【開発教育】\世界とつながる授業づくり/教師海外研修(ウガンダ)授業実践レポート茨城編
2025.12.26
JICA筑波教師海外研修は、教員の方々が実際に開発途上国を訪問することにより、途上国が置かれている現状や国際協力の現場、途上国と日本との関係に対する理解を深め、帰国後は学校現場での授業実践等を通じて、児童生徒の教育に役立てていただくことを目的として毎年実施しています。
2025年は茨城県・栃木県から校種・教科の異なる9名の先生方が研修に参加し、7月末にアフリカのウガンダを訪れました。
9月からは、それぞれが学んだことを児童生徒に還元すべく、続々と授業実践が始まっています。今回は、11月から12月にかけて授業を実践した茨城県の6名の先生の取組をご紹介します。
茗渓学園中学校高等学校の木村昌司先生は、中学3年生を対象に、学校で行っている平和学習の一つとして、ウガンダの難民を取り上げました。まずは先生が研修中に見たことや訪問した先を中心にウガンダの紹介をし、次にウガンダの難民受け入れの現状についての話をしました。その後、生徒たちは「命の持ち物検査」のワークショップを行い、難民の気持ちを体感しました。更に、先生が実際にインタビューした難民居住区の子どもの話を伝えることで、難民問題を身近にとらえることができました。最後は自身ができる支援について考えました。この後の平和学習につながる授業ができました。
翠輝学園つくば市立みどりの南小学校の諸星智慶先生は、6年生を対象に、現地で撮影された写真や動画などの資料を紹介しながら、子どもたちの反応や考えをもとに問いを立てていくことで、先生自身のものの見え方の変化を子どもたちも一緒に感じられるような学びを単元として展開されています。
この日の授業では、「文化が全く違うウガンダと日本にも共通点は見つけられるか?」という問いに向き合いました。はじめは「共通点はない」「見つける自信がない」といった子どもたちも、授業の後半には「命に感謝して食事をすること」や、「家族や兄弟を大切に思う気持ち」など、心の中にある共通点を見つけていく姿が印象的でした。
茨城県立三和高等学校の滝本大翔先生は、3年生の総合的な探究の時間で、日本と世界との関わりを知り、生徒自身が地域社会でどのような貢献ができるかを考える授業を行いました。「モノはどこからきているの?」ゲームを取り入れることで、生徒自身がいつも使っている様々なものが世界から来ていることを実感することができました。更に、各自で好きなものを選び、それがどのように世界とつながっているかを、インターネットを使って調べました。調べてみて初めて分ったことや、新しい視点を得たことで、自分たちが、世界にどのように貢献できるかを考えるきっかけとなる授業になりました。
茨城大学教育学部附属小学校の宮本渚先生は、6年生を対象に、外国語、道徳、学級活動等を組み合せ、教科横断で授業を行いました。先生のウガンダの紹介やウガンダの子ども達とのオンオンライン交流を経て、今回の授業では、異なる国や文化の方と仲良くするために自分にできることを話し合いました。これまでの授業から各児童がこの先どうしていきたいか考えを持ち、中間共有で友達の意見を聞いて更に考えを深めることができました。実際に交流の機会を持ったり、掲示物や体験コーナーなどの授業外でもウガンダに触れたりすることも、児童の考えの形成に役立っていると感じました。
茨城県立日立北高等学校の廣瀬愛先生は、1年生を対象に、AIを活用して開発したワークショップ教材を用い、ウガンダでの「アブラヤシ農園の大規模開発」をテーマに授業を行いました。導入では、ウガンダの自然や都市の様子を写真や動画で紹介し、経済発展と環境保全の両立という課題を提示しました。生徒は「ウガンダ政府」「多国籍企業」「NGO」「ODA」「現地農民」などの役割を担い、経済スコアと環境スコアの合計を最大化する交渉型ゲームに取り組みました。それぞれの役割には異なる勝利条件があり、生徒は自分の目標を意識しながら、グループ内で説得や交渉を行いました。
このワークショップを通じて、生徒は「開発」に関わるさまざまな立場や持続可能な開発の複雑さを体験的に学ぶことができました。その後の授業では、地球規模の課題に自分たちがどのように関わっているか、また解決に向けてどのように行動ができるかを考え、学びをさらに深めています。
つくば市立春日学園義務教育学校の佐川明日香先生は、海外研修時に訪問したあしながウガンダの児童と、春日学園小学6年生の児童のオンライン交流を実施しました。初めはお互いに緊張していた様子でしたが、春日学園の児童から「ソーラン節」のダンス紹介があると、あしながウガンダの児童からもダンスの披露がありました。春日学園の児童から現地語のルガンダ語で挨拶があると、ウガンダの児童は嬉しそうに挨拶を返していました。質問の時間には、お互いの好きな食べ物や動物などを質問し合い、授業の最後にはすっかり打ち解けて、別れを惜しむ様子がありました。言葉だけによらない、心の繋がりを感じた授業になりました。
2026年2月7日(土)に、JICA筑波で教師海外研修(ウガンダ)の成果報告会を開催します。今回ご紹介した6人の先生方も、発表予定です。ご関心がある方はぜひ、お申込みください。
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