【実施報告】教育研修会「新聞から読みとくSDGs-知る、深める、伝える-」in山陰

2021年10月16日

・日 時:2021年10月16日(土曜日)10時から16時 
・会 場:島根会場:くにびきメッセ
     鳥取会場:鳥取県立福祉人材研修センター
・参加者(両会場合計):31名
・主 催:JICA中国・中国地方ESD活動支援センター・EPOちゅうごく
・後 援:山陰中央新報社、新日本海新聞社、朝日新聞社、島根県NIE推進協議会、
     鳥取県NIE推進協議会
・協 力:しまねエコライフサポートセンター、鳥取県地球温暖化防止活動推進センター

環境問題、南北問題からSDGsを理解する

葭矢崇司先生

昨年度広島県で実施した、新聞を活用してSDGs理解を深めるセミナーを、今年度は山陰地域で開催しました。
はじめに、しまねエコライフサポートセンターの葭矢崇司先生より、SDGsについてご講義頂きました。「誰ひとり取り残さない」社会を目指して国連で定められた目標であるSDGs(Sustainable Development Goals;持続可能な開発目標)。日常的にメディアや街中でも目にする機会が増えましたが、ついついカラフルなアイコンにばかり注目しがちです。この日は改めて、このような世界共通の目標ができた背景、人類が地球から受けている恩恵と地球の現状、「持続可能性」とはそもそもなんなのか、など、多くのデータや写真を豊富に用いて、分かりやすく解説して下さいました。そして環境問題は、人間と自然環境の関係だけでなく、先進国と開発途上国の経済格差や貧困といった南北問題とも深くつながっていることなどを、具体的な事例を通して教えて下さいました。

最も身近で鮮度の高い情報源からSDGsを考える

ワークショップの様子

最も身近なニュースソースである新聞を用いた教育活動は「NIE」(Newspaper in Education;教育に新聞を)と呼ばれ、1930年代にアメリカで始まりました。日本では1985年に提唱され、その後、教育界と新聞界が協力し、青少年の育成や活字文化と民主主義社会の発展などを目的に、全国で展開しています。当日は日本NIE学会理事である有馬進一先生をお迎えし、NIEの歴史や特長、新聞を使った参加型学習の方法を学びました。
SDGsは格差解消や食料問題、教育、ジェンダー、環境など17のゴールから成りますが、すべてのゴールは切り離せず、密接なつながりを持っています。だからこそSDGsへの理解を深めるには、専門分野ごとに検索したのでは見えづらい、横断的で広い視点が必要といえます。その視点を育むのに最適なのが、いつでも誰でも手軽に入手できる新聞、というわけです。
有馬先生の講義に続き、参加の先生方はテーブルの上に置かれた新聞を広げ、各々気になる記事を探していきました。手元にはSDGsの17のゴールのロゴがついた付箋もあります。着目した記事はSDGsのどのゴールと、どんな理由でつながっていると思うか、新聞紙と付箋を手に考えていきました。各自で考えた後に、自分がどんな記事にどんな付箋をつけたかを全員で共有していきました。
また、特に気になる記事を切り抜き、SDGsとの関係性を深く考える時間もありました。同じ情報を見ても、前向きにとらえる人もいればネガティブなイメージを持つ人もいる。同じゴールの付箋をつけていても、その理由は様々であることにも気づき、各自の考えを共有することでその多様性を再認識することができました。

新聞社が行う教育活動

新聞社の事例紹介(山陰中央新報社 清水由紀子さん)

今回、島根会場には同県を中心に購読されている山陰中央新報の清水由紀子さん、鳥取会場には同県を中心に購読されている日本海新聞の和田進さんにお越し頂き、会場ごとで各社が取り組むNIE活動についてご発表頂きました。多様な教育活動を展開するのは学校現場だけではありません。新聞社も地域の学校に出向き、新聞を使った授業を実践されています。人々の暮らしに密着し、地域性と現場を大切にする新聞という媒体だからこそ、その教育活動は教室の外にも広がりを見せているようです。

JICA中国では、今後も様々な機関と連携をはかり、楽しみながらも気づきの多い学びの機会を提供していきます。どうぞご期待ください!