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アフリカ モザンビークから(2023年度3次隊/モザンビーク/看護師/稲田佳奈)

稲田佳奈 (2023年度3次隊/モザンビーク/看護師)

Boa tarde!Como eatá? 

私は現在アフリカのモザンビークで看護師隊員として活動しています。皆さんは「モザンビーク」と聞いて、何か思い浮かぶものはありますか?

日本ではあまり馴染みのない国かもしれませんが、この国には日本人があまり知らない魅力がたくさんあります。モザンビークはアフリカの南東部に位置し、長い海岸線があるため美しいビーチがあります。そこでは、エビやタコなどの海産物も豊富にとれるので、アフリカにいながらおいしい魚介類を楽しむことができます。また、モザンビークには国立公園があり、そこでは野生のゾウやキリンなどに会うこともできます。モザンビークはかつてポルトガルの植民地だったため、公用語はポルトガル語で、ポルトガル文化も色濃く残っている珍しい国です。そんなたくさんの貴重な体験できる国がモザンビークです。

私は首都から車で5時間ほどかかる、「シブト」という地域の病院で看護師として活動しています。日本では、NICU(ドラマ「コウノドリ」を知っている方はイメージしやすいかもしれません)で新生児看護をしていたため、その経歴をもとに現地の上司が私を産科病棟に配属してくれました。そこでは、生まれた赤ちゃんのケアや現地看護師への技術指導、産後の母親らへの育児指導などを行っています。また、モザンビークの病院では水や医療資機材が不足しており、すべての物資が貴重です。そのため、何かを使用するにも優先順位を考えながら使う必要があります。

はじめは、日本との現場のギャップに衝撃を受け、何から手を付ければよいのかわからないほどでした。しかし、「来たからにはやるしかない」という気持ちで、片言のポルトガル語を使いながら同僚らとコミュニケーションをとり、まずは現地の医療を教えてもらうことから始めました。

現地で活動する中で、新生児死亡数の多さや若年妊娠、HIV感染者の多さ、そして、民間療法(医師免許を持たない人による治療)の習慣などを身近に体感しています。医療に関するさまざまな課題がありますが、その中でも今の自分にできることは、病院に来ている母子をサポートすることだと考えています。自分にできることはとても小さく、目に見える成果が出にくいこともありますが、それでも自分の活動が何かに繋がっていることを願いながら日々取り組んでいます。

活動する中でよく悩むのは、同僚のやる気をどうすれば引き出せるのかということです。彼らは、面倒くさいことを避けようとし、10時のブランチや昼食をとらないと仕事へのやる気を失ってしまうこともあります。

文化も宗教も異なるこの国では、日本人の私からみると不合理で無駄に思える行動でも、彼らにとっては合理的で意味のあることが多いのだと感じます。彼らを理解するためには、その都度対話を重ね、相手を知ろうとし寄り添う姿勢が大切だと気づかされます。技術支援を目的にボランティアとして派遣された私ですが、実際には日々モザンビークの人々から教えてもらうことの方が多いように思います。

モザンビークに来て成長したこととしては、忍耐力が強くなったと感じます。急な予定の変更や遅刻は日常茶飯事で、はじめは思い通りに物事が進まずイライラしてしまうこともありました。しかし、モザンビークの人々は自分が遅刻しても、自分が待たされてもあまり気にしません。「なるようになる」という考えの人が多く、そんな日常を過ごすうちに以前の自分よりも寛容になっている気がします。

モザンビークでのこの日々は、日本では経験できない、とても貴重で大切な時間だと実感しています。こちらに来て、早くも1年4カ月が経ちました。残りの期間も後悔のないよう、自分にできることを精一杯続けていこうと思います。そして、モザンビークをしっかり満喫し、楽しんで帰りたいと思います。モザンビークに興味がある方は、少し遠いかもしれませんが、ぜひ足を運んでください。お待ちしています。

活動先の病院にて

朝6時のウォーキング