で広島大学の大学院に通うサメルさん(シリア)とアジームさん(パキスタン)、市内の小学生の保護者であるデウィさん(インドネシア)の3人がゲストスピーカーとして協力してくださいます。
定員25人に対し、およそ50人もの方から参加のお申し込みをいただき抽選やむなし、というところでしたが、広島県内に新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が適用されたためオンラインに変更しての開催となりました。当初計画していたスープの試食はできなくなりましたが、オンライン配信をご了承いただいた方31名がスクリーンの向こうに揃いました。

イスラム教の基本情報について

広島大学の大学院に通っているサメルさん。オンラインは慣れたもの。

最初にお話をしたのはサメルさん。イスラム教の基本的な事柄について解説しました。イスラム教徒は1日5回お祈りすること、イスラム教徒に許された物を“ハラル”、禁じられた物を“ハラム”ということなどを教えてくださいました。参加者の方はチャットの機能を使って質問します。「日本で外出中にお祈りの時間になった場合、どうされていますか?」の質問には、「できるだけ公共のスペースを探してお祈りをするようにしています。」とのお答えでした。

ぜひ味わっていただきたかったチキンスープ

デウィさんが紹介してくれたチキンスープ。食欲をそそられる彩りです!

次に、デウィさんが登壇。調理の様子を撮影&編集した動画を使って、ハラルの鶏肉で作るチキンスープの作り方を教えてくださいました。
その後、ハラルの鶏肉は東広島市内のいくつかのスーパーで買えること、ハラルの食材を扱う専門店もあることなどを紹介してくださいました。スーパーで食材を買う時には、ハラルかハラルでないかが分かるアプリを使っているそうです。新商品の情報も載っていて便利だとか。「間違えて食べてはいけない物を食べることはありますか?」の質問には「はい。大丈夫と思って買うのですが、後で気づくことがあるんです。そういうときは、すぐ食べるのをやめて、次からもう食べないようにします。」とはにかみながら答えてくださいました。

もっと!イスラム教を知ろう! 3人の方に聞きました

この日の給食は豚丼。サメルさんのお子さんは代わりのおかずのお弁当を持って行くそう。

最後の記念写真の時だけ、マスクを取ってにっこり。

最後は、アジームさんも加わって3人にインタビュー。断食は、日の出から日の入りまで。いつから始まるかはイスラムのカレンダーで決まっていて、年によっては1日14時間以上にもなるとか。
話題はさらに、給食の事情へ。サメルさんは、東広島市内の小学生一人と中学生二人のお父さん、デウィさんも小学生二人のお母さんです。「私は毎日お弁当を持たせています。」とデウィさん。一方、サメルさんは、「学校は、豚肉など避けるべき材料に印をつけた給食の予定表を配ってくれます。子どもたちは、代わりのおかずをお弁当で持って行き、それ以外のメニューは食べています。」同じイスラム教徒のみなさんでも、対応は色々なんですね。画面の向こうの参加者のみなさんも、納得されている様子でした。
「イスラム教徒の女性は、長袖長ズボンの水着を着ます。」とデウィさん。来日してすぐはお子さんをプールに連れて行っても、変わった水着を着ていると思われたくなくて自身は泳がなかったそうです。ところが、プールに行ってびっくり!日本の女性も長袖、さらに帽子まで。水着姿がほとんど同じだと分かって、それからはお子さんと一緒に泳いでいるそうです。
アジームさんは、「お祈りする場所がないのが悩み」だとか。たしかに、広島大学の近くにはお祈りできる場所のある施設がありますが、それ以外ではなかなかお祈り専用のスペースはありません。
3人のお話の途中も、質問が次々に寄せられました。「断食をしなくてもいい人がいると聞いたことがあります。本当ですか?」の質問に、アジームさんからは「そうです。お年寄りや妊婦さん、病気の人たちは完ぺきな断食をしなくてもいいです。」との回答でした。「日本人の行動で不愉快な経験をしたことはありますか?」との質問にはデウィさんが「今まで不愉快な経験をしたことはありません。私たちを尊重してくれています。」と答えてくれました。
今回はオンライン開催となりましたが、参加された方から、3人の暮らしぶりを実際に聞くことができて身近に感じられたという声をいただきました。最後は「ありがとう~!!」とスクリーン越しに手を振って終了しました。急なオンラインへの変更にも関わらず、イベントにご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。