- トップページ
- 日本国内での取り組み
- JICA四国
- 「人」明日へのストーリー
- ドミニカ共和国活動記録(2024年度1次隊/ドミニカ共和国/音楽/井上裕美子)
井上裕美子(2024年度1次隊/ドミニカ共和国/音楽)
¡Hola!
2024年8月からカリブ海に浮かぶ島国・ドミニカ共和国で音楽隊員として活動している井上裕美子です。私が活動しているのは、首都の隣に位置するサント・ドミンゴ・エステ市にある「Fabio Amable Mota」という学校です。この学校は芸術分野に特色があり、ダンス・演劇・陶芸・メディア・音楽などを専門的に学ぶことができます。私はそこで音楽教員として、合奏やピアノ、リコーダーの授業を担当しています。現在は、基礎合奏や音楽理論の授業を同僚と協力しながら進めています。
ドミニカ共和国は、メレンゲ(Merengue)とバチャータ(Bachata)の発祥の地としても知られています。音楽が流れれば自然と踊り出す!そんな陽気な文化が根付いています。メレンゲは、テンポが速く、リズムがはっきりしていて、明るくエネルギッシュなダンス音楽です。踊りの中では、男性が女性をくるくると回すような動きが特徴です。一方、バチャータはラブソングが中心で、恋愛や切ない感情を歌ったスローテンポの音楽です。ドミニカ共和国に赴任して初めてダンスを見たときは衝撃的でした。また、時間や場所に関係なく、音楽が流れると自然と身体が踊り出すのです。学校でも生徒たちが自分たちで演奏し、それを聴いた人たちがその場で踊り出す光景がよく見られます。また、ホームステイ先の家から音楽が聞こえてくることもあれば、近所の誰かが流している音楽が届くこともあります。ツアーバスやタクシーの中でも大音量で音楽が流れ、時には乗客全員で大合唱になることも。
驚くことに、30年以上前の曲でも若者たちに親しまれており、今でもよく演奏されています。時代を超えて、老若男女が同じ曲で歌い踊る姿はとても素敵だと感じます。このように、ドミニカ共和国では音楽とダンスが生活の一部となっており、人々の暮らしと深く結びついています。そして、演奏には「グイラ」や「タンボーラ」といった楽器が使われ、独特のリズムを刻みます。私も挑戦していますが、まだうまく演奏できず、日々修行中です。日本人の感性ではなかなか身につかないリズム感に圧倒される毎日ですが、帰国するまでにラテン音楽を身体に染み込ませたいと思っています。
そして、ドミニカ共和国に赴任してまもなく1年が経とうとしています。赴任当初は戸惑うことも多くありましたが、今では日常を楽しみながら生活しています。最初に驚いたのは交通事情です。基本的に首都では通勤時間帯に渋滞が発生します。また、交通量が非常に多いため、横断歩道を渡れず、他の人が渡るのを待つこともよくありました。信号があっても、隙間からバイクが入ってきたり、信号を無視して車が来たりするため、最初は安心して渡ることができませんでした。それでも、慣れてくると何とかなるもので、誰かと一緒に渡ったり、運転手が合図してくれたりと、工夫すれば安全に渡ることができるようになりました。困っているときには、知らない人が手を引いて一緒に渡ってくれることも多く、ドミニカ共和国の人々の優しさに何度も助けられました。
そんな風におおらかで、陽気な人々と過ごしていると、自分自身も自然とおおらかな気持ちになってきます。少しの遅刻や、時間通りに物事が始まらないことは日常茶飯事ですが、そうしたことにも寛容なドミニカ共和国の人々に囲まれて、私自身も良い意味で「ドミニカナイズ」されてきたように感じています。現地では「プラタナイズ」とも言われます(「プラタノ」とは、主食であるバナナのことです)。
残り1年を切りましたが、これからも楽しみながら、充実した活動を続けていきたいと思います!
scroll