【鳥取県・JICA中国共催】鳥取県おもてなし力向上研修を実施

2022年7月15日

食の多様化から多文化共生を考える

2022年7月8日、9日の2日間、元公邸料理人の工藤英良さんを講師に迎え、鳥取短期大学国際文化交流学科の学生10名に、鳥取県交流人口拡大本部観光交流局国際観光誘客課と共催で、鳥取県おもてなし力向上研修を実施しました。
この企画は、鳥取県商工労働部が本短期大学に行っている創造的観光育成プログラムの寄付講座のタイアップ企画として、鳥取県が進める「食の多様化」を通じて鳥取県の魅力を再認識し、文化的背景が異なる人をもてなす能力を向上させることが狙いです。今回は、工藤さんに加え、岡山県JICAデスクの北脇藍紗を講師として迎え、講話、ワークショップ、調理実習を行い、食の多様化から多文化共生を考える機会としました。

多文化共生ワークショップ「海の向こうのレストラン」を体験

ハラール、アレルギー、~タリアンなど各自の役割の中でフランス語のメニューを選ぶ

初日、まず初めに鳥取県の食の多様化の取り組み、JICAの取り組みについて説明を行いました。そして、ヴィーガン、アレルギーなどの食の制限や、ハラールという宗教的背景を持っているという参加者が異国のレストランに行く設定で多文化共生ワークショップ「海の向こうのレストラン」を実施しました。メニューはフランス語表記、料理もフランスやジャマイカの郷土料理です。学生さんは「この料理なに?」「言葉が分からない」とメニューを選ぶのが怖い様子。一通り見たところで、次は日本語のメニューを配りました。そうすると・・・日本語が読めても、料理がどんなものか分からず選べない、分からないという体験をしてもらいました。このワークショップを通して、「自分自身は、宗教や文化で食べれないものがないから、あまり気持ちが分からなかったけど、食べられない人の立場に立つことで食べ物を選ぶ難しさを感じました」などの感想がありました。

ヴィーガン、ハラールなど食の制限がある人へのおもてなし料理を作ってみよう

講師から料理のレクチャーを受ける学生

長期研修員とコミュニケーションを取りながら調理を

完成した料理

2日目は、工藤さん主導で実際に鳥取県が進める食の多様化について、ヴィーガン、ハラール対応の鳥取県産食材を使用したおもてなし料理を作りました。作った料理は、この日のために工藤さんが開発した、鳥取県産ブロッコリーのジェノベーゼ・鳥取県産原木椎茸の豆乳ポタージュ・豆乳プリンです。また、異文化から来た方が鳥取県のおもてなし料理を体験し、相互理解を深めることを目的として、鳥取大学に在籍しているジンバブエ出身のJICA長期研修員アグネスさんも一緒に参加しました。普段あまり料理をしない学生さんが多く、この調理実習はおもてなしの気持ちを込めて料理をする貴重な体験となったようです。

今回、工藤さんにレシピ開発をして頂き、みんなで力を合わせて作った料理は、「鳥取県産野菜を使用」し、「動物性脂肪」を全く使用せず、かつ卵も使用していない、ヴィーガン、ハラール対応料理です。「野菜しか使用していないけど、本当においしいのかと思いながら作っていた」と学生さんからコメントがありましたが、実際に試食をしてみると、「美味しい!」とみんなで絶賛していました。また、すべて地元で獲れた野菜を使用しているため鳥取県で生産された野菜の美味しさも実感できたようです。

学生さんから、「実際に調理してみて、(野菜だけで)色々な味わいを作るのが大変だと言うことを身に染みて感じました。私は日頃食に対してアレルギー以外でそんなに考えずに料理していましたが、野菜だけで凄く美味しく食べられるように熟考されていて、料理の奥深さ、人々が持つ背景への配慮が感じられて大変感動しました」と感想がありました。この気持ちは、これからもずっと大切にして欲しいと願っています。

これからの鳥取県の魅力化、多文化共生を担う人材となるように

最後にみんなで集合写真(*写真を撮るときのみマスクを外しています)

本企画は鳥取県との共同企画で、鳥取県の魅力を感じてもらい、観光開発や多文化共生を学ぶ学生が将来、鳥取県で活躍できるきっかけを提供することを目指しました。学生さんには普段学校で学ぶことだけなく、県やJICAが提供できる機会をこれからも大切にして頂けたらと思います。一緒に企画を回してくださった鳥取県様、鳥取短期大学様、講師の工藤英良様に深くお礼申し上げます。