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森實沙穂(2023年度3次隊/タンザニア/看護師)
ハバリ ゼヌ~? 皆さん、こんにちは。
現在、タンザニアで看護師として活動している森實沙穂です。 派遣から一年が経ち、こちらでの活動も残り半年となりました。
私が活動しているバガモヨ市は、JICA事務所があるダルエスサラームから北へ約75kmに位置し、中心都市へのアクセスも良好です。農業が盛んな海岸沿いの地域で、遺跡や活気あふれる魚市場もあります。街並みは観光地として有名なザンジバルに似ており、海外からの観光客も多く訪れます。
私の配属先はバガモヨ県庁保健課です。ここでは県全体の保健医療の状況把握とサービス提供を担っており、バガモヨ県立病院と同じ敷地内に、看護学校やムヒンビリ健康科学大学バガモヨキャンパスも併設されています。私はこれまで、バガモヨ県立病院の産科外来および産科病棟で活動を行ってきました。 同僚スタッフはいつも私を温かく迎え入れ、日々の業務を楽しく続けることができています。
私の要請内容は、簡単に言えば「母子保健サービスの向上」です。 タンザニアの妊産婦死亡率は日本の約100倍、新生児死亡率も約20~30倍と、非常に高い状況です。実際に、新生児死亡の現場を何度も目の当たりにし、また、母体搬送後に病院で亡くなるケースも経験しました。こうした現状を何とか変えたいと強く思い、まずは同僚たちとの信頼関係を築きながら、業務の様子を観察することから始めました。
私の要請内容は、簡単に言えば「母子保健サービスの向上」です。 タンザニアの妊産婦死亡率は日本の約100倍、新生児死亡率も約20~30倍と、非常に高い状況です。実際に、新生児死亡の現場を何度も目の当たりにし、また、母体搬送後に病院で亡くなるケースも経験しました。こうした現状を何とか変えたいと強く思い、まずは同僚たちとの信頼関係を築きながら、業務の様子を観察することから始めました。
改善が必要だと感じた場面では、エビデンスを交えて説明を試みました。しかし、日本で私が学んできた医療の考え方と、彼らがこれまで培ってきた経験や技術との間には大きな隔たりがありました。「それは危険であり、理由はこうである。だからこの方法に変えた方が良い」と根拠を示しても、彼らにとっては容易に受け入れられるものではありませんでした。 数多くの新生児や妊産婦に接してきた彼らの経験値は私以上であり、外国から来た医療者の意見をすぐに取り入れるのは難しいのだと感じました。
日本で学んだ看護ケアは、エビデンスに基づき人々の命を救ってきた確かなものであると自信を持っています。だからこそ、その看護ケアを伝えることが正しいと信じていましたが、実際にはうまくいかないことが多々ありました。そこで私は、まず彼らの背景をもっと理解する努力をすることにしました。すると、時に適切とは言えない看護ケアにも、それぞれの事情や背景があることに気づきました。 現在は、その背景を尊重しながら、バガモヨの現場に即した介入方法を見極めるため、調査活動を進めています。
正直に言うと、もっと多くのことができると期待していました。 そのために日本でたくさん準備をしてきましたが、どれほど準備をしても、伝わらなければ意味がないということを痛感しています。 必要性を理解してもらうことがいかに難しいか、日々感じながらも、それでも前向きに活動を続けています。明るく、のんびりとした同僚たちに支えられ、元気をもらいながら、少しずつ前進していければいいなと思っています。 活動中は楽しいこともたくさんありますが、悲しい場面にも直面します。 そんなときは、タンザニアの壮大な自然に心を癒されながら、また明日から頑張ろうと思える自分がいます。
残り半年、今できることを精一杯取り組み、少しでもこの地に貢献できるよう努めてまいります。
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