地域理解プログラム「いちご王国 栃木県の挑戦」を実施しました

2023.12.26

JICA筑波では、2023年12月15日(金)、16日(土)の2日間、地域理解プログラム「いちご王国 栃木県の挑戦」を実施しました。本プログラムには、筑波大学や宇都宮大学などで学ぶJICA留学生23名が参加しました。

・栃木県の地域理解プログラムについて

「地域理解プログラム」は、日本の各地で培われてきた地域特有の開発事例を題材とし、JICA留学生が日本の開発経験について更なる理解を深めることを目的に行われています。今年度はいちご生産量全国一位の栃木県の協力を得て、栃木県のいちご生産における行政・農業団体・生産者の取り組みを学び、日本の農業振興・農業支援施策について理解を深める内容としました。

1.「いちご研究所」訪問

1日目はまず、全国唯一のいちご専門研究機関である「栃木県農業試験場いちご研究所」(栃木県栃木市)を訪問しました。三井俊宏特別研究員による講義「栃木県・日本・世界のいちご生産状況、いちご研究所の概要」を聴講し、いちごの新品種育成や栽培技術開発、品種改良の取り組みを学びました。留学生達は、高い収穫量の理由や、水耕栽培と土耕栽培による品質・収量の差はあるかといった多くの質問を行い、高い関心を示していました。
講義後は同研究所のいちごハウスを視察し、地下水によるハウス内の温度維持方法等、具体的な栽培・管理方法について説明を受けました。

いちごハウス視察の様子

2.いちご摘み取り体験

午後は観光農園「いちごの里」(栃木県小山市)を訪問し、いちごの摘み取りを体験しました。ハウス内で栃木県が開発した新品種「とちあいか」を実食した留学生たちは、その大きさと美味しさに驚きの声をあげていました。

自分で摘み取ったいちごを手に、満面の笑みの留学生

3.講義「農業組合による農業支援施策」・ワークショップ

その後、とちぎ農業ネットワーク企業組合の穂積翔太講師(県内出身JOCV経験者ドミニカ共和国派遣)から、農業組合による農家支援について講義を受けました。講義では、6次産業化や加工品製造・販売等による農産物の付加価値向上の取り組みや、栃木県や各自治体の農業振興事務所との連携事例について学びました。
講義後は留学生がグループに分かれ、栃木県産農産物(いちご、梨、キャッサバ、パパイヤ)の商品開発をテーマにワークショップを行いました。各グループからは、梨のピクルスやお茶、パパイヤのジュースやチップス、キャッサバのフレークなど様々な商品アイデアが発表されました。

商品開発に向け、白熱する議論

4.いちご農家訪問

2日目は、午前中にいちご農家「フレッシュ園 渡辺」(栃木県鹿沼市)を訪れました。最初にハウス内での施肥・灌水方法や病害虫対策、収穫方法について教えていただき、その後、パッキング施設を見学し、収穫されたいちごの出荷方法や輸出先に関する説明を受けきました。農家訪問では、いちご生産の現状や工夫、品質向上の取り組み、担い手育成等の課題など、より具体的な取り組みを知ることが出来ました。

品質管理についての説明に聞き入る留学生

5.世界遺産「日光東照宮」訪問

午後は、プログラムの締めくくりとして、世界遺産「日光東照宮」を訪問しました。留学生は荘厳な建物を楽しみながら、日本の歴史・文化の理解を深めていました。

集合写真。プログラムを通じて、留学生間の関係性も深まったようです

・まとめ

参加した留学生からは「栃木県のいちご生産について、多くのことを楽しく学ぶことができた」、「いちごの品種開発の研究を通じて、地元の方々がどのように繋がっているかを知れて、有益だった。」等の感想が寄せられました。また、母国で中小企業開発部門に勤務しているという留学生は、「このプログラムで、新しいビジネスのアイデアを生み出し、起業家精神を促進する方法を学ぶことが出来た。 母国に帰ったら、この知識を応用するつもりだ。」とコメントしていました。
留学生達が、日本への理解を更に深め、プログラムで得た学びを母国の発展に活かしてくれることを願っています。

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