「障害×開発」をテーマにつくば市民ギャラリーにて専門家によるトークイベントを開催しました! 

2023.12.05

2023年10月31日~11月5日に、つくば市民ギャラリーにおける「写真展ほにゃら『パラグ愛』」の開催に際して、11月3日・4日に、「障害×開発」をテーマにトークイベントを開催しました。その様子をご紹介します。

「日本から海を越えて、パラグアイで芽吹く自立生活」

3日は、パラグアイ障害者当事者団体TEKOSASO代表のブランカさん、つくば自立生活センターほにゃら事務局長の齊藤さん、元JICA専門家の合澤さんをお迎えして「日本から海を越えて、パラグアイで芽吹く自立生活」というテーマで対談しました。

この対談のきっかけは、つくば自立生活センターの齊藤さんが、2023年の春にパラグアイへプライベートで渡航され、現地で活動中の合澤さんとブランカさんを訪問されたことでした。ブランカさんはその頃の齊藤さんの様子を、「障害を抱え、車いすで生活していながらも、地球の裏側まで会いに来てくださった勇気に驚き、感動した」と振り返りました。

パラグアイで暮らす障害者は、コミュニティや自身の家族からのサポートを受けられていますが、時に過保護に守られ、時に周囲に遠慮しながら、あまり外出をせず自宅の中だけで生活している方が多いそうです。ブランカさんは、若い頃から障害当事者として活動されていますが、障害当事者の気持ちを変えることがもっと大変だそうです。そんな彼らがパラグアイで齊藤さんに出会い、「重い障害を抱えていたとしても、やりたいことは何だってできる、やって良いんだ!」と気づき、目が輝きだしたそうです。

齊藤さんはそのことについて、「自分がパラグアイに行けたのは、日本に介助者と呼ばれる人がいてくれて、自立生活センター(障害当事者団体)があり、法律で人権を保護されているからだ。そのことを現地で伝えられて嬉しかった」と話しています。また、パラグアイの国家障害者人権庁で勤務していた合澤さんは、「日本の自立生活センターのモデルが、パラグアイ・コスタリア・ボリビアなどの中南米の国々に広まっている。法律や行政支援だけでなく、当事者団体の学び合いの意義はとても大きい」と締めくくりました。

会場には45名ほどの地域の方が集まり、ブランカさんに初めて来日した感想を聞くなど、熱心に耳を傾けていました。隣接された写真展会場には、フォトグラファーであり齊藤さんのパラグアイ訪問に同行された柴田さんの写真が飾られており、展示期間中は250名を超える市民の方が訪れました。

前列左が齊藤さん、右がブランカさん、後列中央が合澤さん。

つくば市民ギャラリーが会場。車椅子で来場した方も参加。

「コーヒーを通じて支える コスタリカの自立生活」

4日にはJICA海外協力隊経験のある大島さんが体験談を話してくださいました。茨城県守谷市出身の大島さんは、4年間の病院勤務の経験を生かして、2016年に青年海外協力隊員としてコスタリカに渡り、現地の特別支援学校で教員として2年間活動しました。体験談では、中南米の珍しい動物やおいしそうな食べものの写真を交えながら、廃材・リサイクル品を用いた自助具の制作、障害を抱える子供の保護者向けの研修開催、子供向けのリハビリ室を整備など、現地でのボランティア活動の様子を紹介いただきました。

大島さんは、日本に帰国して5年が経ちますが、現在は、作業療法士として働く傍ら、コスタリカからコーヒーやチョコレートを輸入販売するNatuRica合同会社代表としても活動されているそうです。同社は、現地の障害者グループ「モルフォ」と協力し、障がい者支援や環境配慮に取り組む現地のコーヒー協同組合からコーヒーを直輸入し、彼らの活動を支援しています。トークイベントの会場では淹れたてのコーヒーがふるまわれ、参加した市民の方も遠いコスタリカの国の暮らしに思いを馳せていました。

イベント参加者に事業を紹介する元JICA海外協力隊員の大島さん。

コスタリカから直輸入しているドリップコーヒー。オンラインでも購入可能。

※自立生活とは(つくば自立生活センターほにゃらHPより)
「障害があっても、どこに住むか、どうやって自分の生活をまかなうか、誰にサポートしてもらうか、どんなサービスを利用するかを、自らが自由に選択し、失敗をしながらも、自分らしい生活を創っていくことが「自立生活」と考えています。」

参考リンク

トークイベント 「誰一人とり残さない ~中南米に暮らす障害者たちのために私たちができること~」@つくば市民ギャラリー(11/3、11/4)

JICAの「社会保障・障害と開発」に関する取り組み

つくば自立生活センターほにゃらの活動について

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