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訓練生日記~2023年度1次隊⑪ 特別編・訓練生座談会vol.2(退職参加)~

本座談会の発起人、福田賢一さん※写真中央(ペルー/環境教育)と座談会参加の皆さん

座談会vol.2スタート!自己紹介

黒島永竜さん(ソロモン/体育)

小林大祐さん(ドミニカ共和国/鍼灸マッサージ師)

田中良平さん(アルゼンチン/再生可能・省エネルギー)

菊池優衣さん(ブラジル/日本語教育)

福田:本日は、退職後、JICA海外協力隊に応募された4名にお集まりいただきました。まず、皆さんに自己紹介をしていただきたいと思います。では、黒島さんからお願いします。

黒島:僕はソロモン諸島に体育隊員として派遣予定の黒島永竜(くろしま ながたつ)といいます。大学卒業後は6年間、東京都で小学校の教員をしていました。20代にやり残したことは何かないかな、と考えた時に自分の強みを生かせる仕事で海外に行きたいなと思い、JICA海外協力隊に応募しました。ソロモン国立大学に派遣され、現地の体育教員養成に携わります。実際に大学で授業をしたり、カリキュラムを作ったりする仕事にも携わる予定です。

福田:では続いて、小林さんお願いします。

小林:小林大祐(こばやし だいすけ)です。職種は鍼灸マッサージ師で、ドミニカ共和国へ派遣になります。大学は、理系の工学部で卒業して公共施設の設計や保全をやっていて、その後鍼灸マッサージ師になりました。きっかけの1つが大学の頃モンゴルに行って落馬し、肩を怪我したのですが、それを鍼灸治療で直してもらったことでした。それまでは鍼灸を知らなかったのですが、次第に興味を持ち、やってみたいなと思うようになりました。資格を取ってまだ8、9年目ぐらいですが、昔からJICA海外協力隊の中に鍼灸マッサージ師枠があることは知っていて、以前旅行で中米に行ったときに、現地の空気が気に入り、 そちらの要請があればと思い、今年応募をしました。ドミニカ共和国では、視覚障害者のための職業リハビリ学校で、マッサージを教えることになっています。視覚障害の方は文字では伝わらないため、点字で授業をするので、それが困難だと聞いていますが、憧れのカリブ海で2年間暮らせることを楽しみにしています。

福田:それでは、次に田中さんお願いします。

田中:アルゼンチンに派遣予定の田中良平(たなか りょうへい)です。職種は再生可能・省エネルギーです。私は大学卒業後、民間企業で働いてから海外留学を経て、国の研究機関で再雇用期間を含めて三十数年勤務しました。研究機関では木材や、植物資源を有効に利用するための研究開発を主に行っていました。今回、アルゼンチンでは、現地で大量に生産されているサトウキビから、砂糖を取ったあとに残る植物体を利用してエネルギーを開発するという要請があり、派遣される予定です。植物材料から紙パルプ、ボードや肥料など、いろいろなものができますので、エネルギーも含めた植物を循環させるための有効利用について考えていきたいなと思っています。そして、私は今回2回目の協力隊派遣です。前回は2014年から2016年まで、インドネシアにSV(シニアボランティア)で派遣されていました。その時は廃棄物処理という職種で、スマトラ島に行きました。ここは、農産加工業が盛んなところで、パイナップル、オイルパームやキャッサバなどから出てくる廃棄物や廃液をエネルギーに変換したり有用物質を採取したりして、植物全体を無駄なく使うための技術開発をやっていました。前回の活動で、「あ、あれもやればよかった、これもやればよかった」と思ったことが応募の一つの大きなきっかけとなりました。

