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- 【フィリピン⇔山梨県】栄養士隊員とともに考えるSDGs-山梨県立笛吹高等学校(2025年11月)
2025年11月11日、山梨県立笛吹高等学校に向けた、JICAオンライン国際協力出前講座を行いました。国際科3年生の20人が参加し、フィリピンで活動中のJICA海外協力隊、内田佳奈(うちだかな)さんを講師に迎え、世界の栄養問題とSDGsの目標2「飢餓をゼロに」をテーマにお話いただきました。内田さんは、フィリピン中部に位置するボホール州のクリニックにおいて、栄養士隊員として5歳未満の子どもの栄養改善業務に従事されています。
山梨県立笛吹高等学校の国際文化系列の授業「課題研究」では、SDGsの取り組みや多文化共生をテーマに調べ学習を行っており、その成果発表会に向けて、調べ学習の内容を更に深める機会にしたいということで出前講座にお申込みいただきました。SDGsの調べ学習では、「飢餓」や「環境」に関するテーマを選ぶ生徒が多かったということで、本講座では、SDGsの目標2に焦点を当て、栄養士から見たフィリピンの現状を踏まえ、世界のSDGsについて一緒に考えました。
フィリピンの栄養問題からSDGsを考える
フィリピンは、依然として、人口当たりの飢餓率(栄養不足人口の割合)は5~6%、5歳未満の発育阻害率は26%となっており、慢性的な飢餓が大きな課題となっています。特に農村部・南部ミンダナオ地域、そして都市の貧困層で栄養不良の割合が高いということで、従来の貧困問題に、昨今の気候変動によるさまざまな影響や食料価格の高騰などがさらに追い打ちをかけていることは否めません。
そのような状況はフィリピンにとどまらず、他の開発途上国においても、SDGs達成の足枷になっています。
内田さんは「いつか開発途上国の栄養問題を改善するために、栄養士として支援に行きたい」という志でJICA海外協力隊への参加を決意したそうです。ただ、大きな課題を前に「自分がどんなにがんばっても意味がないんじゃないか」と感じることもあるといいます。そのような葛藤を抱えながらも一生懸命活動している隊員の姿を知ってもらうことも、次の世代へのメッセージになると思いました。
「栄養面」から働きかける取り組みは、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」の課題解決に直接寄与するだけでなく、実はすべての目標達成に関わるということも講座後半で行ったワークショップを通して、理解を深めることができました。
フィリピンの貧困率は約22%(約2,400万人)と、東京都と神奈川県の人口に匹敵するという
影響をダイレクトに受ける脆弱な立場にある人たちへの対応が何より重要です
栄養はすべてのSDGs達成に必要不可欠
ワークショップで体感する世界の栄養問題
講座の後半では、開発途上国での課題を自分事として考えてみるため、JICAが提供しているワークショップ教材を使った「買い物ゲーム」を取り入れました。
前半ではフィリピンの飢餓の問題についての話を聞きましたが、フィリピンのように、飢餓あるいは低栄養の課題を抱える国がある一方で、過栄養(過体重、肥満)の問題を抱える国も増加しています。健全な成長を妨げる低栄養と、生活習慣病等を引き起こす過栄養は、いずれも人間の生命・健康に大きな影響を及ぼします。
「買い物ゲーム」では、参加者が、世界のある国でそれぞれ異なる所得の範囲内で食べ物を購入するという設定。その後、栄養バランスがとれた買い物ができたかを振り返りながら、どうすればよりよい食生活を送れるのかを話し合い、栄養について学ぶことができます。
山梨県立笛吹高等学校の生徒さんたちもワークショップで、所得の差によって栄養摂取状況が変わることを視覚的に体験することができました。低所得は、栄養不足にもなるが、実は栄養過多にもなりやすいという、栄養の偏りが出てしまうことがわかりました。また、栄養に関する情報や給食などの提供があることで、たとえ低所得であっても栄養バランスの改善につながることも学ぶことができました。
6つのグループに分かれて、所得の差によって生じる栄養の偏りを視覚的に体感しました
グループ毎に結果を発表し、統計を取りました
所得の差で起こる栄養の偏りは、さまざまな支援アプローチで改善することができます
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