【報告】茨城県古河市で「異文化理解の始め方をテーマ」にした市民向け学習会を開催しました
2025.12.10
2025年11月30日、古河市にて「地域の多様性理解のための学習会」が開催されました。この学習会は、古河市が策定した「多文化共生推進方針」に基づき、市民の多文化共生への理解促進を目的とした取り組みです。JICA筑波は、市との連携覚書に基づき講師を派遣し、異文化理解をテーマにした講演とワークショップを実施しました。
古河市では、市内在住外国人が6,252人(全体人口の約4%)に達し、今後も増加が見込まれています。こうした背景から、市は「多文化共生推進指針」を策定し、地域に暮らす多様な人々が互いに理解し合える社会づくりを目指しています。JICA筑波は、SDGsや多文化共生などをテーマに、国際協力で培ったノウハウを日本の地域課題の解決にも活かす取り組みについて、古河市との連携を2021年から進めており、今回の学習会はその具体的な実践例となりました。
今回の学習会では、JICA筑波から国際協力推進員の大貫国際協力推進員が講師を務め、「古河でくらす外国人から世界を知る~異文化理解の始め方~」をテーマに、講演とワークショップを実施しました。ワークショップでは、ネパール出身の女性「レヌカさん」の生活を題材に、日本とネパールの文化や価値観の違いを考えるカードゲームを実施。参加者はグループに分かれ、異文化に対する自分の思考の癖に気づく体験をしました。
講師からは「外国人と接するとき、知らないうちに『日本は~』『私は~』と自分のルールを押し付けていませんか?」という問いかけがあり、参加者は深く考えるきっかけを得ていたようでした。さらに、JICA海外協力隊の体験談や、帰国後の技能実習生支援の活動事例の紹介があり、多文化共生の実現に向けて、「相手を知ろうとすること」、「違いがあるときは話し合うこと」、「まずは心に留めることから始める」など、具体的なアクションの提案がありました。
学習会後の振り返りでは、参加者から多くの感想が寄せられました。
- 「ネパールの背景を知ることで、行動の理由が理解できた。文化には必ず理由があると気づいた」
- 「カードを分けるワークで、日本の常識を無意識に押し付けてしまったことに気づき、はっとした」
- 「地域で外国人と接する際、ゴミ出しなどでトラブルになることがある。文化の違いを理解する努力が必要だと感じた」
- 「言葉が通じなくても、ボディランゲージで伝わることがある。コミュニケーションを諦めないことが大切」
- 「コンビニで元気に挨拶してくれる外国籍の方がいる。今日の学びをきっかけに、私も笑顔で挨拶を返してみたい」
- 「家族にも今日の話を伝えて、外見で判断しない意識を広げたい」
- 「JICA海外協力隊に興味を持った。日本語教育を学んでいるので、ネパールでの女性支援の話も調べてみたい」
ワークショップで「レヌカの学び」に取り組む参加者
多文化共生についてわかりやすく解説する大貫推進員
参加者の声を聞き取る古河市人権推進課職員
参加者に配られた「私の明日から一歩踏み出すシート」(古河市作成)
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