福田:では、菊池さん、お願いします。

菊池:ブラジル派遣予定の菊池優衣(きくち ゆい)です。経歴としては、大学では国際政策関係のことを学び、市役所に就職をして、労働や財政関係等の職場を経験したあとで、今回退職して参加をします。学生時代から協力隊OBOGの方の話を聞く機会があったり、説明会に行ったりしていて、いつか行きたいという思いがずっとありました。日本語や日本のことを伝えることで、他の国の人の役に立てたらと思っていたので、日本語教育という分野を志望しました。 社会人になって、働きながら地域に住む外国人や、外国にルーツをもつ子どもに対して日本語を教えたり、学校の授業をサポートしたりというボランティアをしていたので、日本で暮らすうえで困っている人を支援したり、多文化共生に関わったりすることができたらという思いがあり、協力隊経験を通してそのヒントも得られたらと思い海外協力隊を志しました。 要請内容としては、ブラジルで日本語も教えている、幼稚園から中学校までの生徒と、あと大人もいる日本語学校が併設されている学校で、日本語を教えたり、日本文化について紹介したりといった内容です。

語学訓練について

福田:それでは、まず語学訓練についてお伺いしたいと思います。今日はスペイン語2名、英語1名、ポルトガル語1名の方々にお集まりいただいています。授業の様子や、学習していて楽しいこと、辛いこと、語学習得のために工夫していることなどお伺いしたいと思います。黒島さんよろしいですか?

黒島:僕の訓練言語は英語なんですが、英語のクラスでは文法やボキャブラリーの確認をしたり、スピーチをしたり、ライティングではテーマに対して単語100語以上を使って、自分の考えを書く宿題が出たりします。今日は40分間のプレゼンテーションがありました。僕はもともと小学校の教員をやっていたので、模擬授業のような形で授業をしました。実際に英語をやってみて思うのが、全然話せないし、聞き取れないなっていうのが正直なところです。受験勉強を経て、書いたり読んだりはある程度やっていると思うんですが、聞いたり話したりというのはなかなか難しいなと感じています。授業が終わったらもちろん宿題はやるんですが、実際にリスニングで英語を聞いたり、何回も繰り返し話したり、あとはシャドーイングといって聞いた英語を自分で話してみるなど、工夫しながらやっています。

福田:私たちは学校で英語を学びましたが、学生時代に英語が苦手だった人は、授業についていくのは難しいですか?

座談会様子①

座談会様子②

黒島:いや、そんなことはないと思います。とにかく慣れることが大事だと思うので、英語がたとえ学生時代に苦手でも大丈夫じゃないかなと、僕は思います。

福田:ありがとうございます。スペイン語を学んでいる皆さんは、工夫されていることはありますか?

田中:私は、この年になってこんなに勉強させていただけるのはありがたいなというのが、まずあります。クラスでは楽しく明るく皆さんに良くしていただいています。私は海外の仕事で国際会議も出ていたので、英語はそれなりにわかりますが、スペイン語は全く違う言語だなと改めて思いました。意味が英語から推測できるものもあるんですが、先生には「英語読みではだめだ」と結構発音を指摘されます。読む練習を繰り返しやってはいますが、発音は今もまだまだです。ローマ字読みをしてしまうというか。幸い、英語を知っていることで、「こういう意味かな」と、ぱっとわかる言葉もあるので、そこは助けられています。英語はスペイン語を勉強する上で、プラスにもマイナスにもなっているかなと、少し感じます。

小林:同感です。スーパーマーケットをsupermercado(スーペルメルカード)とスペイン語でいうんですが、学校で英語を学んでいたから、それで推測できるっていうのはあります。

田中:日本のものの名前にも、「あ、これスペイン語から来ているのか」っていうことに初めて気づくことってないですか?

小林:ありますね。車の名前とか。

田中:そうそう。サッカーチームのヴェルディ。なんでヴェルディっていうのかなと思っていたんだけど、緑。ユニフォーム着ているでしょ。

小林:verde(緑)ですね。あと、デルムンドってあるじゃないですか、サッカークラブの。あれmundoが世界で、世界中っていう意味で。たぶん世界で一番みたいな意味でdel mundo。結構あるぞ、って思います。スペイン語に関しては訓練所に来ている方の多くがゼロからのスタートなので、焦りはなかったです。うちのクラスだけじゃないと思うんですが、かなり宿題が出て、毎日夜10時とか11時とかまでかかって、しんどいなと思いつつも、どこかで楽しいですね。なかなか誰も褒めてくれないんですけど、だいぶ上達はしているんでしょうね。

