【JICA研修員の学校訪問レポート】広島県立加計高等学校[広島県]

2023年3月3日

楽しみにしていた学校訪問

「おもてなし隊」によるお出迎え

11月1日(火)、ひろしま国際プラザのロビーは朝から華やかなアフリカの衣装をまとったJICA研修員の明るい声に包まれていました。学校訪問として、広島県北部、安芸太田町にある加計高校のみなさんと交流するため、赤、青、黒、色とりどりの民族衣装を着た研修員が写真を撮りあっています。女性研修員は頭部にもきれいな布を巻いたり、お国のビーズのネックレスなどを身に着けていたりして、とても華やか。10月に日本の教育システムについて学ぶため、ガーナ、ケニア、マラウイ、ルワンダ、南アフリカ、ウガンダ、ザンビアから来日した11名の研修員の中には、国の教育行政に携わる人に交じって、現役の先生や校長先生もいて、今日の生徒との交流をとても楽しみにしていました。
加計高校は、コロナ禍前は年間100名以上の外国人の訪問を受け入れていた国際活動に非常に熱心な学校です。さらに、外国人の接待を率先して行う「おもてなし隊」が結成されていて、今回の学校訪問でも熱烈な歓迎を受けました。

全校生徒による歓迎会

体育館では、歓迎の式典が用意されていました。ザンビアのアナニアスさんが代表してご挨拶。「ひとりで走ると早く走れるけど、みんなで走ると遠くまで行ける」という英語のことわざを披露して、「今日の交流でみんなで遠くまで走りたいです。」と、さすが校長先生。みんなを盛り上げるメッセージを送りました。

7か国のお国事情を紹介

全校生徒の前で、7か国を紹介

その後は、研修員が自分たちの国について紹介。事前に用意しておいた国の美しい風景や料理をスライドで見せました。スライドの言葉を事前に訳してくれたのも、その場で出た言葉を通訳してくれたのも加計校生です。
言語の壁を感じた場面もありましたが、南アフリカのクレさんは、動画でお国を紹介。ノリの良い音楽に合わせて体を揺らすクレさん。会場からは手拍子が沸き起こりました。自国で取り組むSDGsについて紹介してくれる研修員もいました。「ルワンダは小さい国だけど、国民それぞれが毎日努力しています。24時間、努力しなきゃいけない。」とガートルードさん。他の国についても、生徒のみんなが協力して日本語での解説を補足し、各国の情報を共有することができました。

スクール・ツアー

授業の風景を見学。こちらは化学の授業中。

今回は全員が教育に携わる研修員ということで、午後は、おもてなし隊が学校を案内してくれました。教室に設置してあるスタンプを集めながら各教室をまわっていきます。1年生は、数学で2次方程式の授業中。問題と解説のプリントをもらった南アのコロベさんは、数学の先生です。「この問題は、すぐに解けるわ。簡単ね。」と自信たっぷり。「AL(アクティブラーニング)教室のALってどういう意味?」「職員室の先生は何人くらいいるのですか?」とみんな興味津々で見学させていただきました。

さまざまな交流プログラム

「今日は男子に囲まれてクッキングの先生ができて光栄よ。」とアイリーン校長。

その後は、グループに分かれて交流を行いました。調理室では、和菓子作りとしてどら焼きに挑戦しました。ケニアのアイリーンさんは、英語で書かれたレシピを見て、「パンケーキを作るのね!」とすぐ理解した様子。てきぱきと調理をすすめていきます。お国では2000名を超える高校の校長先生だと知ると、生徒は「そうなの?!」と驚いていました。最後は、焼きあがった2枚の生地にあんこやクリームを挟んで完成。出来上がったどら焼きをほおばりながら、みんな「おいしい!」と大満足でした。
体育館では、日本の折り紙、かるたやけん玉などを生徒と研修員が一緒に楽しみました。中でも、射撃部が用意してくれた射撃ゲームは大人気。2回連続で満点を取り、意外な才能を見せたマラウイのレベッカさん。「次がラストね!」と楽しそうでした。

放課後は茶道の部活見学と校長室へ

正座は難しかったけど、お菓子は気に入りました。お茶の味はちょっと…。

放課後の時間は、茶道部の部活を見せていただきました。みんな慣れない正座に苦戦しながら、お点前を堪能しました。「お茶はモリンガの味に似ているね。違うのは色。」とザンビアのムカンシさん。「ただお茶を作るだけじゃないんだよ。淹れるのも飲むのもやり方が決まっている。」静寂の中で生徒に点ててもらったお茶が心に残った様子でした。
ほかの研修員は校長室にお招きいただいて、加計高校の色々な取り組みについてお話を聞きました。「現在、定期テストはありません。」と校長先生。「どうやって成績をつけるのですか?」など、様々な疑問に答えていただきました。
生徒の自主性を大切にしている加計高校。今回のプログラムも、全て生徒のみなさんがおもてなし隊を中心に考えたとのことで、色々なところに生徒のみなさんのアイディアが詰まっていました。ありがとうございました。