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- JICA地球ひろば開発教育メルマガ 2016年6月号
Q&A「途上国を扱うと、生徒の感想が「かわいそう」で終わってしまった…」
現場の先生からよく聞く「授業」「参加型学習」「学校の中」等に関する悩みや疑問をQ&A形式でご紹介いたします。悩み・疑問解決の一例としてヒントにしていただけたら幸いです。
Q:質問
途上国を扱うと、生徒の感想が「かわいそう」で終わってしまった…(途上国と日本を比較すると「日本でよかった」との感想で終わってしまった…)この後、どう展開したらよいのでしょうか?
A:回答
日本に限らず、先進国といわれている国においてありがちな児童・生徒の反応のようです。例えば以下のような進め方をした場合、学習者の思考が深まり難いことがあります。
- 途上国のデータや事実を伝えることに終始してしまった
- どこか遠い、自分たちには関係のない国のことのように扱ってしまった
学習者が変化して行動することが開発教育・国際理解教育の一つのゴールですが、その前段階として、「他人事で終わらせない」ための工夫を紹介します。
私たちは、自分とつながっている、共通点があるなどと感じたときに相手に共感しやすくなります。例えば以下のような方法をとっている実践者も多いようです。
- 導入で、輸入品などの身近な「モノ」や、スポーツなどの「コト」の紹介から入り、私たちとのつながりを感じさせる。
- 性別、世代、立場など、学習者と当該国の人々との共通点を持たせる、考えさせる。
(途上国の子どもたちが楽しく遊んでいる様子、学校の勉強を一生懸命やっている姿や、家族団欒の様子などを見せると良い。) - その上で、「幸せってなんだろう」「幸福の基準」など、普段あまり考えない問いかけをして価値観を揺さぶる。
(価値観を揺さぶることで、学習者の感想が「かわいそう」にとまらないようにすることがねらい。「幸せにつながる共通点探し」を行った上で幸せについて考えるのも良い。)
「ところが!」×2の手法
つながりや共通点がある。
- ところが!当該国にはこんな事情がある(データや事実を知らせる)
- ところが!そんな状況の中でも1日を流されながら過ごすのではなく、個々の日常生活の中で「幸せ」を感じているのではないか。
(当該国と自分自身を照らし合わせて、当該国から何かに気づかせる)
上記のように「ところが!」を使い価値観を揺さぶりながら、継続的に時間をかけて取り組むと良いかもしれません。
授業案「誰でも手軽に取り組むことができるアクティビティ案」ご紹介!
開発教育・国際理解教育を教育現場で一般的に広げるためには、読者のみなさまひとりひとりが各学校現場において『開発教育・国際理解教育のリーダー』として、他の先生方に広げることが大変重要です。一方、実際には現場の先生方より以下のようなお声をいただきます。
- 実際に現地を訪れていないと開発教育・国際理解教育は難しいと同僚から言われる
- 教材化されたものが少なく、教員の知識も限られるので準備に時間がかかってしまう
これらを受け、今回はJICAのリソースを活用して「誰でも手軽に取り組むことができるアクティビティ案」をご紹介いたします。
学校に行けずに働く子どもたちの写真を用いた"フォトランゲージ"と、そこから起こる「学校に行けない」=「教育が受けられない」ことによって生じる"負の連鎖"を考えるカードワークです。
これらを通し、世界の教育の現状、教育の大切さ、負の連鎖から抜け出すことの難しさ等について気付き、理解し、考えるアクティビティです。
アクティビティのポイントや流れ、フォトランゲージで使用する写真など、詳しくは以下をご参照ください。
資料:JICA国際理解教育実践資料集より
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