田中:最初わからなかった文章が、「だいたいこういうこと書いてあるかな」ぐらいまでわかるようにはなっていますよね。

小林:ただやっぱり現地に行ったら、一気にガラッと状況が変わったりはすると思います。ドミニカ共和国は特に発音の癖が強いという話を聞きました。でも癖が強くても、きちんと基礎が固まっていればそれを応用するだけだから、と先生は言ってくれています。

田中:私の不安は、シニア案件なので、ある程度の専門性が現地で求められるんですが、スペイン語で全てできますかと言われたときに、正直難しいなと思います。訓練も残すところあと2週間、現地に行ってからも3週間ぐらい語学研修がありますが、不安です。間違ってはいけないと思うんですよね。正確に相手に伝わらなければと。研究開発でも、伝えたことで誤解されてしまうと、事故にもなりかねないですから。そこのところの不安は払拭されてないです。

小林:だんだん不安のほうが大きくなっていっていますね。

田中:そうですね。どこかで物を買うとか、食べるとか、どこかへ行くとか、どちらの方向なのかとか、そういうことがわかるようになっても、専門的な話ができるかと言われたときに、その不安はまだまだ。ずっと不安かもしれません。

小林:鍼灸マッサージ師も東洋医学の世界ですけど、そもそも日本語で説明するのでさえ舌をかむのに、概念的な世界も入るので、どうやって説明しようかなと。そしてどうやって伝えるのかは、行ってみないとわからない。

田中:命に関わるとは言えないですけど、そうですよね。

小林:あと、語学を勉強してどんどん理解していったとしても、喋らずに口数が多くないと、コミュニケーションをとれないから、スキルよりも、喋っていくというスタンスをとらないと語学は本当に活きてこないんだろうなと思います。

福田:菊池さんは、ポルトガル語の語学学習はいかがですか?

菊池:ポルトガル語も、ほとんどゼロからスタートの人でもきちんと基礎から教えてくださる授業なので、安心してスタートできました。ただ、やっぱり初めての言語は難しいというのが正直なところなので、一歩ずつ一歩ずつという感じですね。 ただ 授業の中でもわからなかったらすぐ先生から教えてもらえます。最初は単語や挨拶からスタートして、徐々に文章を毎日ノート1ページ分ぐらい書いたりとか、ほかにも発表があったりとか、少しずつでもポルトガル語のスキルが上がっていっているのかなっていう気がします。あと、ポルトガル語のメンバーがブラジルに行くメンバーだけっていうのもあって、 すごく仲良く楽しく授業ができるっていうのもいいところの一つかなと思っています。

必修講座、選択講座、自主講座。印象に残った講座は?

福田:あと2週間ほどで私たちの語学訓練も終わってしまうので、できるようになったところもあれば、まだまだのところもあり、私たちも研鑽をつまなければならないのかなと感じました。私たちは語学訓練だけではなく、様々な講座を受講しています。全員参加の必修講座、希望制の選択講座、訓練生同士で教えあう自主講座の3種類の講座がありますが、印象に残っている講座など、お話しいただけますか?

田中:私はファシリテーションのオンデマンド講座です。ずっと仕事をしてきて、管理職のようなこともやっていたんですが、今考えると、リーダーシップを発揮していくというタイプではなかったのかなというのは、ずっと自分の中で反省としてあるんですね。あれを見ていて、「ああ、なるほど。こんなふうにいろいろ工夫してやればいいのか」と思いました。さっきも言いましたが、前にSVで行った時の「もっとああすればよかったな、もっと積極的にこういうことをやりましょうって言ったほうが良かったな」と思うところもあるので、とても参考になりました。

黒島:僕は事例研究が一番印象に残っていますね。4人一組のグループを作って、協力隊員の役、現地の上司、現地の部下、現地の村人という風に役割を分けて、ロールプレイをやりました。協力隊の2年間を1時間で経験するという内容だったんですが、これが難しくて。僕は隊員役でした。

