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【開催報告】「多文化共生の文化」共創プログラム第一回を開催いたしました!

2025.10.27

「多文化共生の文化」をテーマに教員研修の第一回をJICA市ヶ谷で実施しました。文化は学び、受け継がれるものであり、社会が急速に変化する現代において教育もまた、変容的であることが求められます。そうした視点のもと、全国から集まった先生方が対話や体験を通して“多文化共生の文化”とは何かを探究し、問いを深めた2日間となりました。

《研修1日目》

言葉を使わずに自己紹介カードを初対面の研修の仲間に見せ合うチェックインからスタートしました。初対面の参加者同士が、非言語的なコミュニケーションを通じて距離を縮めました。

続いて、本研修で扱う3つの問いが提示されました。

―当たり前が当たり前ではないー

最初の対話型ワークでは、1つ目の問いである「なぜ今、多文化共生の文化が必要とされているのか」を自分・学校・世界と社会の3つの視点から考えました。
「ユニバーサルデザインの1つとして、多文化共生があってもいい。」
「教室で“困っている子”に時間をかけたいが、全員を平等に扱う難しさがある。支える仕組みや理解のある環境が必要。」など、現場で感じるリアルな意見が交わされ、日常にある“違い”とどのように向き合っていくかを見つめ直す時間となりました。

その後の、「地球ひろば」多文化共生展示の見学ツアーでは、地球ひろば案内人の解説のもと、マイノリティに気づき、理解し、共生をつくる国際協力の取り組みを見学して、多文化共生を“体験的に理解する”機会となりました。

午後は、多文化共生ワークショップとして、社会構成カードゲームを実施。価値観の違いや、自分の中の「当たり前」が、世の中すべてに当てはまるわけではないという気づきが生まれました。そのきっかけとなるのは、外国籍の方や、異なる年齢・立場の人々との関わりかもしれない、そんな学びを体感する時間となりました。
さらに、近隣の小学校を訪問し、在外経験のある先生からの貴重なお話を伺い、国際理解教育の実践を学びました。先生方からは、
「新しいことを始めるより、今あることをアップデートする大切さを感じた。」
「海外での経験や特別な体験は、ただそのまま学校に持ち帰るのではなく、自分の中でしっかりと理解し、他の生徒と共有することが大切。」といった声が上がり、対話を通して自身の教育実践を見つめなおすきっかけとなりました。

《研修2日目》

ー正しいことを教えるのではなく、寄り添う人になりたいー

二日目の研修は矢野デイビッド氏(一般社団法人Enjie代表)の講演から始まりました。一般公開もされ、オンライン含め100名以上の方にご参加いただきました。
『違い』の意味をゆっくりと紡いでいくことをテーマに、矢野氏のライフストーリーから、教育の現場における多文化共生について考えました。
参加者からは「正しいことを教えるよりもまず、寄り添うことを大切にしていきたい」という声があがりました。

楽しいお昼ごはんタイムのあとは参加者たちで対話&ワークショップを行いました。
テーマは「未来に向けて共創したい『多文化共生の文化』とは?」です。
意見を出し合う中で、「みんなで共につくっていく co-creation」、「トライアンドエラー、そしてそれができる環境」などのアイディアが出ました。
次に、「多文化共生の文化」がある学校とは?」について考え、話し合うために、4つのグループに分かれました。それぞれ、

  • アイデンティティの授業やカウンセラーの設置
  • 先生や子供にゆとりを生ませる取り組み
  • 外国籍がいない学校でも他文化に触れていく
  • 対話する時間ができる中学校をつくりたい
  • (学力・収入などの面で)多様な子供たちを比率で決めてしまう

などの声があがりました。
終始和やかな雰囲気で笑顔に包まれていました。

最後に、二日間の学びと思考の集大成として、自身が作りたい「多文化共生の文化」について考えました。

参加された先生方からは、「職場だと信頼はしているけれど、自分をさらけ出すことはできないことがあった。こういった研修の場を通して、本音で話し合えてよかった」という嬉しいコメントをいただきました。

今回の研修は、「正解を教える」のではなく、「問いを共に探究し続ける」姿勢の大切さを実感する二日間となりました。“違い”を超えて共に学び合い、未来に向けて「多文化共生の文化」を共創していく第一歩となったのではないでしょうか。

地球ひろば推進課インターン 渡井璃子・江藤心晴

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