【実施報告】2021年度JICA中国 教師国内研修 事前研修②

2021年8月16日

フィールドワークの準備から「自分」を見つめ直す

山中教授の講義

7月17日(土)、2021年度JICA中国 教師国内研修の第2回目の研修を実施しました。
今回はJICA中国センターで初めての顔合わせでの研修です。
改めて参加者同士での自己紹介や研修に望むことなどを発表し合いました。

国内研修では、主に中国地方でのフィールドワークをもとに地域の現状を知り、世界につながる課題を考え、それらを児童生徒とともに考える学習プログラムを作成します。8月に実施するフィールドワークの行程を共有し、それぞれの訪問のねらいと趣旨、学びのポイントを確認しました。

川崎医療福祉大学の山中信幸教授からは、JICA教師海外研修への参加や国内でのスタディツアー実施などご自身の経験から、学習プログラムを作成する前提で臨むフィールドワークの留意点についてご講義頂きました。
その中で示された1枚の写真は、山中教授が過去に教師海外研修に参加されたときに撮影したもので、訪問した貧困地域を教員全員が思い思いに撮影している、その風景でした。現地に行き、現物に触れ、自身が感情を揺さぶられたリアルな様子を写真や動画に収めることは、フィールドワークの醍醐味です。
しかし、カメラやビデオを手に歩き回る私たちを、撮られる人はどう見ているんだろう、どう感じているんだろう。そして訪問した場所で、私たちはどこにカメラを向け、どんなふうに撮影しているんだろうか。その行為一つ一つに、自分でも気づいていない思い込みや偏見、また調べた情報から誘導されていることはないだろうか。

講義を聞きながら、参加教員はフィールドワークの準備とともに、自分自身の認識を見つめ直す準備も出来ていったようでした。

身近なことから考える異文化理解

写真から課題を読みとく

その後、グループに配られたのは4枚の町の写真でした。
これはどんな風景だろう、この椅子の形はなんだろう、学校の外壁にあるこの鉄管は?写真に写る様々な物を注視しながら、何気ない日常に潜む「格差」「排除」について考えていきました。

コロナ禍で海外に渡航できなくなってから、国際理解、異文化理解について学ぶ機会が減り、そのハードルは高くなったように感じられます。
しかし本当にそうでしょうか。
国内の写真1枚からでも身近に潜む課題を考えることができます。そして、そこでの意見交換はたった数名の教員の間でも視点や見方が異なります。
異文化理解とは外国の生活習慣をただ知ることではなく、身の回りでも多様な考えや価値観があることに気づくことではないでしょうか。

この2回目の事前研修でフィールドワークの準備を進める中で、参加教員は自分が見えていない点を他の参加者の視点から気づき、多角的な見方があることを再認識されたようでした。

8月に実施されるフィールドワーク、参加の先生方にとってはすでにスタートしたようです。