座談会様子③

座談会様子④

菊池:一番大変な。

田中:一緒ですね。一年目が終わったという想定で、研修を受ける設定があって、隊員役だけ講堂の外で集まって一緒に話しましたよね。

黒島:相談しましたよね。なかなか大変で。いろいろな制限があって、隊員役の人は、訓練言語でしか喋ってはいけない。上司は協力的だけれども、周りの雰囲気に流されてしまうようなところもあって。部下はやる気がない。村人はお祭りが好きみたいな。そういう設定の中、そのメンバーを説得するのが大変で。

黒島:リサイクル率を3%から15%に上げるっていうミッションだったんですけど。まず訓練言語なので、それを伝えるのが大変。ただ、それが伝わったとしても、みんなが協力的なわけではない。では、どうしたらいいかということで、なかなか難しかったです。実際に現地に行っても、ああいうことが起きるかもしれないなと思って。そういった状況でどうしなければいけないかっていうのは、いいシミュレーションになったと思いますね。

福田:菊池さんはいかがですか?

菊池: 「海外の安全対策」の講座はきちんと知っておく必要があると思いました。私の行くところはブラジルで治安が結構悪いようなので、きちんと知識を得て対策しないと、と思いました。

福田:「海外の安全対策」はどんなところが印象に残っていますか?

菊池:ほふく前進をしたことが印象に残っています。ああ、こんなふうにするんだって。あと、例えば、カバンを持っているときに、ファスナーを閉めてそこに南京錠をつけていても、簡単に開けられるとか。手荷物も斜めかけだったら安心なのかなと思っていたけれど、それでもひったくられてしまう可能性もあるとか。日々暮らす中で、海外でちゃんと対策をしておかないといけないなというところをしっかり学べたのも、これからの生活に役立つのかなと思います。

福田:小林さん、いかがでしょう。

小林:自主講座をいろいろな方がやっていて、その中でも少年院の実態を話してもらった講座はすごく印象に残っています。実際に80名くらい参加していて、いろいろおもしろい話が聞けました。ほかにもいろいろな講座がありましたけど、どの自主講座がというよりも、みなさんが積極的に自主講座を開こうとしていることが印象に残っています。かなり訓練初めの時期からやる人もいて、1週間目 2週間目くらいから計画をしていて、実際に受講してみると PowerPointで資料もしっかり作ってあって、すごいなと思いました。

菊池:私も、思いました。いろいろな方がやっていますよね。

黒島:小林さんもやっていましたよね。

小林:他の方に触発されてやってみようって思ったのがあって。一人でやるよりまだ話したことのない人に声をかけてやってみようと思えたのも、他の人たちに触発されてなんです。私も二人でやったのですが、一緒にやった方とも、よく話していたからというわけではなくて、急に声をかけました。やっていた内容が似ているってことで。やってみると大変なんですよ、あれ。すごく時間も取られますし、「これでいいのか」と直前まで悩んでやったんですけど。でも、今はやってよかったなと思っています。それが協力隊として現地に行って、物事を自主的にやるということにつながっていくと思うので。なかなか普段、一人だったらそんなことしないですし、ここにいたからやってみようって思えたのかな。それが印象に残っています。

福田:ありがとうございます。それぞれの講座をやる側も受ける側も、いろいろな学びがあったのかなと思います。さて、また話題を変えたいのですが、私たち様々な課業があり、日々忙しく過ごしているわけですが、夕方以降は自由時間になりますし、土日は休日ですから、皆さんそれぞれ思い思いに時間を使っています。そうした自由時間や休日に自分の成長のために取り組んでいる、というようなことがあれば、教えていただきたいのですが。

黒島:僕はブログを書いています。ブログというより自分の専門分野について整理するというか。小学校教員向けなんですが、具体的には、「この運動をするときはこういう遊びがおすすめ」とか、「バスケットボールをするときにはこの準備運動がおすすめ」、「バレーボールをするにはこの準備運動がおすすめ」、「リレーをするときにはこんな工夫の仕方がありますよ」など。そうしたことをまとめて、実際にソロモン諸島に行って、そういった運動の分野、スポーツの分野について整理して教えられるようにしていますね。

福田:例えば、自主講座ではないですけれども、様々な学習会のようなものを作ったり、サークル活動されている方もいたりしますね。あとは運動ですよね。朝、夕方、夜に運動されている方もいますので。そういうご経験のお話しを伺いたいのですが。田中さんは、ラジオ体操の会を主宰されていますよね。

田中:ああ、ラジオ体操ね。はい、やらせていただいています。最初2人で始めて、結局今は20人ぐらい毎朝必ず来てくれていて。

小林:あれは、訓練のはじめにあった選択講座のラジオ体操(体力維持講座)を受けて始めたんですか?

田中:そうそうそう。あれを受けて、次の日に「これを生かさないのはもったいないよね」って話になって。「じゃあ、やろうか」ってその日は録音かなんかでやったんですよ。途中から他の人も入ってきて3人くらいでやっていたんですけど。それで皆さんにも声をかけようということになって、食堂前の白板に書いておいたんです。そうやって始まったんですけど、今では多くの方に来ていただいて。雨の日は森のステージでやっています。これはやってよかったなということの一つですね。あとはそんなにあまり自分を磨くようなことはしていないですね。休日はそれこそたまった宿題をやるとか。天気のいい時は外を歩くとか。それくらいしかしていません。

福田:小林さん、いかかですか?サークル活動とか、運動とか。

小林:結構いろいろなところに顔を出すようにはしています。運動会とか、今度のフェスの実行委員になっているんですけれど。そこに行くことによって、いろいろな人と話す機会を作りたい、というのが正直な目的です。あと、外に遊びに行くこともありますし、スポーツをやっていたら混ざるっていうのもやっていますが、それも全部、人とコミュニケーションをとることが目的です。できるだけいろいろなところに参加しようとしています。出不精なので普段はそんなこと全然しないんですけど。この座談会に参加したのも、もう訓練も終盤になったのにみんなのことを何も知らなくて、すごくもったいないなという気持ちがあって、いろいろな人と深い話ができたらいいなという気持ちがあったからなんです。結局最後に残るのは人だと思うので。みなさんと関わるためにいろいろと参加させてもらっているということですね。

福田:ありがとうございます。菊池さんいかがでしょう。

菊池:私もできるだけ、いろいろな人と話したり、関わったりできたらいいな、と思って自由時間を過ごしていますね。こんなに全国いろいろなところから、様々なバックグラウンドの人が集まってきて、同じ場所で生活することって、めったにないと思います。仕事の話でも、学生時代の話でも、旅行の話でも、いろいろな経験を聞いたり話したりできるので、たくさんの方と話すことを大事にしています

黒島:追加でいいですか。僕も自分の強みを生かすということで、他の訓練生と「運動遊びの会」というのをやったり、運動会に本部という役割で参加したりしています。人と関わることが本当に大事だなと思っていて、空いた時間に一緒にスポーツをやったりしています。あと、スポーツは好きなんですが、サッカーはやった経験がなくて。でも、訓練生のなかにフリースタイルフットボーラーがいるので、その方にリフティングを教えてもらったりしています。そうやって人と関わりながら、かつ自分も成長できるという点では、すごくいい場所だと思っています。

応募を検討中の方へ、メッセージ

福田:みなさんおっしゃっている通り、いろいろなバックグラウンドの方がいらっしゃるので、その方々と関わるだけでも成長できる場所なのかなと思いますね。では、最後になりますが、今応募を考えてらっしゃる方々に是非、少し早めに訓練を始めた先輩としてアドバイスをいただけたらと思います。皆さんは退職での参加ですが、「仕事を辞めてまで…」と考えていらっしゃる方もいると思うので、その方々の後押しになるようなアドバイスをいただきたいのですが。小林さん、よろしいですか?

小林:僕は今回、鍼灸マッサージ師で参加なんですが、実は鍼灸マッサージ師になる前にJICAの応募を考えていたんですよ。その時は建築関係の会社勤務で、これといった資格がなかったんです。村落開発普及員という職種が昔はあって、それは資格がいらなくて。ただ、書類を取り寄せて、応募書類を見た時に「無理」と思ったんです。とんでもない量の質問と、「考えを書け」「考えを書け」「考えを書け」「これについてどう思うか」…。というのに「まあ、無理だ」「これはちょっと無理だな」とその時は思いました。でも、今ここにいると、別にその時に出来上がっている必要は全くないな、と。とにかく自分の思いを素直に書いたら、伝わるものは伝わるから、別に学歴がどうとかじゃない世界だと思うので。僕は30代ですけど、20代で参加される方はすごくうらやましいです。JICAに応募しようという発想をもった時点で、貴重なことだと思うので、どんどんチャレンジしてもらえたら、と思います。

座談会様子⑤

座談会終了後集合写真

黒島:JICAの協力隊に出される職種って、結構いろいろあって、必ず自分の強みにあった職種があると思うので、「行きたい」と思ったら、行けると僕は思います。だから、自分の中で「行きたい」という熱い思いがあれば、それを書類に書くこともできるだろうし、自分のビジョンも膨らむだろうし、仕事をやめてでも行く価値はあるかなと思うので、もし迷っている方がいらっしゃるのであれば、「行きましょう」と声をかけたいです。

菊池:後悔しないように「行ってみたい」という思いがあったら、応募をおすすめしたいなと思います。まだ行ってもいないのに、って感じですけど。行ってもいないし、どうなるかわからないので、私自身、退職して参加するということに関しては、とてもとても悩みましたし、今でも大丈夫かなとか不安になることもあるんですね。たぶん現地に行っても、「私に何ができるのかな」「役立てることってあるんだろうか」と、不安に感じたり、悩んだり、たくさんあると思うんです。でも、一度「やってみたいな」って思ったことをやらないで後悔するよりは、やってみたらいいかなと思います。「自分に何ができるかな」とか、「この先どうだろう」と不安があっても、そのやりたいという気持ちがあったら、ちょっと挑戦してみてもいいかなというふうに思っていて、今、私自身も その思いで来ています。あと、駒ヶ根の訓練所生活はとても充実しているので、その点でも、ここに来られてよかったなと思っています。

福田:ありがとうございます。では最後に田中さんにはセカンドキャリアの一つとして協力隊を考えている方々にぜひメッセージをお願いします。

田中:今、人生100年時代と言われていて、60代なんて若いと思います。ただ、それは状況が許されているから、私も今ここにいるんだなと思います。一番大きいのは健康面ですかね。あと家庭をどうするかとか。家族の問題とか。問題じゃなくても行かないでくれって言われたら、それはそれでいけないだろうし。そういう意味では周りの人に支えられて、行けるんだと思います。無理は言っていないはずなんですけど、周囲の理解があってここにいるんですよね。でも、まだまだ我々の力は必要とされているよ、というのは言いたいですね。生かす道はいくらでもあります、そのうちの一つとして協力隊というのも一つの選択肢だと思います。今回私は、皆さん全員私より若いだろうな、と思って来たんですよ。そしたら、結構同世代がいたのが嬉しかったですね。心のよりどころと言いますかね。もちろん、なんでもやるっていうわけにはいかないと思うんですよ。でも、ある程度経験を積んでいれば、それを生かせる分野というのが必ずあると思うので、私に続いて、という言い方は口幅ったいですけど、セカンドキャリアというんですかね、そういうものとしてこの協力隊というのはおすすめだと思います。

福田:皆さんが熱い思いをもって、ここにいらしているんだなと感じました。訓練生活も残すところあと半月ですが、皆様の訓練生活がさらに充実したものとなり、それぞれの任地でご活躍されることをお祈りしております。残り半月もぜひ頑張りましょう。本日はどうもありがとうございました。

一同:ありがとうございました!